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【税理士監修】脱サラする前に夫婦や家族で話すべき「脱サラ時に用意すべき貯金額」

申告・納税

いざ独立開業!その前に、家族にはきちんと話をしましたか?

脱サラは自分自身だけでなく、家族の人生にも大きな影響を及ぼします。実際に行動を起こす前に、きちんと話し合いをしておきましょう。

脱サラの成功率

“脱サラをした”という意味ではなく、“脱サラを継続できている”という意味で、脱サラの成功率は3~6%といわれています。脱サラを成功させるのは簡単ではありません。

それでも脱サラを希望する人が絶えないのはなぜなのでしょうか。脱サラをするメリットとデメリットをそれぞれいくつか挙げていきます。

【脱サラのメリット】
・働く場所や時間、働き方をすべて自分で決めることができる
・一緒に働く人を自分で選べる
・会社員よりも収入が増える可能性がある

【脱サラのデメリット】
・収入が不安定になりやすい
・税金や費用などの自己負担額が多くなる
・収入や支出の管理を自分で行う必要がある
・クレジットカードやローンなどの審査が通りにくくなる

これらのメリット・デメリットを把握し、理解した上で脱サラをするべきか否か、決めるようにしましょう。

脱サラニートになりやすい人の特徴3選

夢にまで見た脱サラをしても、自分で仕事を始められなかったり、再就職できなかったりすると、「脱サラニート」になってしまいます。人生をより豊かにしたくて脱サラしたはずなのに、脱サラニートになってしまっては元も子もありません。脱サラニートになりやすい人の特徴を3つお伝えします。

1.仕事へのモチベーションが保てない

将来どうなりたいかや、仕事へのやりがいを見出せない、仕事へのモチベーション・信念がない人は脱サラニートになりやすいです。

2.逃避癖がある

会社員であれば、仕事の失敗や人間関係から逃げたくなるときもあるでしょう。しかし、そのような理由で脱サラを検討している人は、脱サラ後に再就職や起業したとしても上手くいきません。

3.計画を立てて行動ができない

長期的・短期的に計画して目標を立てられない人は脱サラニートになる可能性があるでしょう。事業を運営するためには、長期的な目標を立てた上で、短期的な目標を立てながら経営をしていく能力が必要となります。

開業資金の分類について

独立・開業したら月々の生活費や社会保険料などの税金やさまざまな資金が必要なので、多めに資金を用意しておくことをおすすめしています。以下では、脱サラするときに必要となる開業資金の分類を紹介します。

1.生活資金

先に開業資金に目が行きがちになりますが、生活資金を最優先に考えて資金を準備することが重要です。

会社員時代の生活費を基準に、月々の家賃・水道光熱費・食費・日用品・通信費代などの金額を明確にしておきます。お子さんがいる場合は、教育費なども考慮する必要があります。開業資金の準備を機に、家計の出費を見直すのも良いでしょう。

脱サラに向けて確保しておく生活費は、3ヵ月から6ヵ月分が目安といわれています。しかし、事業が軌道にのるまでの時間を考慮して、1年分の生活費を準備しておくことをおすすめします。

2.税金、社会保険料

生活費の一部として社会保険料が発生します。

また、開業する事業や売り上げによっては、個人事業税・所得税(法人税)や消費税などの納税義務も発生します。

2023年10月からは消費税にインボイス制度も導入されるので、確認しておきましょう。

「インボイス制度の概要」(国税庁)

3.開業資金

開業方法や業種によって開業資金は大きく変わります。

自宅で開業する場合:数十万円程度
都市部の一等地に店舗を構える場合:1000万円以上
フランチャイズに加盟する場合:300万〜500万円前後の加盟金など
法人として開業する場合:登記費用の他に資本金も必要

合同会社・株式会社とも資本金1円以上で開設できますが、社会的な信用面を考えると100万円~300万円前後の資本金が必要といえるでしょう。

4.運転資金

事業をスムーズに進めるためには、運転資金が必要不可欠です。生活費とは別に、業務に関連する費用は3ヵ月~6ヵ月分を目安に運転資金を準備しておきましょう。

例えば飲食店を開業する場合、家賃だけでなく材料費などの仕入れ費用が発生します。スタッフを雇わず自分1人で店舗運営するにしても、月100万円ほどの運転資金が必要でしょう。

5.予備費

万が一ケガや病気をした場合には、治療費や入院費用などが必要となります。民間の医療保険や生命保険に加入していれば、保険金の給付を受けられますが、貯金があることで安心感が生まれます。

また、治療が長期化した場合でも生活費を確保できるよう、所得補償保険に加入しておくのも1つの方法です。

こちらもおススメ!
こちらの記事では、フリーランスにおすすめの保険をご紹介しています。

「フリーランスにおすすめの保険は?万が一のときのために加入しておきたい保険18選」

脱サラ時の保険の見直し

事業を始める前に予め検討をしたいのは保険です。

自分に万が一のことがあったとき、会社員であれば私生活面での保障だけ考えておけば大丈夫です。

しかし経営者になった場合には、事業面での保障も必要になります。そのことを考えないままでいると、万が一のことがあったときに家族が路頭に迷いかねません。

脱サラをするときは、きちんと「経営者向けの保障体制」を構築するようにしましょう。

脱サラ後の自身の保険はどう見直す?

“会社員ではなくなる”ということは、安定的に得ていた収入がなくなるとともに、医療保険や年金など加入していた社会保険ではなくなります。

1.国民年金

脱サラをし“自営業”となれば、自分で国民年金に加入して第1号被保険者になります。会社員であれば、厚生年金保険に加入することで、障害年金・老齢年金・遺族年金のいずれについても、国民年金(基礎年金)に上乗せして年金が支給されます。しかし、自営業者は厚生年金への加入ができず、国民年金のみの支給になります。年金の支給額については自営業だと少なくなってしまうため、自身で年金保険に入ったり、貯蓄や運用をしたりするなど工夫するようにしましょう。

2.障害年金

予期せぬ事故で障害を負ってしまったとき、会社員であれば、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。

しかし、自営業者の場合は、過去に厚生年金保険の加入歴があっても老齢年金のように過去の加入歴に応じて支給されるということはありません。脱サラ後に障害を負ってしまった場合に、支給されるのは障害基礎年金だけとなります。そのため、民間の保険商品の加入なども検討したほうが良いでしょう。

年金については、さまざまな側面から事前に検討をしておくこと をおすすめします。その他、例えば自営業(個人事業主)として起業するのではなく、会社を設立しその代表として役員報酬を取る場合、会社員のときと同じように社会保険に加入することができます。 そういった社会保険の側面でも起業する際は会社設立を検討すると良いでしょう。

こちらもおススメ!
こちらの記事では、会社設立について解説しています。

「会社設立のメリットやデメリットとは?おすすめの会社設立代行まとめ」

失業手当について

退職して失業保険が受給できるのは、企業に再就職した場合だけだと思われがちです。確かに起業することが確実な人は失業保険を貰えません。しかし、まだ起業するか検討段階で、求職活動と並行して、起業の準備・検討をする場合、一定の条件を満たした上できちんと申請すれば、起業したとしても失業保険が受給できます。

会社を辞めて開業をした場合、失業手当を受け取ることができる要件は以下の2点になります。

1.ハローワークに来所して求職の申込みを行うなど、積極的に就職しようとする意思があり、いつでも就職できる能力がある状態である。それにも関わらず、職業に就くことが本人やハローワークの努力によってもできない「失業の状態」にあること。

そのため、次のような状態では失業手当を受けることができません。

• 病気やケガが理由で、すぐには就職できないとき
• 妊娠・出産・育児が理由で、すぐには就職できないとき
• 定年などで退職をし、しばらく休養しようと思っているとき
• 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

2.離職の日以前2年間に、通算して12ヵ月以上被保険者期間があること。
ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、通算して6ヵ月以上被保険者期間がある場合でも受給は可能です。

これらの2点の要件を満たした場合のみ、失業手当を受け取ることができます。

「基本手当について」(ハローワーク インターネットサービス)

脱サラ時の私生活の見直し

私生活の見直しをするとき、出来る限り具体的に検討をすることが大切です。

・食事について、材料はどのようなものまで許容するのか
・外食は1ヵ月に何回までとするか
・子どもの習い事は何を絶対に続けたいのか
・家族旅行はどこに、どれくらいの回数行きたいのか
・車は必要か?必要だとしていくらぐらいのものなのか

事業での見直しに比較すると、私生活での見直しはどうしても曖昧になりがちです。自分自身の生活に関わることなので、どうしても自分に対して甘くなってしまいますが、事業に比べれば私生活はそのほとんどを自分自身で制御できます。

「この贅沢については、事業で成果が出るまで我慢しよう」と覚悟を決めれば良いだけです。そういったことに関して、ご自身と家族の間で話し合っておくことが、安定的に事業を継続することにも繫がります。

現状把握はできているか?

私生活について話し合う場合、一番難しいのは「現状を把握している人が本当に少ない」ということです。

事業に関していえば、一年に一度は税務申告をしなければならない関係上、会計帳簿を作成しますので事業の現状をある程度把握することが可能です。

一方、私生活面に関してはどこかに提出したり申請したりする必要性がないので家計簿のようなものをつけている人があまりいません。結果、私生活での資金繰りや貯蓄について検討をしようと思っても、検討するための材料が揃っていないことが多いのです。

そのため、まず独立・開業を考えるためにも、せめて1ヵ月でも良いので家計簿をしっかりとつけてみることをおすすめします。

自分と家族がどれくらい私生活でお金を使っているのかを確認した上で、独立・開業に向けた話をする必要があります。

家族と話し合うべきこと

脱サラ後、事業を始めるにあたり心がけたいことは「最初の1年は我慢する」ということです。起業は最初から上手くいくことはほとんどありません。

事業を始めて1年目に1番お金がかかるといわれています。そのため、最低1年分の生活資金を事前に用意しておく必要があります。

また、家族からの理解を得るためには根気が必要です。安定した収入を前提とした生活を送っている家族にとって、家族が脱サラをすることは不安が伴うことです。

脱サラ後、起業することによる家族に与えるデメリットは以下の2つが考えられます。

・やり方によっては、家族で一緒にいる時間が減ってしまう
・失敗したときの苦しい生活に巻き込んでしまう

脱サラ後、起業することで家族にとってのメリットは以下の3つです。

・好きなときに好きなことができる
・一緒にいる時間を増やせる可能性がある
・収入が増えて裕福な生活ができる可能性がある

メリットやデメリットを伝え、しっかりと根気強く話し合っておく必要があります。

金銭面以外の話し合いも必要

貯蓄や生活費といった金銭面ももちろんなのですが、実は価値観についても家族と話し合っておくことが大切です。

残念ながら、人間には向き不向きがあります。それは家族についても同様で「経営者の家族に向いている人と向いていない人」がいます。

極端な例ですが、ある男性が独立・開業をした後、妻から「私は会社員の妻が良かった!」と宣言されて離婚された、という話もあります。その女性にとっては、脱サラをして経営の世界に乗り出すよりも、会社員として毎月一定の収入を得られる生活を送ることが希望だったのです。

もう少し踏み込むと、仮に離婚まで至ったとしても自分は脱サラをしたい!とまで感じているのであれば家族への躊躇は一切、不要かもしれません。

脱サラをするというのは、それくらい自分自身と家族との価値観を揺さぶる行為なのです。脱サラは自分だけでなく、家族にとっても人生の転換点となります。自分の感情だけでなく家族に配慮しながら脱サラの準備をすることで、脱サラ後にサポートしてもらえたり、前向きに頑張れる活力となったり、プラスに働くこともあります。最初からあきらめるのではなく、家族を説得できるくらいの計画を立てて、しっかりやる気をアピールするように心がけましょう。

まとめ

脱サラをするにあたり、私生活面についても事前に検討が必要です。

まず家計簿等を活用して自分の現状を把握すること、その現状から考えて必要な貯蓄額を検討し、私生活について見直しをする場合には出来る限り具体的な行動に言及することが大切です。

また保険等による保障体制も準備が必要となるでしょう。

金銭面だけでなく、価値観についても家族とすり合わせが大切といえます。

<文/ちはる>

<監修>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

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