美容師をしていると“いつか独立して自分の店を持つ”と考えたことがある方も少なくないでしょう。中には、日々、独立するために頑張っている美容師の方もいるかもしれません。しかし、美容師として独立することに「どのようなメリットがあるのか」「どんな準備が必要なのか」を、しっかり考えたことがないという人もいるかもしれません。本記事では、美容師として独立し、成功するための準備や心構えについて解説していきます。
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まずは会員特典を調べる美容師が独立するメリット
美容師として独立したいと思っている方の多くは、自分の店を持ちたい、こんな店舗にしたいといった目標や夢があることでしょう。では、独立することで、具体的に、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを3つ紹介します。
メリット1.自由度が高まり、挑戦できることが増える
美容師として独立する最大のメリットは“自由度が高く、より一層多くのことに挑戦できるようになる点”です。美容師としての独立方法はさまざまです。店舗を持たずにフリーランスの美容師として活動する方もいれば、サロンを開業して自身の美容室を持つ方もいます。
どちらにせよ、会社に雇用されているよりも高い自由度で働けることに違いはありません。
フリーランスとして独立するのであれば、いつ、どれくらい稼働するのか、裁量を持ってスケジュール管理ができるようになります。美容師としての活動はもちろん“何か別のことにチャレンジしてみたい!”という方は、空き時間を作って挑戦する時間を設けても良いかもしれません。
店舗を構えて独立するのであれば、お店の名前、場所、コンセプト、内外装すべてを自分の理想通りの美容室にできます。コンセプトや理想を強く持っているのであれば、店舗を構えて独立をすることで、自分の個性を最大限に引き出せるでしょう。
さらに、定休日や営業時間も自分で決められるのもメリットです。予約状況や家庭の状況に応じて臨機応変に対応できるので、ワークライフバランスを実現したい方にとっても良いでしょう。
メリット2.収入の上限が高くなる
美容師として独立する2つ目のメリットは“収入の上限が高くなる点”です。美容師として会社に雇われていると、基本的には固定給のため、収入の上限が決められてしまいます。
しかし、独立すれば自分が働いた分だけ収益が出せるため、収入の上限も高くなります。特にフリーランスの美容師の場合、出店するわけではないので、店舗や設備費のようなものが不要となるケースが多く、仕事をした分だけ、自分の収入に直結する”というメリットがあります。
店舗を構えていると、どうしても設備の維持費がかかってしまい、フリーランスで活動するよりもコストがかかります。それでも、事業が軌道に乗れば収益も上げられるため、雇われているよりも経営者でいる方が、収入は期待できるでしょう。
メリット3.経営者としての経験も積める
美容師として独立するメリットの3つ目は“経営者としての経験が積める点”です。
美容師として独立すれば、そこから事業を運営していく経営者となります。雇われていると、経営者としての経験を積むことはできません。
しかし、独立して店舗を構えるようになれば、複数店舗の運営やヘアケア商品の開発といった事業の展開もできるので、ビジネスの幅が広げられるようになります。
独立に向いている美容師とは?
独立には向き・不向きがあります。美容師として独立するのに向いているのは、どのような人なのでしょうか。向いている人の特徴を3つ紹介します。
自分のスタイルを貫きたい美容師
自分のスタイルを貫きたい美容師の方は独立に向いています。“自分ならではのカラー技術、ケア技術、カット技術がある”“接客方針に信念がある”など、自分のスタイルを貫きたい美容師は、独立してもブレることなく仕事ができるでしょう。
美容の技術は日進月歩です。最新の技術や薬剤を取り扱い、自身のスキルを磨いていきたい人もいるでしょう。しかし会社に所属していると、経営判断は会社の上層部に委ねられるため、どうしても自由に取り入れることができません。
“最新の技術を取り入れ、とことんスキルを磨いていきたい”と思う美容師の方もまた、独立したほうが自分らしく働けるかもしれません。
お客さまを第一に考える美容師
お客さまファーストでいられる美容師の方も独立に向いています。
もちろん、お客さまのことを考えすぎて収益を立てられないようでは本末転倒です。
独立してお店を経営するとなった場合、以前、働いていた店舗のブランド力は使えません。独立して成功するためには、いかにお客さまを第一に考えて「またこの人にお願いしたい」と思ってもらえるかが重要です。“またお願いしたい”と思ってもらえるようなお客さまファーストの接客やサービスには力を入れましょう。
経験と年齢を重ねた美容師
経験と年齢を重ねた美容師の方も独立に向いています。独立したての美容師はブランド力がないため、技術で戦うほかありません。そのため、より長く経験を積んでいる方が業界で名前が知れわたっていたり、リピーターがいたりするため、独立後もそのまま通ってもらえるケースが少なくないのです。
美容師として独立するための心構え
美容師として独立するのであれば、いくつかの心構えが必要です。独立して成功するために、常に気に留めておきたいポイントをお伝えします。
心構え1.腕は良くて当たり前
美容師として独立しても、いきなり経営に専念できるケースは多くありません。独立した直後は自分も美容師として現場の最前線に立つことになります。集客につなげたり、リピーターを獲得したりするためには、美容師としての技術が何よりも重要になります。
どんなにたくさんの方が来店してくれたとしても、技術がなければお客さまは定着しません。また、悪い口コミなどはすぐに広まってしまいます。独立を成功させる鍵は“好評価を得られる技術力”です。「自分は独立したから経営者だし、技術についてはもういいかな」と技術の向上を怠ることのないよう注意しましょう。
心構え2.経営の勉強も欠かせない
独立すると、美容師としての仕事はもちろん、経営者としての仕事も欠かせません。美容師として独立しオーナーになるためには、店を運営するための経営者としての目線も持っていなくてはいけません。
経営をうまく回すためには、経営の勉強は欠かせないでしょう。空き時間を見つけて勉強したり、セミナーに参加してインプットしたりして、知識を身につけましょう。
心構え3.トレンドにアンテナを張り続ける
独立して成功するには、トレンドを常にキャッチし続けることが重要です。どんなに技術があっても、スタイルが流行遅れなようではお客さまも離れていってしまいます。
また、美容師は長時間お客さまと対峙する仕事でもあります。コミュニケーションを図るための話題作りができるよう情報収集も欠かせません。
美容師が独立する前に考えること
美容師として独立する前に、いくつか考えておかなくてはいけないことがあります。独立を成功させるためにも必要なことなのでチェックしておきましょう。
独立する目的や理由をハッキリさせる
独立する前に、きちんと“なぜ独立するのか”“どのような方法で独立したいのか”を明確にしておきましょう。せっかく独立をしても、目標がブレてしまっていては“目指すべき場所”にたどり着けません。今後の方向性を決めるためにも、綿密に目標や理想を決めておくべきです。
店舗のコンセプトを定める
店舗を構える場合、どのようなお店にしたいのかコンセプトをきちんと決めておきましょう。コンセプトを決めるためには、ターゲットがどのような層なのかを明確にし、そこからお店の立地、内外装などを決めていくとスムーズに決めやすくなります。
将来を具体的にイメージする
独立後、どうなりたいのかも、きちんと考えておくべきです。店舗を増やしたいのか、1店舗に集中して事業を行いたいのかという点だけでも自分にどのような成長が必要なのか異なってきます。従業員を雇うかどうかも大きな選択肢なので、十分に考えてから事業展開するようにしましょう。
独立したら収入は?どれくらい稼げる?
美容師が独立すると、年収はどのくらい変化するのでしょうか。「独立したら儲かるはず」「収入アップのために独立したい!」と考えている人も多いでしょう。
「令和4年賃金構造基本統計調査」の「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」における理容・美容師をみるとと、企業規模計(10人以上)の平均値は、月収26.75万円、年間賞与91.4万円となり、年収358.9万円でした。この統計データによる平均年齢は31.7歳、平均勤続年数は8.1年なので、10人以上の会社規模のもとに働くアシスタントレベルの美容師の年収が影響していると考えられます。
例えば夫婦で独立し、自分たちだけで経営している美容師の場合の年収はこの「企業規模計(10人以上)」の統計には含まれません。
仮に客単価が6,000円のお店を2人で経営しているとします。1日平均10人の来客があれば、1日の売り上げは6万円になります。26日間営業し月商156万円のうち、半分をお店の開業資金の減価償却や家賃、水道光熱費など経費にあてた場合、78万円が残り、2人で割っても39万円となります。
もちろん提供するメニューや客層によって、客単価と客数、営業日、減価償却や経費の計算次第ですが、平均月収の26.5万円よりも高くなることが予想できます。アシスタントやスタイリストなど、他の従業員を雇う場合はその人件費が大きく影響するので注意しましょう。
「令和4年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
職種(小分類)、性別、きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
実際の開業資金はどのくらい?
美容師が独立する際に重要な点は、開業資金です。開業資金の見積もりが甘いと将来的に資金繰りが厳しくなり、経営を続けられなくなってしまうリスクもあります。開業資金と運転資金についてそれぞれ確認しておきましょう。
開業資金
美容師の開業資金で大きな費用が必要なのは、店舗にかかる費用です。以下のように、店舗取得や内外装などで考慮するポイントによって、数百から数千万円規模で金額は異なります。
・どのエリアで出店するのか
・どれくらいの坪数の店舗を構えるのか
・すでに保有している土地を活かすのか
・土地と建物を購入するのか
・閉店した美容室の居抜きで入るのか
・テナントを借りて賃貸で経営するのか
・店舗の設備や内外装をどこまでこだわるか
・駐車場を何台併設するのか
例えば開業資金を極力抑えたい場合、閉店した美容室に居抜きで入ることで資金を抑えられます。店舗だけでなくシャンプー台や椅子、受付カウンターなどの設備や内外装も引き継ぐことができるので、リフォームにかかるお金は300万円から500万円程度で開業することもできます。
逆に人気のエリアで出店して、こだわりの内外装と設備で勝負したいと考える場合、家賃やそれにかかる敷金や保証金、オーダーメイドの内装費や最先端の設備費など、数千万円以上かけて開業する事例もあります。
運転資金
運転資金においては、飲食店の食材費などのように大きくかかるものは少ないです。
・家賃
・水道光熱費
・シャンプー類やカラー剤などの材料費
・施術にかかる機材のレンタル費用
・アシスタントや他スタイリストの人件費
・インターネットやフリーペーパーなどの広告費 など
開店後にどのような運転資金が必要となるか、開業前に試算しておきましょう。開業準備の間は手元の収入がなくなってしまうことも想定し、当面の間の生活費も合わせて、少なくとも半年から1年間の運転資金は開業時に確保しておくと良いでしょう。
融資を受ける
“借金は怖い”と抵抗がある方もいるかもしれませんが、独立する美容師の多くが開業時の資金調達方法として融資を受けています。
銀行や信用金庫など一般の金融機関のほか、日本政府によって運営されている日本政策金融公庫の新創業融資制度など、金利や返済期間が優遇されている機関から融資を受けることができます。
また家族や親戚など、周囲からの資金援助なども活用する方もいます。
20代で独立は早すぎる?
独立するのに適した時期や年齢についても考えてみましょう。美容師というのは自分の技術と売り上げに直結した実力社会です。“〇歳だから独立できる”“スタイリストデビューして〇年たったからお店が持てる”というものではなく、独立できる技術がありリピーターがたくさんいるのであれば、若くして20代で独立することももちろん可能です。
最近ではInstagramなどSNSを上手に活用して、技術や施術内容を公開し、新規顧客を獲得するなどしてリピートにつなげる美容師の方も増えてきました。20代の方は金融機関からの融資を受けにくいこともありますが、前述した日本政策金融公庫では若い人向けの融資制度もあります。また、SNSで集客してシェアサロンで働く“フリーランス美容師”として独立する20代の方も多くいます。
またフランチャイズビジネスに加盟することによって、有名チェーンの知名度や経営ノウハウを活用する方もいます。自分が美容師として接客することよりも、従業員を雇って経営に専念したい場合なども、フランチャイズに参画する方法がおすすめです。
独立に失敗して後悔しないために
融資を受けるなど、リスクも背負って独立したからには失敗して後悔したくはないものです。
よくある失敗例として、集客が見込めないエリアに出店してしまったり、従業員を雇いすぎてしまい人件費が経営を圧迫したり、店舗の設備や内外装にこだわりすぎて開業資金がかかり黒字化できなくなってしまうことがあげられます。
せっかく独立したならば、興した事業の存続とさらなる成長のために、事業計画や戦略はしっかりと作りこみましょう。
次の章では独立するための準備について解説します。
美容師として独立するための準備
美容師として独立するためには、主に3つの準備が必要です。独立を成功させるためにも、どのようなことを準備するべきか知っておきましょう。
事業計画書を作る
開業するにあたって、事業計画書の作成が必要になります。金融機関から融資を受ける際の審査で重要な資料となるので、事業計画書は必ず抜かりなく作成しましょう。どうすれば自分の理念・収支計画が第三者に伝わりやすいのかを意識して書くと、審査でも自分の思いが伝わるでしょう。
事業計画書には具体的な内容はもちろん、売り上げや経費など、実現可能だという根拠を示すのも忘れないようにしましょう。
開業・運転資金を集める
美容師として独立して店舗を構える場合は、店舗の形態や種類によって異なりますが、開業に約1,000万円から2,000万円ほどの資金が必要になります。
自己資金がないのであれば、金融機関から融資を受けたり、クラウドファンディングで資金を集めたりする必要があります。どのように資金調達をするのかも意識しながら動かなくてはいけません。
開業にあたって、自己資金が多いに越したことはありません。自己資金があると、融資の審査に通りやすくなるなど、運転資金にも補填できるためです。
出店場所を決める
開業資金が準備できたら、どこに店舗を構えるのかを決めなくてはいけません。
まず、ターゲットを明確にすることから始めましょう。次に競合となる美容室がどのあたりに出店しているのかを確認してみると良いでしょう。
立地条件は客層のターゲットによって異なりますが、アクセスは良い方が望ましいです。なるべく駅に近い物件を見つけられるようにしてみましょう。
美容師として独立するための手続き
美容師として独立するには、どのような手続きが必要になるのでしょうか。代表的な手続きについて紹介していきます。
税務署に開業届を提出
独立が決まったら、まずは税務署で「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出します。このとき、確定申告の際に必要な「所得税の青色申告承認申請書」も一緒に提出しておきましょう。
「個人事業の開業・廃業等届出書」は開業から1ヵ月以内に提出しなくてはいけないので、遅れないように注意しましょう。
保健所に開設届などを提出
新たに美容所を開設する場合は、あらかじめ書類を保健所へ提出し、使用する前にその構造設備が基準に適合していることを確認するための検査を受けなければなりません。
また、「開設届」「施設の平面図」「構造・設備の概要」「従業者名簿」「美容師免許証」「健康診断書」「管理美容師講習会修了証書」といった書類の提出が必要になります。これらは遅くても営業開始の1週間前までに提出が必要です。
あわせて検査手数料も必要になりますので、管轄の保健所に確認しておきましょう。
従業員がいる場合の手続き
従業員を雇う場合には、労働基準監督署やハローワークに届け出が必要になります。雇用保険への加入が必要になるので、きちんと手続きを済ませましょう。
お客さまへの告知やご挨拶
独立することをお客さまに伝えることも大切です。新しいお店のアクセス方法、オープン日や営業日時、メニューなどについても触れておきましょう。
顧客限定のサービスも用意することで、開業後すぐの来店につなげることができるかもしれません。
ここで注意したいのが、独立前に勤めている店舗で告知が禁止されていないかどうかです。店舗側からすると、顧客が減ってしまうので、美容師のお客さまへの営業を厳しく禁止している可能性もあります。在籍している店舗の顧客名簿は個人情報です。このようなものを持ち出すなどは大きなトラブルにつながるため、絶対にやめましょう。
フランチャイズで開業する方法もある
美容師として独立する場合、有名チェーンのネームバリューを活かしたフランチャイズによる開業方法もあります。
フランチャイズ加盟店になると、加盟金や売り上げに応じたロイヤリティを払わなければなりませんが、フランチャイズ本部の持つ経営ノウハウや集客ネットワークを利用して経営することができます。
また、店舗名、サービスメニューや価格、施術の内容までフランチャイズ本部のルールやマニュアルに沿って運営しなくてはいけないことがほとんどですが、それによってお客さまからは“このフランチャイズはどこでも安心して施術が受けられる”という信頼を得ることもできます。
独立することが目的ならば、フランチャイズという形態を活かして効率よくリスクを抑えて開業する選択肢も検討すると良いでしょう。
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美容師をずっと続けるなら、独立も視野に入れよう
美容師の方で、一度は独立を考える方は少なくありません。ずっと美容師を続けていきたいと思っているのであれば、独立を視野に入れてみても良いでしょう。
美容師で独立するためには、自分のビジョンがしっかりと定まっていることが最も重要といっても過言ではありません。自分らしさや、自分ならではの強みを活かして独立できるよう、日々技術の向上に努めましょう。
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北川美智子