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2020年から青色申告控除額が10万円減る? 毎年変わる税制大綱を税理士が解説!

2019年11月15日

2020年から青色申告控除額が10万円減る? 毎年変わる税制大綱を税理士が解説!

青色申告。

フリーランスの方なら、一度は聞いたことがあるかと思います。

青色申告とは確定申告の方法の1つで、白色申告と比べて様々なメリットがあります。その目玉となるのが「65万円控除」。

青色申告で申告した場合、最大で65万円の特別控除を受けられるのですが、実はこの65万円が2020年分から最大55万円に減額されてしまうことを知っていますか?

独立・起業の「お金」に関する悩みを、税理士の齋藤雄史先生に解説していただく「税理士が教えるお金と起業」シリーズ。

今回は「フリーランスのための最新の税制」をテーマに、齋藤先生に詳しくお伺いしました。

これは知っておくべき!フリーランスに影響がある2020年税制改正

フリーランスの方にとっての税で1番おなじみなのは「所得税」ではないでしょうか。毎年3月になると確定申告でバタバタしてしまう、という方も多いのではないかと思います。

会社員の方からすると、毎月給与から差し引かれているよくわからないやつ=所得税(源泉所得税)といったイメージではないでしょうか。

所得税法が創設されたのは、今から100年以上前の1887年(明治20年)です。

消費税法が創設されたのは1989年(平成元年)ですから、消費税法に比べると所得税法は大先輩ですね。

明治23年7月、全国いっせいに行われた第1回衆議院議員選挙では300人が当選し、地租および所得税の直接国税15円以上を選挙の納税要件としたところから、非地主にも帝国議会議員となれる可能性が拓かれたそうです。

明治時代の1円=現在の2万円と仮定すると、当時の15円は現在の価値でいうと30万円位でしょうか。

所得税を納めることは何だか偉いことであるような気がしてきました。

そして、実は所得税は、日本の税収を大きく支えているのです。

令和元年度予算によれば、税収の中で最も割合を占めています。

今回は、フリーランスの方向けに特にお伝えしたい所得税の税制改正をピックアップして解説していきます。

フリーランス減税は幻? 青色申告控除が65万円→55万円に減少

まず、税制の大きな流れを確認します。

働き方の多様化を踏まえ、様々な形で働く人をあまねく応援する等の観点から個人所得課税の見直しを行うとともに、デフレ脱却と経済再生に向け、賃上げ・生産性向上のための税制上の措置及び地域の中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置を講じ、さらに、中小企業の代替わりを促進する事業承継税制の拡充、観光促進のための税として国際観光旅客税(仮称)の創設等を行う。

参照:財務省HP 平成30年度税制改正の大綱

「働き方の多様化を踏まえ、様々な形で働く人をあまねく応援する」という部分にはフリーランスで働いている方も含まれるでしょう。

なんだかこの文章を読むとフリーランスの方は減税されるのではないかと期待してしまいます。

では、各論に入っていきましょう。

令和2年分以後の所得税につき、青色申告特別控除が65万円から、55万円に減少します。

「あれ? 控除の金額が下がるということは実質増税なの?」と思った方もいらっしゃると思います。

確定申告の方法は、「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。

このうち「青色申告」は、一定の帳簿を備え付け、記帳された帳簿にもとづいて申告・納税をおこないますので、その分「白色申告」にはないいくつかの特典を受けることができます。

「青色申告特別控除」はその特典のひとつで、税金を計算する際に所得から現行65万円または10万円を差し引くことができ、納めるべき税金が少なくなります。

また、所得税だけでなく住民税、また市町村によっては、国民健康保険料(税)の負担額も少なくなります。

10万円の控除が少なくなるだけでも意外と影響が大きいのです。

そうなると、青色申告特別控除が55万円まで引き下がるのは増税にあたります。

しかし、安心してください。65万円の特別控除を受ける方法は存在します。

65万円の青色特別控除を受ける方法がある?

令和2年分からの確定申告であっても、青色特別控除65万円を受けられることができます。

図解の通り、改正前の複式簿記による記帳等の要件に加え①e-Taxによる申告(電子申告)又は②電子帳簿保存をすることにより65万円の青色特別控除を受ける事ができます。

税理士目線でお話しますと、①電子申告はハードルが低め、②の電子帳簿保存は現行法でもまだハードルが高いように感じます。

国税庁によると、 平成30年度によるe-Taxの利用満足度は81.5%であり、e-Taxによる電子申告はさほど労力はかからないでしょう。

一方で、電子帳簿保存の方はどうでしょう。

平成29事務年度末における帳簿書類の電子帳簿保存法に係る電磁的記録による保存等の累計承認件数は20万件程であり、年々増えていると言えどもまだまだ一般に普及しているとは言えないでしょう。

以下の記事も参考にしてみてはいかがでしょうか?

かさばる領収書、破棄できる? 電子帳簿保存法のスキャン保存について、税理士が解説!

青色特別控除は65万円を受けたいのであれば、まずはe-Taxによる申告から初めてみましょう!

基礎控除が引き上がる!38万円控除から48万円控除に?

画像:財務省平成30年度税制改正パンフレットより

基礎控除は納税義務者すべての人に適用される所得控除で、現行では一律38万円が所得から差し引かれています。2020年からは、この基礎控除が48万円に引き上げられます。これは減税と言えそうですね。

ただし、会社員として給与所得もあるフリーランスの方は注意です。給与所得控除が一律10万円引き下げられるからです。

また、下表の通り、事業所得と給与所得の合計額が2,400万円を超えると控除額が段階的に引き下げられ、2,500万円を超える場合はその恩恵が消失することになります。

2,400万円を越える事業所得者の割合は多くありませんので、ほとんどの方が減税に働くことでしょう。

税制改正はどうやって抑えておいたらよいの? 忙しいフリーランスのための情報収集術

「税制改正は知っておいた方がいいな」と思いつつも、毎年変わる内容をどうやって調べたら良いのか、分かっていない方も多いと思います。

毎年12月中旬頃、政府・与党が翌年の日本の税制のあり方をまとめた方針を発表します。

これを「税制大綱(ぜいせいたいこう)」と言います。

税制大綱とは、翌年の日本の税制のあり方を網羅的にまとめた方針。景気や雇用情勢、財政健全化などを総合的に考慮し、税制改革の内容を細かく定めたものであり、政府・与党が毎年秋口から12月中旬頃にまとめ発表する。

財務省のホームページから確認することができます。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/index.html

この税制大綱から、今後の税制の大きな方針を読み解くことが大切です。

とはいえ税金のことが苦手な人にとって1番手っ取り早いのは、まず身近な税理士に聞いてみることだと思います。

税理士は令和元年9月末時点で、78,508人登録されています。

各コンビニチェーンの店舗数を合計したコンビニ店舗数は約5万店舗以上はあるとのことなのでそれより身近なはずです。

既に税理士の先生にお願いしている場合は「先生、私に関係ありそうな今年の税制改正を教えて下さい」と尋ねれば教えてくれるでしょう。

また税制大綱が発表されるシーズンになりますと、あちらこちらで税制改正の解説会のようなセミナーが各所で開かれますので、そちらに足を運んでみるのも良いでしょう。

身近に税理士がいない方は、ネット検索で「税理士 無料相談」などと調べると、初回相談無料の税理士が検索できます。

無料相談でお会いすることによって、今後お願いするにあたり税理士先生との相性までもがわかってくるかもしれません。

税理士の選び方はこちらから

お宝探しの税制大綱。理解できず諦めるくらいなら、専門家に相談の一手。

税制改正と聞いても全く興味なかった方も少しは自分ごとのように感じて頂けたでしょうか。

税制大綱を宝探しのように見ていけば、自分にとってお得な制度が見つかるかもしれません。

ただし、忙しいフリーランスの方は税金の専門家である税理士に上手く頼ってみましょう。

ビジネスの環境同様に毎年税制も変わっていきます。

税制改正は景気や雇用情勢、財政健全化などを総合的に考慮して行われていくものです。

税制改正の歴史を感じながら、時代の流れをよむ姿勢はビジネスチャンスをつかみやすくなるかもしれません。

<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

 

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