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究極のワークライフバランスを実現? 話題のFIRE(早期リタイア)を税理士が解説!

究極のワークライフバランスを実現? 話題のFIRE(早期リタイア)を税理士が解説!

長期化するコロナ禍。

会社員の方は、勤め先の業績悪化により、給与や賞与が減少してしまったという声も多く聞かれます。またフリーランスや会社経営者の方も、今までの「普通」が通用しなくなり、いろいろな意味で大きな衝撃を受けたのではないでしょうか。

そういった背景から、資産運用だけで経済的自由を手に入れて生活をする、早期リタイア(FIRE)を目指す人が急増しているのをご存知でしょうか?

そこで今回は、話題のFIREについて、分かりやすく解説していきます。

そもそもFIREとは?

FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取った略語です。主に株式投資や投資信託などの資産運用により、経済的自由を手に入れ、早期退職を目指すライフスタイルのことを意味します。

会社を早期退職後は、資産運用によって生活費をまかなっていきます。

この考え方は2010年ごろよりアメリカから始まり、その後ヨーロッパに広がりました。日本でもブロガーやYoutuberが情報発信したことで、近年注目されつつあります。


出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000049880.html

PRTIMESが行ったアンケートによると、FIREに興味があると回答した人は全体の76.6%に上ることが分かりました。

2010年頃に登場した新しい言葉にも関わらず、既に日本にも十分に浸透してきているのが分かります。

FIREをする前に必要なこととは?

FIREを達成する上で、必要なことはなんでしょうか。

貯金や投資で、早期退職後の生活を支えるだけのお金を作ること。

それももちろんですが、実はそれ以前に明確にしておくべき事柄があります。1つずつ見ていきましょう。

①FIREを達成したらやりたいこと(ゴール)を明確にする

まずは目標設定を明確にしましょう。

「なぜFIREをしたいか?」「FIREした後、何がしたいか?」

意外と見落とされがちですが、達成後に「何をしたいか」を決めておくことはとても大事です。

経済的自由を手に入れても「何もすることがない」「刺激もない、つまらない」となっては、せっかくがんばってFIREしても、もったいないですよね。

「田舎に引っ越して、庭で家庭菜園を作る」「ずっと挑戦してみたかった趣味に挑戦する」など、実現できるかどうかは置いといて、達成したいことをとにかくたくさん書き出しましょう。

②必要な生活費を洗い出す

携帯料金や食費、生命保険料など、日々の生活にかかる支払い額は把握できていますか?

FIREを目指すためには計画的に資産を増やす必要があります。

ですがそれ以前にまずは、自分の生活費(支出)がいくらかかっているのかを知らなくてはなりません。

またFIREをするまでに、どのくらいお金を貯めておかないといけないのか、きちんと把握しておきましょう。

保有しておくべき資産額については諸説ありますが、「25倍ルール」は有名なのでおさえておきましょう。

「25倍ルール」とはその名の通り、年間支出の25倍の資産があれば、FIREを実現できると言われています。

例えば、毎月の生活費が20万円(=年間240万円)とするなら、最低6,000万円は貯めておきたいところ。

もちろん貯蓄額は多いに越したことはありませんが、まずは目標として月々の支出の25倍を目指していきましょう。

FIREするための資産投資の方法は?

目標設定が決まって今後必要な生活費が分かったら、いよいよ資産を増やす取り組みをしていきます。

とはいえ「資産運用」の種類は無数に存在します。ですから一概に「これをやれば絶対大丈夫!」とは言えません。

まずはリスクの少ない資産運用から始めて、徐々に資産を増やしていきましょう。

今回は初心者向けの資産運用の一例を紹介していきます。

つみたてNISA

つみたてNISAとは、少額の長期積み立て投資をする支援するための非課税制度のことを指します。

通常、投資で得た利益には税金がかかります。

しかし、この制度を活用すると非課税で分配金と譲渡益を受け取ることができ、リスクの少ない積み立て投資をすることができます。

・つみたてNISAでは、毎年40万円を上限として一定の投資信託が購入可能

・非課税で保有できる投資総額は最大800万円

「コツコツと長期的に」資産を増やしていきたい人におすすめです。

金融庁:つみたてNISAとは
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)

「個人型確定拠出年金」とも呼ばれるiDeCo。

自分で申し込みをし、自分で運用する方法を選んで掛け金を運用します。

iDeCoの最大のメリットは、積み立てた掛金が全額所得控除の対象となる点です。掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が講じられています。

こちらもつみたてNISAと同じで、「コツコツと長期的に」老後に向けた資産構築としておススメしています。

iDeCo公式サイト
https://www.ideco-koushiki.jp/

資産運用のシミュレーションをしてみよう!

ここで、資産運用のシミュレーションをしてみようと思います。

早期退職後、生活費15万円の生活を目指す場合を見てみましょう。

必要な積立額(25倍ルールにより算定)
生活費年額180万円(15万円×12か月)×25=4,500万円

次に、「資産運用で4,500万円を貯める」という目標を設定した場合、
下記のようになります。
---------------------------------------------------------------------------
最終目標額:4,500万円
毎月の積み立て金額:10万円
リターン:4.0%(ここでは4.0%としましたが、リターンは保守的に下げて設定することも、高めに設定することもできます)

4,500万円を貯めるために必要な期間:22年11カ月
---------------------------------------------------------------------------

出典:https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/saving/simulation/

こちらはあくまでリスクの少ない資産運用の一例です。

まずはリスクの少ない商品から始めて、徐々にポートフォリオ(資産の組み合わせ表)を作っていきましょう。

商品を複数持つことでリスク配分ができるので、安定して資産を増やしていくことができます。

FIREを目指すためには資産運用は必須と言っても過言ではありません。

まずは無駄な支出をやめて、毎月コツコツと積み立てていくことが大切です。

究極のライフワークバランスを実現できる? 人生に選択肢を持たせられるのがFIRE最大の魅力!

FIREを目指すためには、

①FIREを達成したらやりたいこと(ゴール)を明確にする
②必要な生活費を洗い出す
③資産運用でコツコツとお金を増やす

の3点が重要となります。

私は特に①のゴールを明確にできるかが大切だと思っています。お金を増やして貯めていくのは簡単なことではありません。だからこそ、モチベーションは極めて重要と言えるでしょう。

厳密にはFIREの定義と矛盾していますが「今の仕事とは別の仕事に挑戦する」「独立して週2〜3日くらいの頻度で仕事をする」といった目標もいいかもしれません。

フルタイムで働くのではなく、生活に多くの余暇を持たせるためにFIREを目指すというのも立派な動機です。人生、暇すぎても退屈なものですから。

「究極のライフワークバランス」の実現。さまざまな選択肢が増えることこそが、FIREの最大の魅力ではないでしょうか?

文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介

<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

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