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源泉徴収とは? 個人事業主でも源泉徴収義務者になるケースを紹介

源泉徴収とは? 個人事業主でも源泉徴収義務者になるケースを紹介

サラリーマンが給与を受け取る際には、所得税等が源泉徴収されて支給されます。

では、個人事業主となり、従業員に給与を支払う際、源泉徴収は必要なのでしょうか。

また、弁護士や税理士に支払う報酬についても、源泉徴収が必要になるのでしょうか。

今回は、源泉徴収義務者となるケースと、源泉徴収税額の計算方法についてご紹介いたします。

源泉徴収とは

源泉徴収とは、給与や利子などを支払う際に、所得税および復興特別所得税をあらかじめ差し引くことです。

差し引いた所得税等は、給与等を支払う事業主などがまとめて所轄の税務署に納付します。

源泉徴収については、国税庁によって以下のように定められています。

「所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされていますが、これと併せて特定の所得については、その所 得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。」

出典:国税庁「源泉徴収のしかた 平成28年度版」

源泉徴収の対象になるもの

法人に対して支払う費用は基本的に、源泉徴収はありません。

源泉徴収の対象となる支払いは、主に個人に対して支払う報酬や料金です。

個人事業主が支払う費用で、源泉徴収の対象となる代表的なものは、下記です。

・従業員等に支払う給与や賞与、退職金
・弁護士や公認会計士、税理士、社労士などに支払う報酬や料金
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・一人に対して1回5万円を超える原稿料や講演料、デザイン料等
・スポーツ選手やモデル、外交員などに支払う報酬や料金
・芸能人や芸能プロダクションを営む個人に対して支払う報酬や料金
・ホテルや旅館などで行われる宴会において接待を行うホステス等に支払う報酬や料金
・プロスポーツ選手などの契約金
・広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

源泉徴収の対象となるものはその他、利子や配当金、公的年金や生命保険契約などの年金などがあります。

個人事業主が源泉徴収義務者となるケース

源泉徴収を行った相手に変わり、国に納める必要がある者を「源泉徴収義務者」と呼びます。

先述の通り、個人事業主が支払う費用にも源泉徴収の対象となるものが含まれるため、個人事業主であっても源泉徴収義務者となる場合があります。

従業員を雇い給与を払っている個人事業主は源泉徴収義務者となる

個人事業主で従業員を雇い給与を支払っている場合、源泉徴収義務者となります。

一方、パートやアルバイト、青色専従者であっても、常時雇用する従業員がいる場合は源泉徴収義務者となります。

青色専従者とは、個人事業主が一緒に生活しており、事業を手伝ってもらっている人のことを指します。

常時2人以下の家事使用人のみに対する給与支払いの場合は、源泉徴収義務者とならない

ただし、従業員が常時2人以下で家事使用人、いわゆるお手伝いさんのみに対する給与支払いの場合は、対象となりません。

そのため、個人事業主で給与等(青色専従者給与を含む)の支払いがない場合は、税理士報酬などに対しても源泉徴収の義務はありません。

従業員を雇い、給与を支払う場合は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」の提出が必要

従業員を雇い、給与を支払っている個人事業主は源泉徴収義務者となると述べましたが、そもそも従業員を雇って給与を支払うには「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」の提出が必須です。

「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」は、従業員を雇用してから一ヶ月以内に、管轄の税務署に郵送または持参し、提出します。

届出は国税庁のWebページよりダウンロードが可能です。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出(国税庁)

源泉徴収税額の計算方法

源泉徴収税額の計算方法は、支払金額により異なります。

報酬金額が100万円以下の場合

報酬金額が100万円以下の場合、報酬額に10.21%を乗じた金額が源泉徴収税額となります。

源泉徴収額=報酬金額×10.21%

【例:弁護士費用が10万円の場合】

源泉徴収額は10,210円
100,000×10.21%=10,210円

弁護士に支払う金額は89,790円
100,000-10,210=89,790円

報酬金額が100万円を超える場合

報酬金額が100万円を超える場合、源泉徴収税額の計算方法は次のとおりです。

源泉徴収額=(報酬額-100万円)×20.42%+102,100円
【例:従業員に支払う賞与が120万円の場合】

源泉徴収額は142,940円
(1,200,000-1,000,000)×20.42%+102,100=142,940

従業員に支払う金額は1,057,060円
1,200,000-142,940=1,057,060
上記は一般的な源泉徴収税額の計算方法です。

対象となる報酬により計算方法が異なる場合がありますので、詳細は国税庁のホームページをご確認ください。

源泉徴収額には復興特別所得税が加わっている

なお、源泉徴収税額には平成25年から令和19年まで、所得税だけでなく復興特別所得税が加わりました。

そのため、税率はこれまでの10%から10.21%、20%から20.42%となりました。

源泉徴収額は報酬を支払った日の翌月10日までに納付する

源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、原則、報酬を支払った日の翌月10日までに所轄の税務署に納付します。

常時雇用する従業員が10人未満の場合「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することにより、年2回にまとめて申告することができます。

出典:国税庁「個人の方に係る復興特別所得税のあらまし」

まとめ

今回は、個人事業主が源泉徴収義務者になるケースについてご紹介しました。

個人事業主でも常時雇用する従業員がいる場合、源泉徴収の義務が生じます。

詳しい計算方法については国税庁のホームページを確認するか、所轄の税務署に問い合わせると良いでしょう。

PROFILE

ファイナンシャルプランナー 富田浩司

ゴールドマン・サックス証券などの勤務を経て2007年に富田FP事務所を設立。主に、子育て世帯のマネープランをテーマに、講演、執筆活動などを行い、金融リテラシー向上に努める一方、FP相談では本音で話し、本気でサポートするFPとして、多数の顧客から支持を得ている。
<コンサルティングの得意分野>
ライフプラン(マネープラン)、子育て・教育資金、長期分散投資、保険新規見直し、不動産購入・不動産投資、節約経費削減、法人税金対策

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