収入が固定ではないフリーランスは、会社員に比べ、クレジットカードの審査に通りづらいです。ただ、「フリーランスだとクレジットカードは作れない」というわけではありません。いくつかの注意点さえおさえておけば、フリーランスでも問題なくクレジットカードは作れます。クレジットカードの審査に通るためのポイントや、クレジットカードが作れないときの代替手段を紹介します。
フリーランスがクレジットカードの審査に通るための心得3条
フリーランスは、会社員のように毎月固定額が給与として得られるというわけではないので、クレジットカードの審査に通りづらいのが現実です。これからフリーランスになるのなら、会社員であるうちに何枚かクレジットカードを作っておくといいでしょう。
もちろん、すでにフリーランスになったという人でもクレジットカードは作れます。クレジットカード会社の審査に通るためには、普段から次のようなことを意識しましょう。
・個人事業の開業届出・廃業届出等手続(いわゆる開業届)と確定申告の手続きをする
・収入を安定させる
・「事故情報」をつくらない
フリーランスとして事業を起こすなら、開業届は必ず出してください。これは法律で義務付けられていることです。開業届を出さなくても罰則はありませんが、開業届を出していることで社会的な信用度は上がります。
審査に通る確率を高めるためには、少しずつでも収入を増やしたり、継続して依頼をしてくれるクライアントをつくったりしましょう。そのうえで確定申告をすれば、安定した収入があると証明でき、審査にも通りやすくなります。
すでにあるクレジットカードやローンなどの支払いを遅らせないことも大切です。支払いの遅延や滞納は「事故情報」として信用機関に記録されます。金融機関は信用機関の情報を確認して審査をするため、事故情報があれば審査にも通りづらくなります。
フリーランスに向いているクレジットカードの選び方
フリーランスの方がクレジットカードを選ぶときは、次のようなポイントに気をつけましょう。
・年会費
・利用金額に対するポイント還元率
・利用限度額
・審査の通りやすさ
・付帯サービス など
年会費のないクレジットカードや年会費が安いもの、利用金額に対するポイント還元率の高いものを選べば、それだけ支出を抑えやすくなります。フリーランスは収入が固定ではなく、有給休暇もボーナスもありません。いざというときに備え、支出は少しでも減らしておきましょう。
クレジットカードの中には、「空港ラウンジを利用できる」「特定のサービスを安価で利用できる」などの付帯サービスのあるものもあります。自身の事業で利用頻度の高いサービスがついたカードをおすすめします。
フリーランスにはビジネスカードがおすすめ
クレジットカードには個人事業主向けのものと、法人や個人事業主向けの「ビジネスカード」があります。ビジネスカードには会計ソフトとの連携ができるものも多く、年会費がかかっても経費に計上できます。プライベート用とビジネス用でカードを分けておけば、家計と経費の管理もしやすくなるでしょう。
フリーランスの資金繰りにおすすめの3つのサービス
フリーランスには有給休暇もボーナスもなく、収入も固定ではありません。ビジネスが軌道に乗ったと思っても、急に資金繰りが厳しくなる可能性もあるでしょう。
一時的に資金繰りが厳しいときは現金をなるべく使わず、生活費や事業資金をクレジットカードで支払うのも手段です。クレジットカードを使えば、支払いを翌月や数ヵ月先に延ばせるからです。
ただ、現金が必要な人や、フリーランスになったばかりでクレジットカードが作れない人もいるでしょう。フリーランスの資金繰りにおすすめのサービスを、3つ紹介します。
デビットカード
デビットカードは銀行口座と連携したカードで、カードを利用すると、口座から直接支払えます。使うのはあくまでも銀行口座内のお金であり、カードを使えば銀行口座の残高は減ります。そのため突発的な資金繰りには使えません。
ただ、フリーランスになったばかりでクレジットカードが作れない人や、お金の使いすぎが心配な人には、資金の管理がしやすいので便利でしょう。
消費者金融
一般的に、消費者金融の審査はクレジットカードの審査よりも通りやすいといわれています。審査の際も、クレジットカード会社と消費者金融では、それぞれ異なる信用機関を参照します。そのため、クレジットカードの審査に通らなくても、消費者金融の審査には通るかもしれません。
金利は高いものの、フリーランスになったばかりでクレジットカードが作れない、キャッシングが利用できないというときはありがたいです。
ファクタリング
ファクタリングとは、売掛債権を買い取るサービスです。売掛債権は、簡単にいえば請求書のことで、請求書の金額内で報酬を前借りするようなものと思っておくといいでしょう。
フリーランスの報酬は、仕事をした数ヵ月後に支払われることもあります。「後からまとまったお金が入ってくる」とわかっていても、支払われるまでの資金が足りず、途方に暮れる場面もあるでしょう。ファクタリングは手数料こそ割高なものの、必要なお金をすぐに確保できます。
後から入ってくるお金を先に受け取るだけなので、負債にもなりません。
フリーランスにおすすめの、個人向けクレジットカード3選
フリーランスの方におすすめの個人向けクレジットカードを3つ紹介します。審査に通りやすいもの、ポイント還元率の高いものを紹介します。
ACマスターカード
ACマスターカードは消費者金融のアコムが発行するクレジットカードです。消費者金融のカードのため年利がかかり、実質年率は10~14.6%と高いですが、ショッピングのご利用限度額最高300万円まで利用できます。なお、クレジットとカードローンのご利用合計の上限は800万円までになります。「すでにフリーランスになっている」「ほかのクレジットカードの審査に通らない」などの場合におすすめできます。
リクルートカード
リクルートカードは、人材斡旋大手のリクルート発行のクレジットカードです。ポイント還元率は1.2%と高く、「じゃらん」や「ホットペッパーグルメ」などリクルートグループのサービスと併用することで、最大4.2%のポイントが還元されます。遠出や宿泊の多い職種の方におすすめです。
楽天カード
在宅ワークの多いフリーランスには、楽天カードがおすすめです。「楽天トラベル」や「楽天市場」など、楽天グループのサービスの決済に使うと、通常ポイントとは別に追加ポイントが付与されます。
楽天グループは電気(楽天でんき)とガス(楽天ガス)の自由化サービスも提供しており、これらの支払いを楽天カードですると、さらにポイントがつきます。自宅で仕事をすれば電気代もかさむでしょう。電気代とガス代を下げ、ポイントまで付けられれば、経費削減になります。
フリーランスにおすすめのビジネスカード3選
フリーランスにおすすめのビジネスカードを3つ紹介します。カードの利用額に応じて付与されるポイントの還元率が高いものや年会費無料のもの、経費処理が楽になるものなどいろいろなタイプがあるので、自分のビジネスに合うものを探してみましょう。
NTTファイナンスBizカード レギュラー
NTTファイナンスBizカード レギュラーは年会費無料、ポイント還元率1.0%の、使い勝手のいいビジネスカードです。Web上で利用明細を用途別に分け、PDFにすることもできるので、経費の処理にも便利です。
ライフカードビジネスライトプラス
ライフカードビジネスライトプラスは年会費無料、1,000円ごとに1ポイント、誕生日月は基本ポイントが3倍つくビジネスカードです。付与ポイントは年間50万円以上の利用で1.5ポイント、年間100万円以上の利用で1.8%と年間利用額が上がるほど高くなるので、経費の支払いが多いフリーランスにおすすめできます。
最短3営業日で発行できるのもライフカードビジネスライトプラスの魅力で、「今すぐクレジットカードが必要」という場合にもおすすめです。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードは年会費13,200円と、コスト面で見るとやや高く感じるカードかもしれません。ただ、「クラウド会計ソフトfreee会計」にデータ連携できたり、入札・落札公告情報、企業情報、新聞・雑誌記事、人物情報などまで、幅広く収録した日本最大級のビジネス情報データベースサービス「ジー・サーチ」を年会費無料で使えたりと、フリーランスにとって嬉しい機能やサービスがそろっています。経費の支払いを1枚のビジネスカードに集約したいフリーランスには、使い勝手のいいカードでしょう。
フリーランスにおすすめのデビットカード、デポジットタイプのショッピング専用カード
フリーランスの方におすすめのデビットカードと、デポジット型のクレジットカードを紹介します。どちらも審査が不安な人におすすめできるカードになるので、クレジットカードの審査に落ちたことがあっても、まずは申し込んでみてください。
GMOあおぞらネット銀行のビジネスデビットカード
GMOあおぞらネット銀行のビジネスデビットカードは、発行手数料・年会費、ともに無料のデビットカードです。利用額の最大1.5%がポイントではなくキャッシュバックされるため、ポイントのように利用期限がないのもおすすめです。
GMOあおぞらネット銀行は24時間365日利用できるネットバンキングなので、外部パートナーへの報酬支払いにも便利でしょう。パートナーへの外注が多い職種におすすめです。
Nexus Card デポジットタイプのショッピング専用カード
Nexus Card デポジットタイプのショッピング専用カードは、デポジット(担保として預かるお金)した金額と同額までをクレジット払いできる、新しいタイプのカードです。厳密には異なりますが、「5万円をチャージしたら、5万円までカード払いができる」と思っておくといいでしょう。利用限度額は5万円~200万円で、デポジットした額が限度となります。「Mastercard」、「NICOS」マークのあるお店、国外なら「Mastercard」マークのあるお店であれば利用できます。
発行手数料に550円(税込)、年会費に1,375円(税込)がかかりますが、利用額200円ごとに1ポイントが貯まります。1ポイント=1円として、貯まったポイントをデジコのデジタルギフトと交換できます。
Nexus Card デポジットタイプのショッピング専用カード
フリーランスにおすすめの消費者金融
フリーランスにおすすめの消費者金融を2社紹介します。手数料を抑えやすいものと、まとまった資金調達におすすめなものを紹介しますので、目的に合った方を選びましょう。ただし、返済が可能な金額か検討し、利用はどうしても資金繰りが厳しい時だけに限定するなど、自己責任のうえで活用してください。
いつものビジネスローン
いつものビジネスローンは実質年率が4.8~18%ですが、初めて利用する方で60万円以上の借り入れをする場合など一定の条件を満たす方は無利息期間中に返済すれば手数料はかかりません。即日融資のためフリーランスの、突発的な資金調達におすすめです。
いつものビジネスローンの場合、返済期間は2ヵ月~5年、返済回数は2回~60回の間で調整できるため、長期的な資金繰りにも役立つでしょう。
ユニーファイナンスのビジネスローン
ユニーファイナンスのビジネスローンは、フリーランスの資金調達におすすめのサービスです。最大200万円までの借り入れが可能です。土地・建物など不動産の担保があれば不動産担保ローンで最大3,000万円までの借り入れができ、返済期間は最長10年と長いため、まとまった資金調達にも使いやすいでしょう。
フリーランスにおすすめのファクタリング
フリーランスにおすすめのファクタリングサービスを2つ紹介します。どちらも利用手数料は10%以内とリーズナブルです。フリーランスのファクタリングなら、まずはこれらを検討してみましょう。
フリーナンスbyGMO
フリーナンスbyGMOはフリーランス向けに、ファクタリングや所得補障などを提供するお金と保険のサービスになります。ファクタリングの手数料は3~10%と業界最安クラスなので、まずはフリーナンスbyGMOの利用を検討するのがおすすめです。
会員登録無料の会員になってフリーナンスあんしん補償Basicに加入すれば、仕事中の事故や納品物の欠陥を原因とする事故を最高5,000万円までサポートしてもらうこともできます。いざというときに備え、早めに登録しておきましょう。
ペイトナーファクタリング(旧yup先払い)
ペイトナーファクタリングは、フリーランス向けのファクタリングです。利用手数料は10%で着金までにかかる時間は最短10分で、入金も審査完了と同時に行われます。利用できるかどうか、いくらまで利用できるかがすぐわかるため、急に資金が必要になったときも安心です。
フリーランスでもクレジットカードは作れる!が、審査には通りづらい
フリーランスでもクレジットカードは作れますが、独立したばかりの人、収入が安定しない人は、審査になかなか通らないでしょう。まずは審査に通りやすいといわれているクレジットカードに申し込んでみて、それでもダメなら消費者金融やファクタリングを利用するのもひとつの手段です。
消費者金融やファクタリングはクレジットカードに比べ、金利や手数料が高くなります。なるべくなら利用しない方がいいですが、資金が足りず、ビジネスを畳んでしまう可能性がある場合などには、利用しましょう。
ただ、金利の高い消費者金融は、返済が長引くほど利息がかかってしまうので、無駄な出費が増えます。ファクタリングは報酬の前借りに過ぎず、どこかのタイミングで収入を増やし、「ファクタリングのループ」から抜け出さなければなりません。いずれの場合も資金計画だけはしっかり立ててください。
赤塚元基