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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第8回・便利なセルフレジ

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第8回・便利なセルフレジ

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

Q.ファーストリテイリンググループに、「GU(ジーユー)」というブランドがあります。GUのいくつかのお店ではセルフレジが設置されているのですが、スーパーや小売店などほかのお店にあるセルフレジではほとんど見かけない、とても便利な機能が搭載されていることで話題になっています。会計が非常に簡単かつスピーディーに行えるその機能とは、どのようなものでしょうか?

ヒントは、これが導入されていることで、よくあるセルフレジでは面倒なことが省略できます。このセルフレジを使ったことがある人は、振り返ってみて、どうして便利だったのかを思い出してみながら、その理由を考えてみてくださいね。

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

スーパーやコンビニ、飲食店、小売店など、あらゆるお店でセルフレジの導入が進んでいます。いきなりセルフレジに通されて戸惑った経験がある人もいるのではないでしょうか。

お店としては、人件費の削減につながったり、混雑の緩和も期待できるので、今後も導入は進むと思われます。とはいえ、現状は規格が統一されているわけでもなく、使い方もお店によってまちまち。慣れないうちは逆に時間がかかったり、不便だと感じる人も少なくなさそうです。

そんな中、衣料品や装飾品を販売している「GU」のいくつかのお店で導入されているセルフレジは、最新系といっていいものかもしれません。今後、流通のあらゆる場面で導入が進むであろう「とある機能」が、先駆けて導入されているのです。

おかげで、来店者の様子やネットでの反応を見ていても、「非常に便利」「全店に早く導入してほしい」といった声が多く寄せられているようです。これから事業を始めようと思っている人は、最新事例として注目しておいて損はなさそうです。

それでは解説します!

GUのセルフレジでは、どのように精算を行うのでしょうか。その流れを紹介してみましょう。

まず、商品を全てセルフレジに設置されているボックスに入れます。蓋を閉めてボタンを押すと、入れた商品の点数と精算した金額が表示されるので、あとは支払いをして商品を自分で袋に入れます。

これだけなのです。「簡単だ」「便利すぎる」などといわれる理由がお分かりいただけたかと思います。

注目したいのは、レジで必ず見かける「バーコード」を読みこませる作業が省略されている点です。ここに気付くことができた人は、正解まであと少しです。

では、GUではバーコードを読まないかわりに何をしているのか。実は、全ての商品に電子タグが付いているのです。正確に説明するなら、商品にはID情報を埋め込んだタグが付いていて、その情報を機械(レジ)が無線通信で読み取ることで、商品の点数や値段を瞬時に判別している…というわけです。

コスト面がクリアになれば、駄菓子にだって電子タグが付く

こうした電子タグは、小売業に大きな変革をもたらすものとして有望視されています。セルフレジの例を1つとってみても、あらゆることが効率化できるのは間違いなく、今後はものすごいスピードで人々の生活の中に入ってくると思われます。

ただ、現状では電子タグそのもののコストが高いという問題点があり、便利だとは分かっているが、なかなか導入が進んでいません。しかしあと数年のうちには間違いなくコストが下がり、気軽に使えるものになってくるでしょう。最終的にはコンビニで売っている商品の全て、それこそ10円の駄菓子にも電子タグが付く時代が来ます。

多くの小売店が電子タグを導入するとなった場合、その目的は、商品の受発注管理の効率化や、万引き防止といったことになるでしょう。

今回、皆さんに着目してもらいたいのは、「このような電子タグが付いた商品が家の中に入ってくる時代がもうすぐやってくる」というところです。商売の仕方だけでなく、我々の生活そのものも大きく変わるのは間違いないからです。

ぜひ、その時にどんな変化が起こりそうか、どんなビジネスチャンスが生まれそうかを、頭のトレーニングとして考えてみてください。

電子タグが「買うべきもの」を教えてくれる!?

せっかくなので、起こり得る変化について、私なりにいくつか想像してみます。

例えば、台所や食品庫の近くにタグを読み取るセンサーのようなものを設置することで、その時に家の中にどれだけの食品(食品ストック)があるのかが瞬時に分かるようになるはずです。

例えばカップ麺の在庫がいくつあって、そのうち賞味期限が切れそうなものはどれなのかといったことが、電子タグからの情報を通じて瞬時に分かるようになるでしょう。

そうなると、「あと1つです」などと補充すべきタイミングを知らせてくれたり、「よく使うもの・全く使われないもの」が分かり、無駄な買い物がなくなるかもしれません。

食品に限らず、「そろそろ買ってから1年経つので、ひげ剃りの刃を交換しましょう」というふうにアラートを出すこともできそうです。

これはほんの一部。こうした便利な世の中が、そう遠くない未来にやってくる可能性はかなり高いのです。では、その時にどんなサービスがあれば、多くの人に利用してもらえるでしょうか?

電子タグが作り出す、未来の商売の仕方とは?

電子タグ1つで、どれくらい生活が変わる可能性があるのかについて考えてみましたが、これは間違いなく、近い将来に起こることなのです。

このような仕組みが生活の中でできあがった時に、ほかにもどのようなことが起こり得るのか、ぜひ考えてみてください。また、もしあなたが小売店の店主だったとして、電子タグを使った情報管理ができるようになった時に、それをどう活用して売上を増やすことができるのか。経営者にとって必要な力を養うには、もってこいかもしれませんね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「商品についている電子タグを読み取って精算する」でした。電子タグのおかげで、バーコードを読み取る作業が不要となり、プレスリリースによると精算所要時間が最大で3分の1に短縮できたそうです。同社では、2017年8月までにこのセルフレジを全国176店舗に設置する方針であることを既に発表しています。


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プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズアタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。

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