飲食業界が苦境を迎えています。ただでさえ、潰れる割合が高いにも関わらず、ここにきて新型コロナの影響が直撃し、非常に厳しい状態になってしまっています。それでも未だに飲食店で独立したいという方は多いと思います。本記事では、これから飲食店を開業しようとしている方や、現在、飲食店を経営している方に向けて、飲食店の潰れる理由や飲食店を成功させるために必要なポイントを解説していきます。
飲食店が潰れる割合
飲食店が潰れる割合が高いということは、一般的な感覚としてある方は多いのではないでしょうか。具体的な数字はどのようなものなのでしょうか。日本政策金融公庫が2016年12月に発表した「新規開業パネル調査」によると、飲食店・宿泊業が潰れる割合は全業種の中で最も高い18.9%でした。全業種平均が10.2%なので、平均の約2倍の数字になっています。
参考:日本政策金融公庫『2016年新規開業パネル調査』3ページ
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飲食店が潰れる理由
飲食店が潰れる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その理由を以下の3つに絞って解説します。
1.開業・運営コストが高い
2.飲食店で上げられる売り上げには上限がある
3.競合が多すぎる
どの理由も飲食店ならではの理由です。ここをしっかり理解することで、失敗する確率も減るので、必ずチェックしましょう。
理由1.開業・運営コストが高い
飲食店が潰れる理由の1つ目は『開業・運営コストが高いこと』です。開業資金は主に、物件取得費や、居抜き譲渡代、内装工事費、厨房機器、備品などに使われますが、開業資金の平均値は989万円となっています。
運営資金は主に、商品の仕入れや人件費、家賃、テナント保障料、生活費などがあげられます。基本的に、この運転資金が底を尽きると店舗が潰れるケースがほとんどです。
飲食店を開業するにあたり、開業・運営コストが高いことは避けて通れません。ただ、資金調達の手段も多様化してきたので「今、手元にある資金が足りない」という場合は、資金調達するのも一つの手です。
参考:日本政策金融公庫『2020年度 新規開業実態調査』9ページ
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理由2.飲食店にはそもそも限界がある
飲食店が潰れる理由の2つ目は『飲食店で上げられる売り上げには上限があること』です。飲食店の売り上げの上限は、店舗の規模と営業時間で概ね決まります。ただし、飲食店は他の業種と比較すると、売り上げの上限は低いといえるでしょう。
例えば10席あるお店で、1席あたりの滞在時間は30分、1席あたりの注文金額が1,000円、営業時間は8時間の場合を想定すると、この条件で常に座席が埋まっていたとしても(座席を片付ける時間は考慮しません)、1時間あたり「10席x1,000円x2回転」で2万円。「2万円x8時間」で1日あたり16万円が限界です。
店舗数を増やしたとしても上限があるのは変わらず、人件費や家賃などの経費も増え、店舗ごとの赤字リスクも発生します。
理由3.競合が多すぎる
飲食店が潰れる理由の3つ目は『競合が多すぎること』です。飲食店は『食品衛生責任者』の資格があれば、だれでも参入できるため、人口に対する店舗数が多い状態が続いています。店舗数が多いと、それなりにどの店も工夫をしていますし、勝ち残るのに必死なため、競合分析をしています。
また、人気店はすでにある程度決まっていて、認知されているため、後発の飲食店が勝つのはなかなか難しいといえます。絶対なくならないニーズで歴史も古い業界な分、新規参入で勝つのは相当厳しいのが現実です。
潰れる飲食店の特徴
潰れる飲食店には、ある特徴があります。「この特徴に当てはまれば必ず潰れる」というわけではないですが、店舗の経営に携わろうとする方には、とても大切な情報でしょう。ここでは、潰れる飲食店の特徴を3つのポイントに絞って解説していきます。
特徴1.開業時の見積もり・分析が甘い
潰れる飲食店の特徴その1は『開業時の見積もり・分析が甘いこと』です。特に開業資金や運転資金の見積もりや、店舗立地の検討が甘いことが多く見受けられます。開業資金や運転資金は、経営の中でも大切な部分である『お金』に関することなので、何回も見積もりを繰り返し、これなら大丈夫というレベルにしましょう。
また、店舗の立地選びは集客力にもつながります。表面的な競合だけでなく、意外な競合が潜んでいる可能性もあるので、注意深く選定しましょう。
特徴2.マーケティングが甘い
潰れる飲食店の特徴その2は『マーケティングが甘いこと』です。マーケティングとは、市場調査や競合調査、ターゲティングなどのことを指します。飲食店はどんなに美味しくても集客ができなければ潰れてしまいます。現在はSNSなども発達しており、集客力のある飲食店はSNSの活用が上手です。
店舗のコンセプトやターゲットの決め方、集客の方法など、どれも大切なことなので、しっかり考えて実行していきましょう。
特徴3.細かな心配りができない
潰れる飲食店の特徴その3は『細かな心配りができないこと』です。お金を支払ってもらって料理を提供している以上、料理の提供が遅いことやお店の掃除が行き届いていないことなどは、お客さんにとってはとても気になります。
細かいことかもしれませんが、できていないと印象を大きく下げ、店舗が潰れることにつながりかねないので、気を付けましょう。
飲食業界で成功し続けるために
以上、飲食店が潰れる理由や潰れる飲食店の特徴を紹介してきました。ここからは飲食店で成功し続けるために必要なことを解説します。潰れる飲食店の特徴と併せて理解しておくことで、失敗する確率を大きく下げることができるので、確認して実行しましょう。
1.最低6ヵ月分の運転資金を用意する
上でも述べましたが、運転資金の用意は、飲食店を開業するにあたり非常に重要なことです。日本政策金融公庫の『創業の手引+』によると、約6割の企業が店舗を安定させるまで半年以上かかっていることがわかっていることから、運営資金は最低でも半年分用意することをおすすめします。
ただでさえ高額な開業資金の準備に加え、運転資金を6ヵ月分用意することは非常に難しいことです。高額な自己資金を大きく圧迫し、運営資金が少なくなりがちですが、その際は開業を焦らずに、余裕をもったスケジュール、資金の準備を行いましょう。
参考:日本政策金融公庫『創業の手引+』
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります。
2.経営・料理・接客を極める
飲食店に必要な3つの顔があります。その3つの顔とは『経営のプロ・料理のプロ・接客のプロ』のことを指します。一つだけ秀でていても、他がだめであれば店舗にお客さんは来てくれません。もし、一人で3つの顔を持つことが難しければ、人を雇ってもよいので、店舗に3つの顔がそろうように心がけましょう。
3.ビジネスモデルを考え抜く
お店のコンセプトやターゲットも大切ですが、店舗を持つのか持たないのかなども考えてみる価値があります。最近では移動型の店舗やデリバリー専門店でも成功している事例があります。一つの考えに固執しないで、柔軟な考えを持つようにしましょう。
飲食業界にはさまざまなビジネスモデルが存在します。もちろんパクリはよろしくないですが、参考にして取り入れるのは問題ないので、色々な店舗を分析してみるのもいいですね。
「飲食業は難しいし、潰れる」と知っている経営者は強い
「飲食業は難しいし、潰れる」と知っている経営者は強いです。甘い考えや楽観的な考えはたまには必要かもしれませんが、独立して店舗を開店するという立場であるならば、物事を注意深く検討するようにしましょう。
ただし、未経験でこれから飲食業で独立しようとしている方もいると思います。その場合、一口に「物事を注意深く検討する」といっても難しいかもしれません。そんなときは選択肢の一つにフランチャイズを入れてみてはいかがでしょうか。
フランチャイズの強みは何といっても『フランチャイズ本部の力を利用できること』です。フランチャイズ本部のブランド力を使えるため、集客面では大きな効果が出るでしょう。また、サポート内容はフランチャイズ本部によって大きく異なりますが、フランチャイズ本部のサポートを受けて、経営未経験でも安心して事業を進めることができます。
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