【この記事でわかること】
- フランチャイズ契約を解約する4つの方法
- フランチャイズ解約時の注意点
フランチャイズ契約を解約する場合は、違約金が発生する可能性があります。
契約締結時には、違約金に関する条項を十分に確認し、必要であれば弁護士に相談することが重要です。
本記事ではフランチャイズ契約解除の際に発生する違約金とは、どのようなものなのかを紹介します。
またフランチャイズ契約締結時には、契約内容のどのような点に注意しておく必要があるかについても解説します。
また、事前にフランチャイズの仕組みを理解しておくことも非常に大切です。下記の記事ではフランチャイズの仕組みや成功事例が詳しく解説していますので、合わせてチェックしておきましょう。
そもそもフランチャイズとは?仕組みを解説
フランチャイズとは、個人や法人がフランチャイズ本部企業と契約を結び、店舗などを経営するビジネスシステムのことをいいます。
自力で独立するのとは違い、フランチャイズ本部が持つ商標・チェーン名称・商品の知名度・経営のノウハウなどを活用するのが特徴です。
フランチャイズビジネスの仕組みや加盟するメリット・デメリットについてきちんと知りたいという方は、こちらの記事も読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
フランチャイズ契約の解約方法4つ
フランチャイズ契約を解約する方法は、主に以下の4つがあります。
1. 契約終了
契約期間満了時に、契約を更新せず終了する方法です。多くのフランチャイズ契約では、契約期間が定められており、期間満了前に解約する場合には違約金が発生する可能性があります。
2. 任意解約
契約期間中であっても、フランチャイジーが任意で解約する方法です。ただし、多くの場合、違約金が発生します。違約金の額は、契約書によって定められていますが、一般的には、契約期間の残存期間に応じて算定されます。
3. 合意解約
フランチャイザーとフランチャイジーが合意の上で解約する方法です。違約金が発生しない可能性もありますが、フランチャイザーの同意が必要となるため、必ずしも合意解約が実現できるとは限りません。
4. 契約解除
フランチャイザーが契約違反等の事由に基づいて、契約を解除する方法です。フランチャイジー側に重大な契約違反がある場合、違約金を支払わずに解約される可能性があります。
この中では「2. 任意解約」「3. 合意解約」「4. 契約解除」が違約金の対象となる可能性があります。
フランチャイズ契約解約時の違約金とは?
違約金とは、契約上の義務を履行しなかった場合に支払う金銭のことです。
違約金は、フランチャイズ本部に発生した損害を賠償するだけでなく、今後得られるはずだった利益の損失を補填するという性質も持ちます。
具体的には、以下のような損害が考えられます。
- 出店の機会損失: 加盟店のために確保していた商圏に出店できなくなる損失
- 広告費・人件費の損失: 加盟店のために費やした広告費やサポート担当者の人件費の損失
- ロイヤリティの損失: 契約期間中に得られるはずだったロイヤリティの損失
- ブランドイメージの損失: 加盟店の短期間での閉店によるブランドイメージの損失
フランチャイズ契約を解約する理由
フランチャイズ契約期間が満了しないうちに、何らかの理由で契約を途中で解約させたくなる場合があるかもしれません。
開業時には想定していなかった、下記のような解約理由が発生する可能性があります。
- 想定していたほど収益が見込めず加盟店としての経営を辞めたい
- 病気などで店舗経営を続けていけなくなった
- 家族の都合で引っ越さねばならず、店舗に通えなくなった
- フランチャイズ本部の方針や体制に不満がある
- 予期せぬ自然災害などで店舗に被害があり修復できない
契約はお互いの合意の上で、または一定の条件を満たす場合には、一方的に契約を取り消すことができます。
解約の際、多くの場合は違約金の支払いが条件となります。
フランチャイズ本部と加盟店が合意の上、円満に「合意解約」できる場合には解約金などの費用が発生しない可能性もあります。
特にオーナーの健康上の理由や災害による被害があった場合などは、フランチャイズ本部の理解を得た上で解約の合意が得られるかもしれません。
下記記事でもフランチャイズオーナーについて紹介しています。働き方や店長との違い、メリデメについて解説しているので参考にしてください。
解約に関する注意点
フランチャイズ契約の解約に関して、以下の点に注意しましょう。
違約金の減額交渉は可能
解約理由にもよりますが、フランチャイズ本部によっては、違約金を全額支払う必要がない場合もあります。
もし、どうしても解約せざるを得ない状況に陥った場合、なるべく早めにフランチャイズ本部の担当者や自身のエリアを担当しているスーパーバイザーに相談するようにしましょう。
前述したように、円満に「合意解約」できる場合には違約金や解約金などの費用が発生しないためです。
突然、一方的に解約通知をするのではなく、解約の可能性が考えられる時点でまず相談するようにしてください。
違約金の減額交渉ができないか、誠意を持って相談してみましょう。
悪質な違約金設定になっていないか確認
違約金は契約締結時に自由に設定できるといっても、あくまでも「将来において推定されるさまざまな損失の賠償」という性質があることを忘れてはいけません。
その推定額をはるかに超えるような金額の違約金は「妥当ではない」、つまり暴利行為として民事裁判で取り消されることもあります。
悪質な解約金の設定になっていないか、金額が妥当かどうか必ず自分でチェックしてみましょう。
悪質な例としては、「フランチャイズ本部があまりにも高い売上目標を設定し、そこに到達していないからといって契約解除を言い渡した」「高価な店舗設備を加盟店に導入させて赤字に陥らせ、それを理由に契約解除にした」などです。
フランチャイズ契約時には、実際に業績不振や赤字に陥った際の中途解約に解約金が発生するのかどうかも確認しておきましょう。
このようなトラブルを防ぎ、悪質なフランチャイズ本部に騙されないためにも、外部機関として一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会(JFA)が開示している情報なども参考にしてみてください。
https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/download/21fyFranchiseStart.pdf
※リンクの遷移先はPDFです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります
フランチャイズ本部の責任不履行で解約することも
ここまで紹介した事例ではすべて「フランチャイズ本部が自らの責任と義務を約束通り実行している」という前提でしたが、フランチャイズ本部の責任不履行で解約できることもあります。
そのため、フランチャイズ本部の責任に関しても必ず理解し、それが約束通り履行されているかどうかも確認しましょう。
具体的な例をあげると、下記のような場合はフランチャイズ本部の責任不履行である可能性があります。
- 加盟店が持つ機密情報の漏洩が本部から起こった
- フランチャイズ本部が提供する商品やサービスに欠陥があった
- 約束された加盟店へのサービス・ノウハウ提供が行われない
- 加盟店への報告書類などで虚偽の内容があった
- フランチャイズ本部が倒産した
- 脱税など法律に触れる違反行為がある
もしフランチャイズ本部に責任不履行が生じた場合には、証拠として、メモやメール、該当書類などを書面にして残しておきましょう。
万が一、解約や違約金の支払い合意がとれずに訴訟を起こす場合、重要証拠として使うことができます。
まとめ
フランチャイズ契約解約時の違約金は、契約書によって個別に定められているため、一概には言えません。
しかし、一般的には契約期間内に解約する場合、違約金が発生します。ただし、契約内容次第では減額交渉も可能です。
いずれにしても、解約時の違約金は本部選びの重要なポイントとなるため、慎重に検討する必要があります。
よくある質問
Q:契約解除ならば違約金はない?
A:違約金の支払いを求められることもある
いうまでもありませんが、違約金や解約金という費用が発生する場合というのは、フランチャイズ加盟店の自己都合での中途解約によるものだけではありません。
フランチャイズ本部から期待されている店舗開業や運営に関する契約上の責任を、加盟店が果たしていない場合にも当てはまります。
この場合「契約解除」という措置がとられます。
契約解除に至るには下記のような例があげられます。
フランチャイズ本部との契約内容をしっかり理解し責任を果たさないと、「契約解除になり違約金を支払う結果」になってしまう危険があることも覚えておきましょう。
Q:解約を検討する際に確認するべき契約書の内容とは?
A:解約条件と違約金が特に重要なポイント
フランチャイズ契約を解約する場合は、解約条件と違約金を十分に理解した上で慎重に判断する必要があります。
契約書の内容を熟読し、不明点は弁護士に相談することをおすすめします。
契約期間
フランチャイズ契約期間は、5年~10年など比較的長期間であることが多い
契約期間中は、フランチャイズ本部と加盟店が協力して経営を行う
解約条件
契約書に明記された解約条件を満たす必要がある
主な解約条件は以下の通り
合意解約:フランチャイズ本部と加盟店双方の合意により解約
違約金免除:契約書に定められた理由による解約の場合、違約金が免除される場合がある
Q:違約金の相場はいくら?
A:契約書によって定められているが、算出方法は知っておくべき
実は違約金というものは基本的に民法上、契約時に自由に設定できるものです。
中途解約の違約金が何円で設定されているのか、それとも何らかの計算式で算出されるものかを必ず確認しましょう。
例としては、「3年以内の解約においてはロイヤリティの10ヵ月分」「6年以内の解約においてはロイヤリティの5ヵ月分」など契約期間によって変動する場合もあります。
また、加盟時にフランチャイズ本部へ預けた「保証金」の返還に影響しないかも確認します。
保証金というのは加盟金とは違い、契約完了後には加盟店へ返金される性質を持つものであるからです。
Q:契約期間後なら関係ない?
A:競業避止義務が発生する可能性がある
競業避止義務とは「加盟店がフランチャイズ事業と競合する事業を行わないことを義務付けるもの」で、フランチャイズ加盟契約に含まれていることがあります。
フランチャイズブランド・システム・ノウハウを守る目的で定められており、禁止される競業行為、地域、期間は契約書で定められています。
加盟店の競業避止義務が認められた場合、差止請求や損害賠償請求などが起こる可能性があります。
注意点としては「公序良俗に反する過剰な制限は無効」「違反時の損害賠償額は個々の事案で異なる」といったものがあげられます。
あくまで競業避止義務は双方の利益を守るために設けられているため、内容を理解し、遵守することが重要です。
<文/北川美智子>