組織で仕事の成果をあげるためには、組織のメンバー全員が共通の目標に向けて、ひとり一人の役割を全うすることが求められます。そのために大切になるのが、メンバーとのコミュニケーションです。
ここでは、メンバーとのコミュニケーションの重要性を確認するとともに、大切な3つの基本的なポイントをお伝えします。
メンバーとの共通認識を得るために重要な「コミュニケーション」
上司のあなたにとっては、メンバーひとり一人が仕事の目的とゴールを理解し、自分で考え自律的に仕事を進めてくれることが理想です。
ただ現実はそんなにうまくはいかず、仕事の目的やゴールに対する認識が違っていたりずれていたりすることで、求める成果が出せなかったり、仕事が滞ったりするものです。
そこで、メンバーとコミュニケーションを取り、共通認識を得ることが重要になります。
特に組織に関わる人が増えると、いわゆるコミュニケーションロスが起こるリスクが高まり、ひいてはメンバーとの信頼関係に問題が生じることにもなるので、注意が必要です。
メンバーとのコミュニケーションで大切な、3つのポイント
メンバーとのコミュニケーションの取り方についてはさまざまな方法がありますが、ここでは特に重要とされる、3つの基本的なポイントについてご紹介します。
① メンバーの声に、まずは耳を傾ける
メンバーとのコミュニケーションで大切なのは、まずメンバーの声を聞くこと、傾聴することです。
たとえば、あなたのメンバーが仕事でミスしたり、メンバーのせいで仕事の進捗に大幅な遅れが生じたりしたら、メンバーは、表面上は悪びれていないように見えても内心では「しまったな」と思い、けっこう反省しているものです。メンバーがその精神状態の中であなたが一方的にアドバイスしても、メンバーに正確に意図が伝わり、理解されるかは正直疑問です。場合によってはメンバーにそのアドバイスが理解してもらえず、また同じ失敗を繰り返してしまう危険性があります。
メンバーがミスをしてしまった場合、まずはメンバーの「声」を聞くことが大切です。なぜそのミスが発生したのかと質問し、メンバーの意見を聞きます。次に、そうした事態を防ぐにはどうすればよいのか、再びメンバーの意見を聞きます。
その場合、あくまで「メンバーに考えさせる」ことを心がけてください。メンバーの説明が回りくどく、ただの弁解にしか聞こえなかったとしても、粘り強くメンバーの意見を引き出します。決して「こういうことだよね」と自説を押しつけたりしないよう、注意しましょう。
メンバーに考えさせ自分の言葉で話させる方がメンバーの成長を促し、長い目で見ると仕事が効率的に回るようになりますし、メンバーとの信頼関係も築けると思います。
② 自分から積極的にメンバーに声をかける
メンバーに仕事を依頼した後、その進捗を把握し順調に進んでいるかを確認するのは、上司であるあなたの仕事です。その際、「何かあればメンバーから報告や連絡、相談があるだろう」と待っていてはいけません。
よくメンバーに「困ったら声かけて」という上司がいますが、それは上司としての役割を放棄するための免罪符のようなもの。メンバーからしてみたら、上司にどのタイミングで声をかければいいのかわからないことが多いものです。実際に何か困ったことが起きたとしても、あなたが忙しそうにしていると「今こんなことで質問したらまずいのではないか」と、声をかけるのをためらってしまうことも多く、そのままズルズルと報連相が先延ばしになってしまい、あなたが「そういえばあの案件どうなった?」と気づいて聞いたときには、もう手の施しようがない状況に・・・というケースもよく聞きます。
メンバーからの「報連相」を過度に期待せず、あなたから進捗を確認しましょう。特に、配属されて間もない新人からは、基本的には目を離さないようにするのが望ましいです。変わった様子がなくても、「あの案件は順調?」「困っていることはない?」と、あなたの方から声をかけましょう。
③ 仕事の依頼は明確に伝える
メンバーがあなたから依頼した仕事を十分に果たせない場合、メンバーの仕事の進め方等に問題があることも考えられますが、実はあなたの依頼の仕方に問題があるかもしれません。
その場合、メンバーの立場からしたら「こっちは、言われた通りに仕事をしているのに!」と、不満を募らせ、信頼関係を損なうおそれがあります。
メンバーにダメ出しする前に、まず自分の指示の出し方に問題がなかったかを検討してみましょう。
仕事の依頼をする際は、一方的に指示を出すだけでなく「●●に必要なことは何かわかりますか?」「あなたはどう考える?」などとメンバーに質問し、理解できているかを確認しながら進めるとよいと思います。
また、メンバーに仕事を依頼する時には、「こんなの常識」「知っていて当然」という思い込みをできるだけ排除し、あいまいな指示にならないように気をつけましょう。
メンバーとのコミュニケーションを武器に、組織の成果を高めよう
メンバーとのコミュニケーションを取る際の基本的な3つのポイントについてご紹介しましたが、これを見ているみなさんの中には「こんなのあたり前だよ」と思われる方もいるかもしれません。ただ、本当にメンバーとのコミュニケーションがうまくいっているか、確認してみる必要があると私は思います。
メンバーと仲よく仕事しているからうまくいっている、ということではありません。メンバーの仕事の成果は出ているか、表面上は見えないが何か困っていることはないかを常に確認し、もし不安があるようなら、メンバーとのコミュニケーションがうまくとれているか、確認してみてください。
メンバーとともに組織の成果をあげるのは、上司であるあなたの責任です。ぜひメンバーとのコミュニケーションを円滑にすることで、組織成果を高めていきましょう。
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