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新設分割の登記方法において手続き内容や必要書類を解説

独立ノウハウ・お役立ち

会社経営をしていると、事業を分割したり譲渡したりする状況になることがあります。

そんなときに利用される方法には、会社の“吸収分割”や“新設分割”があります。

そして、会社分割を法的に有効にするためにはその事実を登記しなければなりません。

今回は新設分割における登記の手続き内容や必要書類を解説していきます。

新設分割登記の役割

会社の分割方法には2種類の方法があります。吸収分割と新設分割の2つです。

吸収分割は既に存在する会社に事業を渡す方法で、新設分割は新たに会社を設立してその会社に事業を渡す方法を指します。

新設分割における登記は、“新規の会社を設立したこと”“新設分割を行ったこと”“譲渡の対価を支払ったこと”の3つを登記します。

この登記の申請をすることにより、新設分割の効力が発生するのです。

また、登記をもって新設会社への権利関係の移転が行われたことになるので、新設分割において登記の役割は非常に大きいと言えます。

新設分割登記を行う手続きの流れ

新設分割の登記を行うためには新設分割が適法で行われる必要があります。

まずは簡単に新設分割の流れを説明します。

最初に新設分割の詳細を定めた“新設分割計画書”を作成し、株主総会または取締役会で承認を受けます。

その後、債権者保護の手続きとして“官報への公告”と“個別債権者への催告”を行います。

官報公告は掲載するまでに3~4週間かかる上に公告期間を1カ月設けることになるので、余裕をもった計画が必要です。

あわせて、事前備置の書類を準備します。この書類は会社設立後、6カ月間、本店に備え付けておかなければなりません。

そして、公告に対して異議の申し出がなければ株主総会を開いて、特別決議により承認を得ます。

分割に反対する株主がいた場合には、その株主の持分を買い取らなければなりません。

これらの一連の手続きが整ってから登記の申請をします。

先述のとおり、新設分割を行う際の登記は、“新規の会社を設立したこと”“新設分割を行ったこと”“譲渡の対価を支払ったこと”の3つがあります。

注意点は、“新設分割を行ったこと”と“譲渡の対価を支払ったこと”は分割会社として、“新規の会社を設立したこと”は新設会社として、と別々の登記となる点です。

したがって、分割会社と新設会社が同じ登記所の管轄区域に存在する場合と異なった管轄区域に存在する場合では、申請の仕方が異なってきます。

同一管轄地域内にある場合は、同時申請といって、同じ登記所で同時に分割会社と新設会社の登記申請をする方法を取ります。

一方、新設会社の所在地を管轄する登記所と分割会社の所在地を管轄する登記所が異なる場合には、経由申請といって新設会社の所在地を管轄する登記所を経由して登記申請をする方法を取ることになります。

新設分割登記で必要な書類

新設分割登記で必要となる書類には以下のようなものがあります。

・新設分割計画書
・新設分割設立会社の定款
・新設分割設立会社の役員の就任承諾書
・新設分割設立会社の役員の印鑑証明書
・新設分割設立会社の役員の本人確認証明書
・新設分割計画を承認した分割会社の株主総会の議事録
・資本金の計上証明書
・分割会社の株主リスト
・官報公告のコピー
・会社分割に異議を述べたものがいない旨の上申書
・分割会社の登記事項証明書、印鑑証明書(経由申請を行う場合)
※印鑑証明書は、有効期限が3カ月のため、早めに取ると期限を過ぎる恐れもあるので注意してください。

新設分割登記では効力発生日と登記期限を押さえる!

新設分割においては、登記した日が効力発生日となるので注意が必要です。

会社法第924条(新設分割の登記)を読んでいると、“設立の登記は2週間以内”という期限が出てきますが、これは“株主総会の特別決議の日から2週間以内”ということであり、“会社設立日から2週間”ではないので、間違えないよう注意しましょう。

つまり、新設分割を登記する場合、登記期限は株主総会の決議の日から2週間以内になるということです。

もし、新設分割計画書で効力発生日を定めているのであれば、その日に登記をしなければならなりません。

また、4月1日など切りのよい日を設定しようとしても、その日が土曜日や日曜日、祝日に当たると登記ができないので、計画段階から注意が必要です。
(会社形態等により手続きが異なるので、自社にどのような手続きが必要か専門家に確認しましょう)

まとめ

事業の再編や統合を行う際に、新設分割は有用な方法です。

ただし、官報への公告や債権者への個別催告など、時間を必要とする工程があり、新設分割計画書の作成や株主総会での特別決議、登記など専門性の必要な作業が多くあります。

短い時間で間違いなく手続きを踏むためには、専門家への相談がおすすめです。

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PROFILE
青野泰弘

ファイナンシャルプランナー・行政書士
1964年静岡県生まれ。同志社大学法学部卒業後、国際証券に入社。その後トヨタファイナンシャルサービス証券、コスモ証券などで債券の引き受けやデリバティブ商品の組成などに従事した。2012年にFPおよび行政書士として独立。相続、遺言や海外投資などの分野に強みを持つ。

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