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知らないと追加徴収も…。役員給与・外注費の注意点 ~法人設立初年度から知っておくべき税金について【第2回】~

2017年6月15日

知らないと追加徴収も…。役員給与・外注費の注意点 ~法人設立初年度から知っておくべき税金について【第2回】~

将来的に法人設立を考えている方や、今まさに法人化の準備をしている方、必見! 初年度から知っておくべき税金について、プライムファイナンシャルパートナーズ会計事務所の菅 彰裕さんにお話を伺う連載の2回目。前回は設立時に4つの届出書を提出すれば、最大9年間法人税が免除される可能性があるということをお伝えしました。今回は、きちんと確認しないと税金を追加徴収される可能性もある、役員給与・外注費に関する注意点についてご紹介します。

役員給与は業績に応じて変更しても良い?

皆さんに質問です。次の場合、税金上どこが問題となるでしょう?

“法人設立初年度。1月の役員給与は30万円だったが、大口の取引が成立し売り上げが伸びたため、7月以降は60万円に変更した。
そして決算期には、予想を上回る利益が出たので、役員賞与を払うことにした。“ 

業績に応じて給料が上がればモチベーションアップにも繋がるので、特に問題はないように見えるかもしれません。しかし、個人事業主と異なり、法人の場合「今月は30万円。来月は60万円」といったように自由に給与を変えることはできません。では、なぜ役員の給料は、業績に応じて変更してはいけないのでしょうか?

それは、「利益調整」を防ぐためです。利益調整とは「今年、こんなに儲かると思っていなかったけど、3000万円の利益が出た!税金を取られたくないから、給料で払っちゃおう」といった行為のことを指します。こういったことを防ぐために、法人は役員に対する給与を1年の初めに決めた額から変更してはいけないと決められています。(ただし、事業年度開始から3ヵ月以内の増額は可)
同じく利益調整を防ぐという理由で、役員に対する賞与も基本的に払うことはできません。

実際、個人事業主から法人化し“法人取締役1人”という状態の方は知らずにこのような利益調整をしてしまうケースも。法人は個人とは別人格なので、注意するようにしてくださいね。

では、冒頭のように”法人設立初年度。1月の役員給与は30万円だったが、大口の取引が成立し売り上げが伸びたため、7月以降は60万円に変更した”場合、税金はどのようにかかるのでしょうか?

今回は分かりやすくするために、以下の条件で計算していきます。
・年間売上=年間給与
・税率23%

<<利益調整しなかった場合>>

月別支払い給与
月別支払い給与
会社の年間売上…540万円
役員年間給与…540万円
給与は全て経費として認められ、かつ利益は0なので、ここに税率23%をかけても税金は0円となります。

<<利益調整した場合>>

月別支払い給与
月別支払い給与
会社の年間売上…540万円
役員年間給与…540万円
給与540万円のうち、7月以降上乗せした30万円×6ヶ月=180万円は経費として認められません。
そのため、180万円×23%=41.4万円を税金として納める必要があります。

利益調整をした場合、決算書上は利益0なのですが、税金上は180万円の利益が出ていることになってしまいます。つまり、会社にお金が残っていないのに、税金を納めなければならないという厳しい状況に…。
このような事態にならないよう、役員給与は定額にし、なおかつ賞与は支払わないようにしましょう。

外注費の支払先が個人の場合は要注意

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法人として個人と契約を交わし、外注費等を支払う場合は必ず源泉税を差し引いて支払うべきか確認するよう注意しましょう。源泉税の支払いを怠ってしまうと、税務調査時に”不納付加算税”や“延滞税”というペナルティが課されてしまいます。
源泉税の支払い義務は、個人ではなく支払った側の法人にあります。源泉徴収をし忘れた、報酬を支払った側のミスということになるのです。

例えば、広告などのグラフィックデザインを営む個人事業主へ50万円の支払いをする場合、源泉税は約5万円(10.21%)発生します。この場合、うっかり個人事業主へ50万円を支払ってしまい、その後税務調査で指摘を受けた場合にはその5万円の支払い義務は法人にあります。源泉税の5万円はすでに個人事業主へ支払っていても、支払い義務はあくまで法人となります。
初めから源泉税を差し引いて45万円を個人事業主、源泉税5万円を税務署に支払っていればこんなことにならずに済んだのに…。

このようなことを防ぐためにも、個人に外注する場合は注意を払うようにしましょう。
なお、支払先が個人だと知らずに源泉税を引かずに支払ってしまう…と言うケースも多々あります。一見法人名のような、個人事業主の屋号は見落としがちなので、きちんと確認することをおすすめします。

次回は経費になるもの・ならないものについてご紹介していきます。
税金に関する知識を身につけて、法人設立初年度から賢く経営していきましょう!

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プロフィール写真

プライムファイナンシャルパートナーズ株式会社
税理士 菅 彰裕

世界最大級のPwCグローバルネットワークのメンバーファームであるPwC税理士法人より独立開業。非上場企業、上場企業、日本居住者、非居住者と幅広いクライアントの業務を担当する。
業務内容は、オーナー企業の事業承継対策の検討、組織再編によるグループ会社の整理、事業承継のための株価対策、国内および国外のIPO支援、国内買収案件における税務デューデリジェンス、非居住者の国内投資にかかる税務コンサルティング、その他執筆サポートなど。

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豊田 淳さん(29歳)

東京都杉並区
大学卒業後、大手広告会社に就職。トップクラスの営業成績を叩き出し、新人賞を獲得。東京に転勤後、ピエロの養成学校に通うべく脱サラ。現在はフリーランスのピエロとして、結婚式などのイベントでのパフォーマンスや、飲食店に飛び込んでの「流し」も行う。
(さらに…)

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