起業したくても、「大きなお金を準備できない」「借金するのは怖い」と考え、ためらう人は少なくない。
しかし、さまざまな制度や手法を活用すれば、少額投資でスタートすることは十分に可能だ。
格安起業から事業を軌道に乗せた5人の先輩たちの事例で、その方法論や考え方を学ぼう。
酒造・販売:初期投資120万円/
姉崎亮太さん
業務全般もDIY。商品開発にクラウドファンディングも活用
たぶん、日本一小さい酒造ベンチャーですが、そもそもは趣味の延長です。
会社員時代から、友人と2人で果実酒づくりにハマりました。その後、知人とほかの事業で起業したものの、経営方針でもめて終了。友人と飲みながら「これから何をしようか」と話すうち、「果実酒でいいんじゃない?」と。
流しの下にいっぱいになったボトルを並べる場所がほしかったし、良い素材を惜しまず使うやり方なら大量生産品と差別化できる。賃料くらい稼げると考え、会社員に戻り、休日に趣味でやろうと。
しかし、酒造免許の取得には、先に製造所が必要で、物件の改装も必要で、大量の書類作成も必要。片手間では無理だと思い、結果的に独立しました。
業務全般を内製化し、原料以外の部分は徹底的にコスト削減したけれど、生活できるようになったのは3年目。全国梅酒品評会で賞をもらったり、バーテンダーの方が工場見学に訪れたりと、マニアックな顧客が増えました。
僕にとって、仕事はあくまで仕事。独立後と会社員時代の違いはお金だけです。
リスクテイクしてひと山当てたいか、働いた時間数で一定収入を得たいか。僕は前者だから、独立が合っていると思っています。
姉崎亮太さん(34歳)
撮影/刑部友康、掛川マサヤ、竹井俊晴
アントレ2019.春号
「セルフリノベ、クラウドファンディング、間借り… イマドキ格安起業術」より