令和5年4月1日より新年度がスタートしました!
前回は、新年度の最新補助金情報についてお届けしました。
https://entrenet.jp/magazine/39826/
今回は、その中でも注目したい「IT導入補助金」についてお届けします。
https://www.it-hojo.jp/
「IT導入補助金」は中小企業等がITツールを導入する際に国が一部補助してくれる制度。
※ITツールの例)ソフトウエア、ECサイト、PC、プリンター、タブレットなど
“補助金”のため、原則返済不要となります!
注目の理由は、主に3つにあります!
2.補助額・補助率・採択率が高くほぼ毎月募集!
3.活用できるITツールの幅が広い(会計ソフトやECサイト、PCなどのハードウェアもOK)!
名前は聞いたことがある補助金だけど、具体的に何に活用できる補助金かイメージできない方が多いと思います。
そこで、今回はIT導入補助金の概要、実際の活用事例についてお届けします!
まずは概要をチェック!
◆IT導入補助金2023(国)【補助金】
IT補助金の概要:中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX、サイバーセキュリティ対策等のためのITツール(ソフトウェア、アプリ、サービス等)の導入を支援してくれる補助金です。
主に3つの類型があります。
目的にあった枠に応募しましょう!
注意点は、パソコン等のハードウエアが対象となるのは、③のデジタル化基盤導入枠のみです!
①通常枠(A・B類型)
中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするものです。
自社の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図ることを目的としています。
②セキュリティ対策推進枠(2023年度新設)
中小企業・小規模事業者等がサイバーインシデントが原因で事業継続が困難となる事態を回避するとともに、サイバー攻撃被害が供給制約・価格高騰を潜在的に引き起こすリスクや生産性向上を阻害するリスクを低減することを目的としています。
③デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
中小企業・小規模事業者等が導入する会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費の一部を補助することで、インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進することを目的としています。
※デジタル化基盤導入枠に「複数社連携IT導入類型」という類型もありますが、ここでは説明を省略します。
支援対象者:中小企業・小規模事業者等(個人事業主も可)
対象経費:
②ハードウェア購入費(デジタル化基盤導入類型のみ。導入するソフトウェアの使用に資するものに限ります。)
※ハードウェアも対象となりますが、補助額(上限)に注意しましょう!
PC・タブレット等:補助額10万円まで(補助率1/2以内)
レジ・券売機等:補助額20万円まで(補助率1/2以内)となります!
注目のポイントは?
①活用しやすい
<ハードウェアがOK!>
ハードウェアがOKな補助金は多くありません。
PCやプリンターもOK!という補助金は珍しいです!
<サポートや保守費用OK!>
ソフトウェアを導入しても、うまく活用できなかったことはないでしょうか。
IT導入補助金では、サポート費用・保守費用も補助対象に含まれるため、活用できるまで一定期間のサポートを受けることができます。
<補助金の応募は毎月!>
「通常枠」と「セキュリティ推進枠」は約1月に1回の応募があります!
第2次締切:2023年6月2日(金)17:00(予定)
「デジタル化基盤導入枠」では、約2週間に1回、補助金の応募があります!
第2次締切:2023年5月16日(火)17:00(予定)
第3次締切:2023年6月2日(金)17:00(予定)
必要なタイミングで申請する事が可能です!
②補助率&補助額が高い!
<補助率最大:4分の3!>
「デジタル化基盤導入枠」においては、
50万円以下の部分:補助率が3/4です!
50万円超〜350万円の部分:補助率2/3以内です!
(例)20万円のパソコンと8万円の会計ソフト(1年分の使用料)を導入した場合
② 補助額:28万円×3/4=21万円
③ 実質負担額①-②:28万円-21万円=7万円
なんと実質7万円でパソコンが購入できたことになります!
※消費税の計算は別途必要です。
③申請が比較的簡単!
<難しい事業計画書は不要!>
他の補助金ですと、補助金を申請するにあたり、何ページにもわたる「事業計画書」の作成が求められます。
IT導入補助金の場合は、そこまでの計画が求められず、後述の「IT導入支援事業者」がサポートをしてくれます!
<必要書類も簡素!>
補助金は、必要書類を集めるだけでも大変!ということも多いです。
法人の場合は、申請時に次の書類を準備すれば基本的にOKです。
・法人税の納税証明書(その1またはその2)
個人の場合は、次の書類を準備しましょう。
・直近の所得税の納税証明書(その1または2)
・所得税確定申告書
<補助金申請のパートナーが必ずつく!>
IT導入補助金ですと、後述の「IT導入支援事業者」というパートナーが申請のサポートをしてくれます。
事業計画もシンプルなもので、必要書類も「納税証明書」等、比較的簡単に入手できるものばかりです。
<採択率の高さにも注目!>
IT補助金2022年の「デジタル化基盤導入枠」では80%以上の申請が採択されています!
申請の流れを解説!
補助金の申請が初めての方は、不安かと思いますが、この補助金は“IT導入支援事業者”というパートナーを通じて申請する仕組みとなっています。
そのため、ここでは大枠を抑えておけば大丈夫です!
各ステップごとにみていきましょう!
STEP1 本事業の理解
IT補助金の公式ページや、「公募要領」と呼ばれる補助金のルールブックを読んでみましょう!
STEP2 「IT導入支援事業者の選定」「ITツールの選択」(事前準備)
補助金の交付申請を行う準備として、まずは自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、「IT導入支援事業者」と導入したい「ITツール」を選定します。
「IT導入支援事業者」・・・ITツールの提案・導入等や補助金を申請するうえで必要な事業計画等の支援を行ってくれるパートナー(事務局の審査を経て登録された事業者だけがIT導入支援事業者となることができます)です。
「ITツール」・・・IT導入支援事業者が事務局に登録しているITツールのみが補助金で申請できる対象となります!こちらより、補助金対象のITツールが検索できます。
STEP3 「gBizIDプライム」アカウントの取得、「SECURITY ACTION」の実施(申請要件)、「みらデジ」の「経営チェック」の実施
公式ページに、それぞれの取得・実施方法の説明があります。
IT補助事業者からサポートを受けて、実施しましょう!
※gBizID発行には、申請からアカウント発行まで2週間程度かかりますので注意しましょう!
STEP4 交付申請(IT導入支援事業者との共同作成・提出)
・IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定。
※この時点でITツールの発注・契約は行わないこと
・申請は以下の流れで行う。
②交付申請に必要となる情報入力・書類添付を行う。
③IT導入支援事業者にて、導入するITツール情報、事業計画値を入力。
④『申請マイページ』上で入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出。
STEP5 ITツールの発注・契約・支払い(補助事業の実施)
・交付申請を完了し、事務局から「交付決定」を受けた後に、ITツールの発注・契約・支払い等を行うことが可能。
STEP6 事業実績報告
・補助事業の完了後、実際にITツールの発注・契約、納品、支払い等を行ったことが分かる証憑を提出。
・提出は以下の流れで行う。
事業実績報告を作成。
②事業実績報告が作成された後、IT導入支援事業者が内容の確認及び必要情報を入力。
③最終確認後、中小企業・小規模事業者等が事務局に事業実績報告を提出
STEP7 補助金交付手続き
・事業実績報告の審査が完了し、補助金額が確定すると、『申請マイページ』で補助額を確認できるようになる。
・その内容を確認した後に補助金が交付される。
STEP8 事業実績報告
・事業終了後、生産性向上に係る数値目標に関する情報(売上、原価、従業員数及び就業時間)、インボイス制度への対応状況、ITツールを継続的に活用していることを証する書類、給与支給総額・事業場内最低賃金等を効果報告期間内に報告。
・補助事業者が『申請マイページ』より必要な情報を入力し、IT導入支援事業者の確認を経て、提出
活用事例を見てイメージしよう!
実際の活用事例をみると、自社で使えそうなツールはないかイメージできるかと思います!
<IT導入補助金2023 公式ページより活用事例集>
IT導入補助金の公式ページから紹介されている、活用事例です。
IT 化のきっかけや取組み、効果をチェックしてみましょう!
r1_jireisyu.pdf (it-hojo.jp)
<中小機構 IT導入補助金活用事例>
中小機構のホームページでは業種・業態ごとの活用事例が載っています。
同業者の活用事例を探してみましょう!
https://it-case.smrj.go.jp/
今回のまとめ
新年度におすすめの「IT導入補助金」について、3つの注目の理由と活用事例ををお伝えしました。
インボイス制度への対応や、自社の生産性向上等への課題解決に、ITツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
IT導入支援事業者として支援する側としても、国の本気度を伺える支援内容になっていると感じます。
また、実際にIT補助金を活用した方からも、下記のような声が届いています。
・思ったより簡単に申請ができた!
・補助金申請から補助金入金までの期間が早くて資金繰りの心配もなかった!
・ITツールの導入により、労働時間の削減ができた!
本稿やIT補助金の公式ページを通じて、補助金の制度趣旨を正しく理解しましょう。
次に、実際の事例を元に自社での活用方法を検討しましょう。
そして、実際に申請にチャレンジしてみてはいかがでしょうか!
文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。
高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。
合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。
ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。
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