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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第140回・アンチエイジングマニア

独立ノウハウ・お役立ち

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

以前、業界の人に教えてもらった話なのですが、「アンチエイジング」の市場には4つの分野があり、それぞれの市場で異なるビジネスが展開されているそうです。4つの分野のうちの1つは「予防」なのですが、さて、残りの3つは何でしょうか?

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

今回はちょっと趣向を変えて、業界知識的なクイズを出題しました。

以前、アンチエイジングの仕事をした際に、業界の人に「アンチエイジングの市場には4つの分野がある」という話を教えてもらったことがあります。それぞれに異なるビジネスが展開され、異なる商品や商材があるそうです。

4つの分野のうちの1つが「予防」です。それを参考に、残りの3つを想像してみてください。業界にいる人はご存知だと思いますが、それ以外の人は、頭の体操だと思って考えてみてくださいね。

それでは解説します!

実は私はアンチエイジングのマニアであり、20年以上前から自分の体を張っていろいろなことを試してきました。例えば、男性型の進行性脱毛症といわれる「AGA」の治療は、30代後半から20年以上も続けています。

まさにAGAの治療は、1つ目の「予防」に当てはまります。予防とは言葉の意味の通り、治療などを行って前もって防ぐこと。AGAの治療でいうと、毛根を強くして髪の毛を抜けにくくすることがそれにあたり、私の場合はプロペシアという薬を処方してもらって飲んでいます。

2つ目が「直すこと」で、一言で言うと「再生」です。髪の毛の話で例えるなら、抜け毛が増えてきたことから、発毛剤を使って髪の毛を生やそうとするのがまさにそれです。

そして3つ目が、再生と似ているのですが、「再建」です。元に戻らなくなってしまった場合に、以前のように新たに築き上げることです。発毛剤を使っても効果がない場合に植毛したり、ウィッグを作ったりして装着する、といったことです。

最後の4つ目が、この話のオチでもあるのですが、「ごまかす」です。

植毛するのではなく帽子をかぶって隠したり、服装を若作りして印象をちょっと変えたり、あとはCMなどで見かける「黒い粉」のようなものを髪の毛にふりかけて頭部を黒々とさせるアレも、いってみればごまかすためのものでしょう。

もっとも市場が大きいといわれるのが「ごまかす」

アンチエイジングにおいては、誰しも「予防」が大切であることは分かっています。しかし、消費者にとってのパラドックスのようなもので、ほとんどの人は必要だと分かっていながらできておらず、悪化してから「再生」を試みます。

ただ、この再生というのが非常に厄介で、「特効薬がない」といわれています。ニーズが一番高いにもかかわらず、非常に効率が悪いのです。

それで仕方なく3番目の「再建」に進むわけですが、ここは非常にお金がかかります。いうなればそれだけ市場としては大きいわけですが、消費者からしたら悩ましいところです。

そうなると、再建を頑張るか、あきらめて「ごまかす」かのいずれかになる・・・というのが、アンチエイジング市場の大きな流れというわけです。

実はこの「ごまかす」が、市場としては最も大きいのだそうです。

1つの例えとして、アンチエイジングマニアの私が実践していることをいくつかお話ししてみましょう。

まず、BBクリームというファンデーションのようなものを使って、顔のシミや目の下のくまなどを隠します。また、肌を引っ張り上げるリフトアップテープを目立たない場所に貼って、ほうれい線を隠します。

あとは、耳を少し前に立たせるために紙粘土で作った小さな「かた」のようなものを耳の後ろに挟みます。歳をとって表情筋が弱くなるとどうしても仏頂面になってしまいますが、耳が少し立つだけで”ひょうきんさ”が増し、表情が豊かになるのです。

この3つだけでだいぶ印象が変わるようで、自分でいうのもなんですが、年齢より若くみられることが多いです。

ただ、ここで伝えたい一番のポイントは、シミを隠すクリームも、ほうれい線を隠すためのテープも、耳を立たせるための紙粘土も、すべて百均で買うことができます。そう、「ごまかす」のにはそれほどお金がかからず、「再建」とは大きな格差があるのです。

あなたのビジネスに当てはめるとしたら?

今回はアンチエイジングを扱う業界の話を紹介しました。知識としても面白い話ではありますが、実はこうした話、いろんな業界で示唆があるかもしれませんよね。

皆さんのビジネスでも当てはまるものがないか、ぜひ考えてみてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「再生、再建、ごまかす」の3つでした。結局は「予防」にしっかりお金をかけておけば、その後の「再生」も「再建」も必要がなくなるわけです。これはアンチエイジングに限らず、健康など、いろいろなことにも当てはまりそうですね。

構成:志村 江

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PROFILE
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(ともにPHPビジネス新書)など。

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