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ジュエリーデザイナー・金山晴美さんが、商売以上に大切にしていること

ジュエリーデザイナー・金山晴美さんが、商売以上に大切にしていること

事業を立ち上げる上で最も大切にしなければならないこととは、なんでしょうか。

持続可能な収益を上げられるかどうか。社会的に意義のある事業かどうか。おそらくその答えは、事業を立ち上げる目的によって千差万別です。

今回お話を伺ったのは、ジュエリーデザイナーでブランド「MARUU」代表の金山晴美さん。主にInstagramやECサイトで、オパールやジュエリーなどを販売しています。

今回は、そんな金山さんの事業や独立するまでの経緯、そして商売以上に大切にしていることについて伺いました。

<プロフィール>
金山晴美さん
MARUU代表/ジュエリーデザイナー

高校卒業後にカフェ併設の雑貨店に就職。結婚・出産を経てオーストラリアへ移住し、現地で出合ったオパールに心を惹かれ、オパールの産地である鉱山で石の買い付けをスタート。

帰国後、ジュエリーブランド「MARUU」を立ち上げる。オパールをはじめとしたジュエリーのデザイン、販売事業を展開し、あべのハルカス店をオープン。

コロナ禍を経て、現在はインスタライブでの発信、ECサイトでの販売、ポップアップを開催するなど、経営スタイルを変化させている。

普通の主婦がジュエリーブランドを設立。金山さんが「MARUU」を立ち上げるまで

――まずは金山さんの現在のお仕事について、お聞かせください。

金山さん
「MARUU」というジュエリーブランドの運営をしています。

オパールをはじめとした鉱石を、指輪などのアクセサリーにするためのデザインを考え、ECサイトで販売しています。

――元々、宝石やアクセサリー関係のお仕事をされていたのでしょうか?

金山さん
いえ、宝石やアクセサリー業界での就業経験は全くありませんでした。それどころか、そういった装飾品に興味もなかったんです(笑)。

簡単にキャリアをお話しすると、高校を卒業した後にカフェが併設されている雑貨店に就職して、結婚を機に退職。出産後は専業主婦をしていました。

――では、どういった経緯で「MARUU」を立ち上げられたのでしょう?

金山さん
きっかけは子どもが生まれ、家族でオーストラリアへ移住していた時のことでした。

オーストラリアはオパールの産地として有名なのですが、当時の私はそんなこともつゆ知らず。ある時、街のオパールショップにフラッと立ち寄る機会がありました。

その店に置いてあった、色とりどりで美しいオパールの数々に心を打たれてしまったんです。

以来、少しずつ気に入った石をコレクションするようになりました。気がつくと、好きがこうじてオパールの産地である鉱山へと出向き、買い付けをするようにまでなっていて。

最初はどちらかというと趣味の延長というか、ただ「オパールが好き」という気持ちから始まったんです。

そこから石を仕入れて販売するようになり、2017年に「MARUU」を立ち上げることになりました。

立ち上げ当初はあべのハルカスで常設店を開いていたのですが、コロナ禍以降はオンラインに主軸を移し、現在はInstagramでの発信活動やECサイトでの販売を中心に運営しています。

インスタライブがコミュニティ化。コロナ禍で注力した、顧客との接点

――コロナ禍でオンラインでの販売に移行して、新しく挑戦したことはありますか?

金山さん
Instagramのインスタライブを、ほぼ毎週欠かさず開催するようになりました。

今でも期間限定でポップアップを出すことはあるのですが、常設店を構えていない分、お客さまとの接点の場を定期的に作るよう心がけています。

ありがたいことに、インスタライブは非常に好評でして。私も始めてみるまで予想していなかったのですが、今はもはやインスタライブが一種のコミュニティのような場になっているんです。

――インスタライブがコミュニティの場、ですか?

金山さん
はい。一応「MARUU」の商品の紹介が主な目的なのですが、なぜか私のインスタライブを通してお客さま同士が仲良くなっていて。

「今日、◯◯さん(インスタライブの視聴者)とランチしてきたよー」というコメントを、ちょくちょくお客さまからもらうんです。なんだか不思議ですよね(笑)。

他にも心がけていることとしては、お客さまからのInstagramのDMはなるべく返すようにしています。

MARUUの商品を一度も買ったことがない人とも、ずっと連絡を取り続けているなんてこともありますね(笑)。

究極的には「MARUUで買わなくてもいい」。金山さんが商売以上に大切していること

――商品を買ったことがない方というのは、お客さまというより、お友達に近い感覚なのでしょうか?

金山さん
そうかもしれませんね(笑)。

経済的合理性で考えたら、「MARUU」の商品を買ってくださる方とだけ、連絡を取るべきなのかもしれません。

もちろん、「MARUU」の商品を買っていただけるのなら、こんなにありがたいことはありません。

ですが、私は商売すること以上に、オパールやジュエリーの販売、情報の発信を通して、女性が前向きに楽しく生きていける取り組みをこの事業で実現していきたいんです。

――どういうことでしょうか?

金山さん
実は、オーストラリアで初めてオパールと出合った時の私は、精神的にどん底だったんです。

詳細は割愛しますが、元々オーストラリアへの移住を決めたのも、自分を変えたいと思っていた節がありました。でも結局、海外に行っても「自分の求めていた自分」にはなれなくて。

金山さん
とにかく自分に自信がないし、自己肯定感が低い。そんな中出合ったのが、オパールでした。

オパールは1つとして、同じ模様や輝きを持つ個体はありません。そんな不思議な魅力を持つ石を身につけた時に、気持ちがスッと明るくなったんです。

例えば、美容院に行って髪を切ってカラーをして、お気に入りの服を着て街へ出かけたら、テンションって上がるじゃないですか。

そういった毎日を生きることの楽しさや喜びを、私はオパールから教わりました。

そんなオパールの素晴らしさや魅力をもっと多くの人に伝えたくて、無我夢中で走ってきた結果が、今の「MARUU」の事業になったんです。

――オパールやジュエリーの販売事業を通して、毎日を楽しく生きてほしい。それが金山さんの願いなんですね。

金山さん
そうなんです。オパールやジュエリーは、それだけ毎日を楽しく彩ってくれる存在だと私は信じています。

とはいえ、扱うものがジュエリーである以上、どれだけ良心的な価格設定をしても、値段はそれなりにしてしまいます。

だから究極的には、私のところで商品を買ってもらわなくてもいいとすら思っているんです。

それよりも、インスタライブなどを通じて私と関わってくれた人が、オパールやジュエリーの魅力を知ってくれたり、ちょっとでも楽しい毎日を送ってもらえたりするような取り組みができたらと思っています。

私と関わる人が、少しでも幸せになってほしい。それが、私にとって商売以上に大切なことなんです。

ヒントは思わぬところにある。諦めず、自分らしい事業を見つけよう

――金山さんのこれからの展望を教えてください。

金山さん
現在はジュエリーのデザインや販売が主なのですが、これからは衣食住といった、人間の生活に欠かせない要素の事業に挑戦してみたいですね。

というのも、私のお客さまで重い病気を患ってしまった方がいらっしゃいました。

オパールやジュエリーを楽しむためには、大前提として健康な体を保つことが不可欠です。そんな当たり前なことを、そのお客さまとの関わりを経て、改めて実感しました。

お客さまへの心と体の健康にも、アプローチしていきたいですね。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

金山さん
振り返ると、人生を変える出合いはどこにあるか分からないなと改めて思います。

あんなにネガティブで塞ぎ込んでいた私が、オパールとの出合いを経て、事業まで立ち上げてしまうなんて、今考えてもなんだか不思議な感覚です(笑)。

そんな私から皆さんへ言えることがあるとすれば、事業のヒントは思わぬところにあるかもしれないということでしょうか。

これまでの自分の人生の中にあるかもしれませんし、あるいは新たに出合う何かに隠れているかもしれません。

決して諦めず、ゆっくりとでも様々な可能性に目を凝らす。その先に、ご自身らしい事業が見つかるのではないでしょうか。

MARUU:HP
MARUU:Instagram

取材・文=内藤 祐介

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