最近では従業員の長時間労働などを問題視し、「働き方改革」に取り組む企業が増えています。一方、職場などのストレスから心を病む人は、なかなか減らないのが現状です。
そんな中、同じ労働環境の中で働いていても、心を病むことなく働き続けられる「ストレスに強い人」は、あなたの周囲にもいらっしゃいますよね?
ここでは「ストレスに強い人」とそうでない人にはどんな違いがあるのか、ストレスに打ち勝つためにはどんな方法があるのかを、説明していきたいと思います。
ストレスに強い人と弱い人との差は「捉え方の違い」にある
ストレスとは、「環境によって心や身体に負担がかかっている状態」を言います。ストレス要因(ストレッサー)による負担がいろいろな反応や症状を起こし、長期にわたると健康問題を引き起こしやすくなると考えられています。
ストレスの要因は、人間関係であれば他人からの言動などにあると思われがちですが、実はそのほとんどはストレッサーに対する自分自身の「捉え方」にあります。同じ労働環境で働いていても、心を病む人もいれば、そうでない人もいますよね。その違いは、起きた出来事に対する「捉え方」が違うからなのです。
ストレスに強い人は、仕事で成果が出なかったとしても、
「今回は失敗したけど、次に繋がる課題が見つかった」
「これ以上の試練はないはずだから、ここから頑張ろう」
と状況を前向きに捉え、次へのアクションに繋げます。起きた出来事に対し、どうしたら成功するのか、常にポジティブに思考しているのです。
ものごとの「捉え方」を、意識的に変える
この「物事の捉え方」を意識的に変える方法は、世の中にたくさん紹介されています。今回はその中で「リフレーミング」についてご紹介します。
「リフレーミング」とは、ものごとの捉え方や視点を変えるスキルです。たとえば、コップに水が半分入っているのを見て、「もう水が半分しか残っていない」とネガティブに捉える人と「まだ水が半分も残っている」とポジティブに捉える人がいます。「コップに水が半分入っている」という同じ事実でも、その人の捉え方によって状況や意味合いが変わってきます。
リフレーミングを使うと、このネガティブに捉えがちなものを意識的にポジティブに捉え直すことができるのです。
たとえば自分の性格についてどう捉えているかと聞くと、
・「私は短気だ 」
・「私は自分の意見が主張できない 」
と、いわゆる短所を挙げてしまう人がいます。これをリフレーミングすることで
・「私は短気だ 」→「私は決断が早い」
・「私は自分の意見が主張できない 」→「私は人の意見を尊重できる」
と長所に変換し、前向きなアクションに繋げることができます。
リフレーミングには、あるものごとや人物について「他のどのような状況ならば役に立つか?」と、状況を考え直す「状況のリフレーミング」と、「他にどんなプラスの価値があるか?」とその内容(意味)を考え直す「内容(意味)のリフレーミング」の2つがあり、その時々によって使い分けます。
リフレーミングは、先ほどご紹介したようにネガティブに捉えがちなものをポジティブに捉え直すことができるほか、うまく使うことで思考を柔軟にし、視野を広げることにも役立ちます。ものごとを捉え直す際に上手に活用し、ストレスへの対処に役立ててください。
強いストレスを感じたら、解消方法を実践する
ものごとの「捉え方」を意識的に変えても、時には強いストレスを感じてしまうことはあると思います。その際には、以下のような方法で少しでもストレスを解消するとよいと思います。これも世の中にはいろいろな方法が紹介されていますが、ここでは5つ紹介します。
① 笑う
作り笑顔でもよいので、ひたすら笑顔を作ります。鏡の前で行えば、視覚的にも脳が「笑顔=幸せ」と錯覚し、約2倍の効果が期待できます。また口角をあげることで、脳が筋肉の動きを察知し、「幸せ」だと判断します。その結果、三大神経物質の分泌を促すためストレスが軽減され、やる気が出てきます。
② 深呼吸する
呼吸をゆっくりと、次に肺が限界まで膨らむまで息を吸い込みます。そして、ゆっくり息を吐き出します。これを意識して深呼吸することで心拍数を下げ、また自律神経が密集している横隔膜が刺激されるため副交感神経の働きが活発になり、ストレス軽減につながります。
③ 噛む
ガムなどを噛むことで脳が活性化され、リラックス効果が期待できます。さらに、しっかりと噛むことで脳の満腹中枢が刺激され食欲が抑制されるため、ストレスによる暴飲・暴食を防ぐ効果もあります。
④ 植物を眺める
植物など緑色のものはリラックス効果をもたらし、ストレスを減少させる効果があると言われています。さらに緑色は副交感神経に働きかけ「気持ちを落ち着かせてくれる効果」があるため、植物の中でも緑色の葉が多いものがおすすめです。
⑤ 遠くを見る、目を閉じる
窓の外など自分の視界から1メートル以上、遠いところを眺めます。短時間でも遠くを見ることで脳が休まり、リフレッシュ効果が期待できます。または数分から10分ほど「目を閉じる」こともおすすめです。寝なくとも単純に目を閉じるだけで、目や脳の休養になり、ストレスが減少します。
自分自身をコントロールして、ストレスに打ち勝とう
ストレスが溜まるとどうしてもネガティブな捉え方になってしまい、場合によっては心が病んでしまうこともあります。
ただ、目の前で起きたことに対してストレスと感じるかどうかは、あなたの捉え方次第です。結果に対して成功したか失敗したかは、あなた自身が決めればよいのです。
他己評価ではなく自己評価でものごとを捉え、必要に応じてストレスを解消して自己をコントロールし、ストレスに打ち勝っていきましょう。
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