左から、うめちゃん、奥田氏、鎌田氏、れいたん
れいたん・うめちゃん:
みなさん、こんにちは!
れいたん:
今回は、起業する方にとっての大事な開業資金の調達についてのお話を、日本政策金融公庫の方に聞きに行ってきました。
うめちゃん:
お金ってすぐには貸してもらえないよね…
どうしたら貸してもらえるのかな?その辺りについて詳しく知りたいね!
れいたん・うめちゃん:
それでは、奥田さん、宜しくお願いします。
奥田氏:
れいたん、うめちゃん、こんにちは。株式会社日本政策金融公庫の奥田と申します。
二人とも独立に関することを学んでいるということで、今回は独立開業に必要な資金調達に関するお話をしますね。
少し難しい話かもしれませんが、二人が眠くならないようにがんばります(笑)
始めに…二人は日本政策金融公庫って知ってましたか?
れいたん・うめちゃん:
いえ・・・初めて聞きました。
奥田氏:
そうですよね、あまり馴染みのない方も多いと思います。
ではまずは、日本政策金融公庫(以下、公庫)について簡単に説明しますね。
小さな企業への融資サポートを行っています。
まず始めに、公庫は日本政府が100%出資をしている金融機関です。
銀行などは、民間の金融機関なので営利を優先します。一方公庫は、政府の金融機関なので中小企業の発展といったような公共性を重視して運営しています。
金融機関では、貸した(融資した)お金に対して、利息を返してもらうことで利益につながります。当然、お金を貸すためには審査などの手間暇がかかるので、一度に大きな金額を貸して、その分利息も大きく返ってきた方が効率が良いですよね?
でも、公庫の場合は違って、小規模零細企業がお客様となるので、同じ手間暇をかけていても、それほど大きな金額を貸すことはありません。政府の金融機関だからこそ利益優先で捉えず、たくさんの小規模企業への融資サポートを行えるのです。
また、一般に金融機関の審査は主に過去のトレンドを読んで、この先どうなっていくのか?を分析・検討して融資可能かどうか判断をしているのに対して、創業者の審査は、過去の実績という判断材料が無いまま融資判断を行っています。それがとても高度で難しいのです。
民間の金融機関が対応しにくいところを公庫が担っているという感じです。
ちなみに、年間で約10万件が創業していて、うちどこの金融機関からも融資を受けずに創業する方が過半数である状況で、約2万6000件の融資を公庫が行っています。
これ、凄い件数なんですよ笑
うめちゃん:
公庫さんは、優しい金融機関なんですね!
金融機関は返済の確実性を重視している
さて、公庫の紹介が終わったところで、いよいよ本題に入ります。
先ほどお伝えした通り、融資を受けるためには審査を通過しなければいけません。
まずは、金融機関の思考回路をしておいていただきたいのですが、
金融機関が融資したい企業を一言でいうと
「経営内容が良く、安全性が高く、リスクが小さい企業」です。
当然ですよね?
つまり、金融機関が融資を行う際は、「返済の確実性を重視」しているということです。
では、返済の確実性はどのような点で判断されるのか?まずは、「事業領域の選択ができているか」という点があります。
事業領域とは、図のように「やりたいこと」「できること」「ニーズがあること」の3つの観点で重なっている部分です。
「やりたいこと」については、困難を乗り越えていける熱意や信念、志があるか。
「できること」については、事業運営上、必要なスキルや信用が身についているか。
「ニーズがあるか」については、ビジネスとして成立するだけの需要(ニーズ)があるか。
ということです。
よくあるダメな例を紹介すると、
「特許を持ってます」
と言ってアピールポイントはあるものの、明らかに需要がなさそうな商品。や、
「良質な商品をどこよりも低価格で提供します」
といった、小規模ビジネスという前提を無視してしまった大企業的な発想などです。
大切なのは、3つの観点をバランスよく網羅していることです。
ターゲットの絞込みをしっかり行う
次はターゲットの絞込みです。
どういうお客さんに来てほしいか、どういうお客さんに買ってもらいたいかなど、典型的な顧客像を想定できているかどうかによって、事業の経営は大きく変わります。
例えば飲食店一つを取ってみても、呼びたい顧客層を想定して、コンセプトやメニュー、内装、価格帯など設定していますよね?れいたんやうめちゃんがよく行くお店で居心地が良いなぁと思うお店はターゲットに近しいということなんですよ。
ターゲットを明確することで、売りやすくなったり、お客さんへの接客がマニュアル化しやすくなって、社員教育につながったりもするんですよ。
セールスポイントの3つの観点
最後は、セールスポイントです。
先ほどの図と似ていますが、セールスポイント構成する要素は3つあります。
二つ目は「提供方法」。これは店舗の立地や広告、営業時間など。
三つ目は「営業環境」。流行や景気、競合の出現など。
これら3つの要素が重なる部分が「取扱い商品・サービス」であり、
3つの要素をつなぐ仕組みが「セールスポイント」となります。
この中で特に注意した方が良いのは、「営業環境」の部分です。環境は変わっていくものなので、変わる前提で事業を動かし、環境の売上にあわせて「商品・サービス」を変えていく必要があるのです。
ちなみに、商売を始めてから1年以内に事業競合(ライバル)が出現する可能性は約40%だと言われています。
これ、けっこう多いですよね。
つまり、1年後には約半分の可能性でライバル企業にお客さんが取られるため、それも見越した改善策も常に考えておく必要があります。お客さんのデータをしっかり丁寧にとっておくといいですね。お客さんの声を拾うツールとかがあると良いと思います。
また、セールポイントは一時的なものだということを念頭に置いて、環境の変化に応じて柔軟に物事を動かしてください。これには心構えとそれなりのスキルが必要ですよ。
奥田氏:
あ、もう時間ですね 笑 他にもお伝えしたいことがあったのですが、またの機会ですね。
最後に二人が友だちからお金を貸してほしいと言われたら、まず何で判断しますか?
うめちゃん:
ちゃんと返してくれる人かどうかの信頼ですかね…
奥田氏:
そうですよね。基本的に金融機関が融資する際も同じです。
人柄や生活環境、金銭感覚・使い道、返済の目途、過去の事例、その友人の日頃の態度、他の人からの評判や情報とかで総合的に判断しますよね。
融資を受ける際にはぜひ、貸し手側の気持ちになって、どういう情報や印象が伝わればお金を貸すか?という目線でも見てください。
れいたん:
たくさんメモを取っちゃいました。
れいたん・うめちゃん:
奥田さん、すごく分かりやすいご説明、ありがとうございました。
講師プロフィール:
株式会社日本政策金融公庫 国民生活事業本部 創業支援部 創業支援グループ
奥田 展久氏 / 鎌田 章吾氏