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会社の後継ぎがいない!? そんな場合に取れる手段とは

会社の後継ぎがいない!? そんな場合に取れる手段とは

現在、日本では多くの中小企業経営者が“高齢者”と言われる世代です。

つまり、会社の承継をしたくても後継者がいないことにより、今後の事業継続について悩んでいる中小企業経営者が多いのです。

今回は、会社の後継ぎがいない際にはどのような対応をすればいいか解説します。

今の日本は後継者不足が叫ばれている

今の日本は少子高齢化などにより、中小企業の後継者不足が深刻な状況に陥っています。

その要因として考えられることを4点挙げてみます。

1.人手不足で経営難

団塊世代の定年退職により労働人口が減少したことで、人手不足による経営難に陥る企業が増えています。

このような経営難の企業を承継すると、“火中の栗を拾う”状態ともなりかねないため、後継者に敬遠される傾向があります。

2.親族間の事業継承が減っている

これまでは親族間での事業承継が伝統的でしたが、資産相続や相続税による親族間トラブルが増えています。そのようなトラブルを回避したいといった理由から親族が引き継ぐ事業承継が減少傾向になっています。

3.経営者の事業存続意思が弱い

産業構造の変化に伴い、事業が長期的に継続するだけの安定性や将来性が危ぶまれる場合があります。

こういった場合に、事業承継せずに“自身の手で会社をたたもう”とするような、存続する意志の弱い経営者が増えています。

4.後継者の育成を怠った

後継者の育成は長期的な視点で時間をかける必要があります。

そのため、日々の業務に追われて後継者育成を怠っていると、後継者がいない状況となり事業承継ができなくなってしまいます。

後継者がいない場合に取ることができる手段

後継者がいないと悩んでいるだけでは問題は解決しません。

考えられる手段の紹介とそのメリット・デメリットを解説します。

1.M&A

M&Aとは「Mergers(合併) & Acquisitions(買収)」の略称で、後継者がいなければほかの企業に売却(買収される)するか、ほかの企業との合併(企業を統合)を選択する手段です。

メリット
M&Aを検討する際には取引銀行・事業承継を支援する公的機関・M&A会社などの相談先があり、各団体・企業に特徴があります。

多様な企業とのネットワークをもつ専門家が相談にのってくれるため、条件に合ったM&A先が見つかりやすい点がメリットです。

デメリット
M&Aで事業を引き継いだ企業や事業者が、引き継ぎ元の経営者が大事にしていた会社の資産・理念の継続を行わないことがあります。

特に、事業ノウハウ・特殊技術・従業員・取引先などの無形資産は毀損が起きやすいです。経営者の意図しない結果となるケースが少なくありません。

2.社外の後継者への事業承継

事業承継とは親族・従業員などに会社の“事業”を引き継がせることです。

親族や従業員に後継者がいない場合は、後継者候補として同業他社や異業種からヘッドハンティングしたり、次期社長を公募するなどして事業承継します。

メリット
他社でさまざまな経験を積んだ人が後継者として会社運営に携わるので、いままでの社風に変化が起き、新規事業への進出など会社が大きく成長する可能性が高くなります。

デメリット
従業員は今までの社風に慣れています。そのため、他社の社風に慣れた後継者と意見が対立し、後継者と従業員間の関係悪化、優秀な社員や熟練技術者の退社などにつながるおそれがあります。

さらには、こういった社内関係の悪化により会社の営業に支障がでる・対外的な信用を失う、といったことが起こりえます。

3.IPO(株式公開)

株式市場に上場して株を投資家に売り出し、誰でも株取引ができるようにすることをIPO(株式公開)といいます。

上場のハードルは高いですがIPOにより会社の経営基盤の強化につながるため、後継者が見つかりやすくなるでしょう。

メリット
事業承継の候補者が最も気にする事項の1つとして、経営基盤の安定性が挙げられます。

IPOによって資金調達が可能になるほか、上場企業となることで社会的信用が増して企業価値が上がるため、後継者候補の不安が払拭できて承継がスムーズになります。

デメリット
IPOで株を公開するため、TOB(株式公開買い付け)で敵対的買収を仕掛けられ、予期せぬ相手に会社を乗っ取られる可能性がでてきます。
TOBとまではいかなくても、外部の大株主が経営に介入して経営理念に合わない事業運営をおこなうなどの障害も起こりうるでしょう。

4.廃業

廃業とは、事業継続が難しい場合などに、経営者の判断で事業を停止することです。

会社の後継者がいない場合に取りうる手段のひとつですが、廃業せずに会社の後継者が見つかるまで事業を休止し、後継者が見つかれば事業を再開する、ということも可能です。

メリット
高齢になった経営者が、体の衰えを気にしながら後継者を探したり、育成することに悩みながら事業を続けたりする苦労から解放されます。

デメリット
事業は継続されないため、従業員の退職金・未払い給与・借入金の返済・そのほか廃業に伴う事業の整理にかかる費用など多くの資金が必要になります。

廃業により収入がない状態での支出となるため、あらかじめ多くの資金を用意しておくことが重要です。
また、資産売却で資金調達ができれば良いですが、材料・製品の在庫は原価より安く売却されるため、注意が必要です。

まとめ

会社の後継者がいない際の手段はいくつかありますが、どれにもなにかしらの懸念点があるため、あらかじめ後継者を育成しておくことがベストでしょう。

ただし、後継者の育成は短期間ではできません。

後継者候補に事業承継できるまで経営を続けられる体力を残していることも、経営者の大切な仕事と認識しましょう。

PROFILE

善木 誠

岡山県岡山市在住でビジネスコンサルタント(株式会社スコーレメディア代表)として小規模事業者向けの経営コンサルタントをしています。
[資格]働き方改革マスター、個人情報保護審査員、経営士

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