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保育園のM&Aをする際の事業譲渡と株式譲渡の違いについて

保育園のM&Aをする際の事業譲渡と株式譲渡の違いについて

近年、待機児童が社会問題化していることから保育園(保育所)について関心を持っている方は多いのではないでしょうか。

実は、後継者不足や保育士の人手不足で経営が苦しく、事業譲渡を考えている保育園は多くみられます。

今回は、保育園の事業譲渡について詳しく解説していきます。

保育園とは

保育園とは、保護者(親)の勤めや、病気等の理由により子どもを保育できない状態にある家庭に代わって小学校入学前の児童を対象に保育するために、児童福祉法に位置付けられた「児童福祉施設」です。

保育園には「認可保育園」と「認可外保育園」の2種類があります。

認可保育園

国の法律や通知によって設定された“保育園の設置や運営に必要な基準(職員、食事・栄養、施設整備、保健衛生など)”を満たし、かつ都道府県知事の認可を受けた施設を指します。

さらに、認可保育園は以下の3種類に大きく分類できます。

公立保育園:市区町村が直接運営する
公設民営保育園:市町村が民間に業務を委託して運営
私立保育園:宗教法人や学校法人等の非営利法人が運営

認可外保育園

認可外保育園は国の基準を満たさず、認可を受けていない保育施設を指します。

認可を受けていないからと言って必ずしも認可保育所より劣っているというわけではありません。

認可外保育施設では、夜間や休日の保育園、企業内・院内保育園など、認可保育所では対応できない多様なサービスを行っているところも多いです。

保育園は事業譲渡と株式譲渡が可能

民間企業が保育園事業に参入できるようになり、保育園の事業譲渡・株式譲渡が増加しています。

事業譲渡が増えている要因の一つは“保育士不足”です。

保育園へのニーズは高いものの、保育士の労働条件はハード・低賃金であるため保育士として働く人が少なくなり、保育士不足になってしまいます。

すると、運営に支障が出て経営危機に直面するため、事業譲渡が必要になるのです。

もう一つの要因は“経営者の高齢化”です。

保育中の園児のためにも保育園の継続は必要ですが、経営者が高齢化しているにもかかわらず後継者がいない場合、事業譲渡をするのです。

事業譲渡とは

会社の一部の事業を第三者に譲る(売却する)ことを意味します。

保育園の事業譲渡の対象は、保育園の有形資産(土地・建物・設備機器など)や無形資産(企業文化や経営ノウハウなど)、人材(保育士など)といったすべての財産です。

また、事業譲渡では契約により、会社が営んでいるすべての事業を譲渡すること・一部の事業のみを譲渡すること、どちらも可能となっています。

そのため、保育園を運営している会社が保育園以外の事業を行っていれば“一部譲渡”、保育園のみ運営している企業なら“全事業譲渡”となるのです。

保育園の事業譲渡のメリット・デメリット

・メリット

メリットは、買う側・売る側が譲渡対象の事業を契約時に選択できるので、両者にとっても都合の良い売買が可能という点です。

・デメリット

デメリットは、事業譲渡して経営者が変わると各種の契約・許認可が白紙になるため、再度手続きが必要になるという点です。

認可保育園の場合、許認可の管理をしている市町村に再申請し許可をもらう煩雑な手続きを行う必要があり、時間も手間もかかります。

認可外保育園の場合、認可保育園よりも手続きは簡単になります。

しかし、事業譲渡後には都道府県に変更の届け出をする必要があるため、一般の会社の事業譲渡より時間やコストはかかってしまいます。

株式譲渡とは

会社の株式を売買することで経営権を譲渡する方法です。

株主が変わるだけなので、法人名・会社の債権債務・契約関係などはすべて引き継がれます。

そのため、対外的には大きな変化なく譲渡できるのが特徴です。

保育園の株式譲渡のメリットデメリット

・メリット

株式譲渡では、事業譲渡より手続きに手間がかからないため時間やコストの浪費を抑えられます。
また、株式比率の設定が自由なため、買い手・売り手の意向に合わせて変えられるのもメリットです。

・デメリット

学校法人・宗教法人などの非営利法人が運営する保育園は株式を発行していないため株式譲渡を行えません。

事業譲渡できる保育園と比較すると、対象数が少ない点はデメリットと言えるでしょう。

また、株式譲渡は包括的承継(売り手側会社の全てを承継)となるため、簿外債務など事前に把握できないリスクや不要な事業なども承継しなくてはいけません。

保育園を事業譲渡する際の注意点

手続きの煩雑さ

保育園は認可保育園・認可外保育園とも市町村への申請・届け出が必要になるため、譲渡終了までの手続きを把握したスケジュール設定が重要です。

従業員(保育士)・園児・保護者の理解

事業譲渡を行うと、従業員とは再度、雇用契約を取り交わさなければなりません。

事業譲渡後の労働条件によっては従業員が離職する可能性があるため、従業員への説明が大切になります。

また、園児や保護者に対しても納得する説明で同意を得ていないと保育園を離れてしまう可能性があるため注意しましょう。

譲渡後の経営戦略

近年、保育園も保護者のニーズの高まりから良質な教育や保育環境を高めるなど多種多様なサービス競争によって差別化を図っています。

事業譲渡後の保育園経営についてしっかりした戦略を作らなければなりません。

まとめ

保育園の事業譲渡・株式譲渡は一般会社と違い、公共性が高い・事業形態により対応が変わる・保護者への心証も意識して行わなければならない、といった特徴があります。

そのため、事前調査などの準備には周到な時間を要します。保育園の事業譲渡の際には、専門家やM&A関連会社などにも相談してサポートを得ながら行いましょう。

PROFILE

善木 誠

岡山県岡山市在住でビジネスコンサルタント(株式会社スコーレメディア代表)として小規模事業者向けの経営コンサルタントをしています。
[資格]働き方改革マスター、個人情報保護審査員、経営士

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