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株式譲渡と株式交換にどのような違いがあるのか? 株式交換が使われる場面も解説

株式譲渡と株式交換にどのような違いがあるのか? 株式交換が使われる場面も解説

グループ企業経営の安定化を図ることを目的とした資本政策の一環として、株式交換によりグループ企業を子会社化する手法が注目を浴びています。

ここでは、株式譲渡と株式交換の違いについて解説します。

株式交換とは?

株式交換とは、すでに存在する2つの会社の株式を交換することで、いずれか一方が親会社となり、他方が子会社となる形で事業再編を行う手法です。

親会社となる側が、自社株式の一部と交換する形で子会社となる側の100%の株式を買い取ることになります。

株式交換の手法はもともとアメリカで適用されていた制度で、日本では1999年の商法改正により導入が開始、会社法が施行された2006年以降もその根拠が引き継がれています。

株式譲渡と株式交換の違いとは

株式譲渡も株式交換も経営権の移転を前提とした株式売買の手法ですが、「現金支出を伴うのか」「子会社化を前提としたものなのか」という点で意味合いが異なります。

株式譲渡は、株式の売り手側が保有する株式を買い手側に譲渡し、買い手側はその対価として現金を支払います。

必ずしも子会社化することを前提としていないため、譲渡される株式の割合もまちまちです。

手続きが簡単であるため中小企業を対象としたM&Aの場面で用いられることが多いです。

一方、株式交換は株式の売り手側が保有する株式を買い手側に譲渡し、買い手側はその対価として自社株式の一部を提供します。

売り手側を子会社化することを前提とすることが一般的であるため、議決権の3分の2以上の株式を取得するなど、買い手側の経営権の安定化を実現させる形で譲渡が行われます。

株式交換のメリット・デメリット

株式交換のメリットは4点、デメリットは3点が考えられます。

メリット1.買収を行う際に現金が不要である

双方の株式を交換する形で売り手側の株式を取得できるため、買い手側が買収のための資金を準備する必要がなく、資金調達に関するリスクを回避できます。

メリット2.売り手側の株主(オーナー)が買い手側の経営に参画できる

株式交換を行うことで売り手側の株主(オーナー)が買い手側の株式の一部を手にすることができるため、株主として買い手側の経営に参画できることができます。

メリット3.売り手側の従業員にとって抵抗感が少ない

株式交換を行う形で売り手側が買い手側の子会社となった場合、法律上は別法人格として存続し続けることができるため、売り手側の従業員にとって抵抗感が少なくてすみます。

メリット4.子会社の経営に影響を及ぼす少数株主の保有株式を回収することができる

株式交換により完全子会社化してしまうことで、親会社となった買い手側は、子会社の経営に影響を及ぼす少数株主の保有株式を回収することができます。

デメリット1.買い手側が非上場企業だった場合、売り手側は取得した株式の現金化が難しくなるリスクが生じる

買い手側が非上場企業だった場合、売り手側の株主(オーナー)は取得した株式を株式市場で売却することができないため、現金化することが難しくなることがあります。

デメリット2.売り手側が上場企業だった場合、買い手側が取得した株式の株価が下落するリスクが生じる

売り手側が上場企業だった場合、株式市場における取引により株価が変動しうるため、買い手側が取得した株式の株価が下落することがあります。

デメリット3.買い手側の株主構成が変動することで、既存株主の発言権が低下するリスクが生じる

株式交換が実施され、売り手側の株主(オーナー)が買い手側の株主に加わることで買い手側の株主構成が変動し、これにより既存の株主の発言権が低下することがあります。

株式交換はどのような場面で使われるのか

株式交換は、一般的に次のような目的で行われています。

1.M&Aの手段として行う

買収したい企業の株式を株式交換の手法を用いて取得し子会社化することで、買収企業の資源を活用し、あるいは買収企業との間で経営面でのシナジー効果を得ることができます。

2.子会社の経営を安定化させるために行う

株式交換の手法を用い、子会社の株式の3分の2以上を親会社が取得することで、子会社の経営を安定化させることができます。子会社の乗っ取りなど、子会社の経営に不利益を及ぼす株主が存在する場合に有効です。

3.グループ企業を持株会社化するために行う

親会社がグループ企業の株式を株式交換で持株会社化することで、グループ企業の編成を行いやすくなるほか、他企業からの敵対的買収も防止することができます。

まとめ

株式交換では、買い取り資金を準備することなく買収企業を子会社化することができるため、M&Aやグループ企業の再編を円滑に行うことができます。

経営環境変化のスピードが速まっている現代において、機動的に事業の再編を行うための手段として株式交換が有用な手段となることが想定されます。

PROFILE

大庭経営労務相談所 代表 大庭真一郎

東京生まれ。
東京理科大学卒業後、民間企業勤務を経て、1995年4月大庭経営労務相談所を設立。
「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心として、企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。中小企業診断士、社会保険労務士。

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