起業するにはお金がかかります。これはホントに想像以上にかかります。多くの人が起業後に気づくことですが、資金は最初に想像した額の「3割増」から「倍」くらいは必要になると思っていてよいかと思います。店舗の保証金、内装、車輌などの設備資金、賃料など店舗・事務所の維持費、人件費、広告宣伝費、その他諸経費……。
「融資」が大事なワケ
自己資金でカバーできないのは普通のこと。では、これをカバーするためにどうやって資金を調達するか。
1つは、起業時に受け取ることができる助成金・補助金。
これは、国や自治体が中小企業振興や雇用促進のために支給する返済不要のお金で、数百万円という高額のものもあります。
要件や手続きは各助成金・補助金によってさまざまですが、ただ、1つ覚えておいてください。
仮に助成金・補助金が受けられたとしても、入金されるのは数カ月後~半年後くらい。
しかも、お金を先に使い、それから受け取るという制度が大半です。
ということは最初に頼るべきは助成金・補助金ではなく「融資」です。
「創業融資」とは
「創業融資」とは、起業したばかりの会社や個人事業を対象とした公的融資制度のことです。
まだ実績と信用の少ない起業家に対して、金融機関がお金を貸してくれることはほとんどありません。そこで国や自治体が起業家のために用意しているのが「創業融資」なのです。
「創業融資」は大きくわけて2つあります。1つ目は政府系金融機関である日本政策金融公庫の創業融資。2つ目は各自治体(都道府県、市区町村)が扱う創業融資制度です。
この両者は同じようでいて、実は以下のような大きな違いがあります。
(1)日本政策金融公庫の創業融資
◎メリット
・申し込みから審査までが早い。(通常1カ月程度)
・自己資金の要件は厳しくない(自己資金が少なくてOK)
・無担保無保証(担保・保証人なし)で融資が受けられる新創業融資制度がある(起業家に非常に有利!)
△デメリット
・金利が若干高い
(2)自治体の創業融資
◎メリット
・金利が低い。自治体により利子補給(利息の一部を自治体が補助)制度を用意している。
その場合は、より低い金利で借りることが可能。
△デメリット
・申し込みから審査まで時間がかかる(通常2~3カ月ほど)
・自己資金要件が厳しいことが多く、自己資金を多めに用意する必要がある
このような違いがあるため、どこから資金調達するのが最適なのか、よく見極める必要があります。
公庫と自治体、どちらの融資を選択したらいい?
起業するにあたり、大切な感覚の1つに「スピード感」があります。チャンスを掴む人は何でもスピードが速いです。
まさに機を見るに敏。チャンスを逃しません。
例えば店舗が必要な業態の場合、どれだけ良い物件を獲得できるかが勝負の分かれ目。
全ての面で納得できる優良物件というのはそうそうあるものではありません。
では、目の前に超優良立地で格安賃料の物件を見つけたらどうしますか?
すぐに押さえて契約したいですよね。
ただ、保証金、前家賃、仲介手数料などの費用を考えると、融資が実行されてからでないと無理だとしたら…。
そんなとき選択すべきはズバリ、日本政策金融公庫の創業融資。
申し込み、審査、融資実行まで1カ月前後(場合によっては1週間くらい)で完了します。
一方、自治体の創業融資は2~3カ月くらいかかるのが当たり前。
それを知らずに融資を申し込んでいたら、もたもたしている間に超優良物件がなくなってしまう可能性もあるのです。
【まとめ】
・「創業融資」とは、起業したばかりの会社や個人事業を対象とした公的融資制度。
・「創業融資」は大きくわけて2つあり、それぞれメリットデメリットがある。
次回は、「創業融資」の審査のポイントについてご紹介します。