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メンバーとの信頼関係を強くする、上手な「叱り方」とは?

メンバーとの信頼関係を強くする、上手な「叱り方」とは?

あなたは、日頃一緒に仕事を進めるメンバーを「叱る」ことはありますか?

上司として、メンバーを育成する中で必要になるのが「叱る」ということ。ただ、間違った叱り方はメンバーのモチベーションを下げ、場合によっては離職の原因になってしまうこともあるため、注意が必要です。

ここでは、一緒に仕事をするメンバーの「叱り方」について、そのポイントをご紹介しましょう。

「怒る」のではなく「叱る」

メンバーをうまく「叱る」上でまず理解してほしいのは、「怒る」とは明確に違うということです。「怒る」と「叱る」は文脈の中で同じように使われがちですが、実は意味が違うものです。

「怒る」とは、たとえば「お前がちゃんとやらないと俺の評価が下がる」など、自分が困りたくないからメンバーに行動の回避を求める行為、つまり自分本位の行為です。時にはメンバーの不出来に腹が立ち、感情的になってそのメンバーを執拗に責めてしまうのが「怒る」という行為です。上司であるあなたが感情的に怒ってしまうと、メンバーは失敗を恐れ萎縮し、次からチャレンジができなくなってしまいますし、そのことであなたに不信感を抱き、離職の原因になってしまうかもしれません。

これに対し「叱る」とは、相手の成長や望ましい行動を促すきっかけをつくることを目的とする行為で、メンバー本位の行為と言えます。その場の感情に任せることなく、メンバーのことを考えて冷静に、端的に指摘する行為です。メンバーの間違った行動や望ましくない行動を改善してもらうことが目的ですから、メンバーに自らの意志で行動改善をしてもらうことが大切です。

「説得する」のではなく「納得してもらう」

叱ることで行動改善を促す際、メンバーを「説得」するケースが散見されます。

「説得する」とは、上司であるあなたの考えをメンバーに理解させようとすることです。説得の度合いが強くなると、あなたの考えをメンバーに押し付け、ねじ伏せてしまうことになるので要注意です。メンバーにそういった押し付け感が残ると、あなたに対して警戒心や不信感を抱くようになってしまうかもしれません。

行動改善を促す際は、説得するのではなく「納得してもらう」ようにしましょう。

「納得する」とは、メンバーがあなたの考えを聞いて「なるほど、もっともだ」と認めることです。人は自分で決めたこと、思ったこと、考えたことに対しては、納得感があると言います。できるだけメンバー自らが決める場面をつくり、自分で決めたと納得できるようにしましょう。

上手な「叱り方」、5つのポイント

次に、メンバーの納得を促す上手な叱り方のポイントをご紹介します。

① 叱るタイミングは“その場、その時”

叱るタイミングとして最もよいのは、メンバーの叱る行動が起こったその場、その時です。メンバーの日頃の行動をよく観察し、タイミングを逃さず、叱るようにしましょう。

その際、叱る場所には注意が必要です。他のメンバーの前で叱るのは避け、部屋を変えるなどしてまわりに聞こえないように配慮しましょう。

② 起きた事実の確認を、冷静に、論理的に行う

メンバーを叱る際は、まず起きた事実とメンバーの行動の確認を、主観を入れずに行います。決して感情をぶつけたりしないように注意しましょう。声を荒らげて怒ってもメンバーには伝わらないですし、むしろメンバーとの溝が深まるばかりです。

メンバーに自分の不出来や嫌なことを理解し納得させることになるので、起こった事実とともに、叱っている理由を冷静に、論理的に伝えましょう。

③ 事実の確認の後、こちらの考え、気持ちを伝える

事実の確認を行った後に、あなたの考え、気持ちを伝えます。その際、主語を「私」にして伝えるようにしましょう。

「だからお前はダメなんだよ」「キミにはがっかりだ」など、主語を「君」や「あなた」など2人称にすると、メンバーは叱られているというより、責められていると感じる場合もあります。「私は君の遅刻が残念だ」「私はあなたにきちんと確認してほしいと思っている」など、主語を「私」にして、こちらが感じていることを伝えましょう。

また、メンバーの性格や人格を否定したり、他のメンバーと比較するのはやめましょう。叱るのは、あくまでメンバーの行動についてです。性格や人格は関係ないですし、他のメンバーと比較して叱られれば、誰でも自尊心が傷つきます。

④ 改善するべき行動は、具体的に伝える

こちらの気持ちを伝えたところで、次は改善するべき行動を伝えます。その際、「今後は納期の3日前に進捗確認を行い、報告することにしよう」「約束の時間の15分前には現地に到着するようにしよう」など、改善すべき行動をメンバーに具体的に示しましょう。

「もっと頑張れ!」などと抽象的に伝えてしまうと、具体的にどう改善すべきかメンバーに伝わらず、行動の改善がされないまま、また同じことを繰り返すことになってしまいます。叱る目的は行動改善です。できるだけ具体的に改善するべき行動を伝えましょう。

⑤ 最後は、メンバーの感情をプラスにする

叱った後は、メンバーの気持ちも落ちこんでいるものです。「次は期待しているよ」などと声を掛けて励ましたり褒めたりすることで、メンバーの感情をプラスにして話を終わるようにしましょう。

メンバーのことを考えて、上手な「叱り方」を実践しよう

ここまで、メンバーの失敗を成長につなげるためには、感情任せに「怒る」のではなく、メンバーのことを考えて上手に「叱る」ことが重要だとお伝えしてきました。

「叱る」というと相手を責める悪いイメージがありますが、逆に必要な時に叱らないと、メンバーの成長の可能性を閉じることになってしまいます。また、上手に「叱る」ことでメンバーの納得感を生み、あなたとの信頼関係が強くなり、その後の仕事の生産性を上げることにもつながります。

今回ご紹介したポイントを意識した、上手な「叱り方」を実践してみましょう。

PROFILE

HIDE

元大手広告会社で人事部長を経験。新卒・中途の採用から人事制度設計、労務管理まで人事業務全般を手がける。現在はその前職での経験を活かし、各種就職・転職セミナーの企画運営から企業の採用広報の企画設計等、幅広く活動中。

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