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コロナ禍を経てフリーライターからPR会社社長へ、山田佳奈恵さんの“攻め”の業種転換

コロナ禍を経てフリーライターからPR会社社長へ、山田佳奈恵さんの“攻め”の業種転換

業種転換。

ある事業が上手くいかなくなった時に、新たな商品やサービスを作り、主たる業種を変更することを言います。

新しいことを学び、それを仕事にしていくことは簡単なことではありません。ましてや個人事業主や起業家となると、新しいことを学んでいる時の生活の保障はどこにもありません。

今回お話を伺ったのは、PR会社を経営する山田佳奈恵さん。フリーライターとして活動し起業もしていた山田さんは、コロナ禍を経て収入が激減。

そしてPR・広報を学び、現在はPR会社として生まれ変わりました。

山田さんはいったい、どのように業種転換を果たしたのでしょうか。そしてライターと広報・PRの意外な共通点もお聞きしました。

<プロフィール>
山田佳奈恵さん
株式会社グラヴィティ 代表取締役

大学を卒業後、農林漁業金融公庫(現・日本政策金融公庫)に入庫。
2年目から広報部に所属し、融資先向けの広報誌の編集を担当。

その後独立しフリーライターとなり、2014年には法人化。編集プロダクション事業とライター育成事業を展開する。
しかし2020年からのコロナ禍を経て、収入が激減。再起を図るため、融資を受け、広報・PRマーケティング手法を学ぶ。
現在は、PR会社として大きな方向転換を果たす。

フリーライターからPRへ。山田さんが業種転換をした理由

――まずは現在のお仕事について教えてください。

山田さん
広報・PRの代行、コンサルティング事業を行っています。

主に個人事業主や中小企業など、広報やPRに専任のスタッフがいない会社や事業主の、広報・PR領域にまつわる業務を請け負っています。

――となると、起業する前から広報やPRのお仕事をされていたのでしょうか?

山田さん
いえ、元々はフリーライターをしながら、編集プロダクションやライター養成の事業をしていました。

コロナ禍がきっかけで、現在の広報やPRの事業に舵を切ることになったんです。

――ライター業からPR業に業種転換をされたと。その経緯を詳しく教えてください。

山田さん
新卒で入庫した農林漁業金融公庫(現・日本政策金融公庫)で情報誌の編集を担当し、そこで数多くの取材を経験させていただきました。

取材の仕事をもっとしたい、と思うようになり、フリーライターとして独立。

独立して2年後には法人化し、ライティング業務はもちろん編集プロダクション的な業務や、ライターの養成講座なども開くようになったんです。

主に士業や医療/美容系の取材案件の仕事を請けていたのですが……コロナ禍を経て収入が激減してしまったんです。

山田さん
実は、コロナ禍になる前、知り合いの編集プロダクションの人から「山田さん、プレスリリースとかメディア向けの提案書を書けませんか?」と聞かれたことがありました。

そして広報・PRとしてなら、今まで関わったことのない、さまざまな企業さんと一緒にお仕事ができると思い、広報・PR業へ業種転換をしようと思ったんです。

「融資は自分の脳みそに投資すること」。融資を受けるからこそ、“攻めの姿勢”で業種転換を目指した

――フリーランスが異業種への事業を転換するとなると、会社員の「転職」とは異なり、移行中の収入も保証されない上、充実した教育システムもあるわけではありません。その点で非常に苦労しそうですが……?

山田さん
おっしゃる通りで、かなり苦労はしました。

でもここで動かなければ、どのみち収入はなくなってしまうという瀬戸際でした。

だから私の中ではもう「行動するしかない!」という背水の陣のような思いが強かったですね。

古巣である日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を活用し、融資していただきました。

そしてそのお金を元手に、PRの手法を学ぶセミナーを受講したんです。

――コロナ禍で資金難に陥っている中での融資なら、他に使い道もあったのではないですか?

山田さん
いえ、PR関連に投資する以外の選択肢は、全く考えていませんでした。

というのも、友人の女性起業家から「融資は自分の脳みそに投資すること」というアドバイスを受けていたんです。

彼女は、融資されたお金を上手に活用して、自分の会社を年商億単位にまで成長させた実績がありました。そんな彼女からのアドバイスには、重みがあったんですよね。

せっかくお金を貸していただいたのですから、今までとは違う、新しいことをするための「攻めたお金の使い方」をしないと、意味がないなと思っていました。

こうしてPRについて学びながら、お仕事の斡旋があるセミナーに参加することになりました。

セミナーにエントリーした時には「借りたお金は絶対返さないと!」と意気込んでいたのですが、そうした心意気もあってか入塾してわずか1カ月でお仕事をいただき、他にもお仕事をご紹介いただけたんです。

そしてありがたいことに、いくつもの企業さんと一緒にお仕事させていただくことになり、現在に至ります。融資していたお金も、すぐに完済することができました。

人や企業の「良さ」を見つけて言語化することは、フリーライターもPRも変わらない。

――フリーライターとして独立して以来の、「2度目の独立」を成功させた山田さん。ライターとPR、一見すると全く違うお仕事ですが、共通点はありますか?

山田さん
ライター業もPR業も、お仕事をご一緒する中で、その人の「良さ」を見出して言語化するというのは、共通していますね。

昔も今も、お仕事をご一緒させていただく会社さんや経営者の方は、皆さんとても優秀で素敵な方ばかりです。

そんな会社さんやその人らしい「良さ」を見つけて、言語化し発信する。仕事の業種や形は変われど、それが私の根幹なんだなと思います。

――山田さんのこれからの展望を教えてください。

山田さん
PRの養成講座を作りたいなと思っています。かつてはライターとして、ライターの養成講座を開いていたのですが、PRでもその領域に挑戦したいなと。

PRやマーケティングは、何か自分でサービス、商品といったコンテンツを持っている人を、世の中に知ってもらうお手伝いのできる素敵な仕事です。

そんなPRやマーケティングについて、1人でも多くそのノウハウを知ってもらえるよう、活動の幅を広げていけたらいいですね。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

山田さん
独立・起業の素敵なところは、自然と仕事に対して前のめりになれるところだと、私は思っています。

会社員時代、仕事そのものに不満があるわけでもなかったのですが、月曜日の朝になるとなんか「会社行くのだるいな……」と思ってしまう瞬間が、私にもありました。

でも独立・起業をしてからは違いました。

今日、どんな仕事をするのかは全て自分次第。究極的には仕事を「しない」という選択肢もあります。

全て自分で意思決定をできるからこそ「さて、今日は何をしようかな」と、朝起きるのが楽しくなったことを覚えていますし、独立して10年以上経つ今もなお、それは変わりません。

もちろんその分、責任も全て自分にかかってきますが、自分の人生のイニシアチブを取っていたいという人にとって、独立・起業はとてもいい選択肢だと、私は思っています。

取材・文・撮影=内藤 祐介

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