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ベンチャーキャピタルの投資判断基準となる3つのポイント

ベンチャーキャピタルの投資判断基準となる3つのポイント

近年、事業の成長に必要な資金をベンチャーキャピタルから調達し、将来の株式上場を目指すベンチャー企業やスタートアップ企業が増えています。

ベンチャーキャピタルの投資の流れ

ベンチャーキャピタルとは、高い成長が予想される未上場企業に対して出資を行う投資会社のことです。
出資した企業が株式上場を果たした場合、出資により手にした株式を売却することでキャピタルゲインを得ることを目的としています。
そのようなベンチャーキャピタルが投資を行うまでには、次のような流れがあります。

①投資希望者とベンチャーキャピタルとが出会う
     ↓
②ベンチャーキャピタルが投資するか否かの判断を行う
     ↓
③投資希望者とベンチャーキャピタルとの間で投資条件を合意し、契約を締結する
     ↓
④投資希望者に資金が振り込まれる

投資希望者とベンチャーキャピタルとの出会いは、以下のような形で生じます。

・投資希望者がビジネスコンテストに参加しベンチャーキャピタルの目にとまる
・投資希望者が金融機関や第三者からの紹介を得る
・投資希望者が直接ベンチャーキャピタルにコンタクトを取る

ベンチャーキャピタルの投資決断プロセス

ベンチャーキャピタルは、次のプロセスで投資するか否かの判断を行います。

①案件会議を開催する
     ↓
②投資希望者が事業計画をプレゼンテーションする
     ↓
③投資委員会を開催する
     ↓
④会計や法務に関するデューデリジェンス(査定)を実施する

①案件会議の開催
本格的に出資の検討を行うかどうかの議論を行います。決定した場合には、出資判断のポイントを明確にします。

②事業計画のプレゼンテーション
出資希望者が事業内容を説明し、それに対して出資希望者とベンチャーキャピタルとの間でディスカッションが行われます。
ディスカッションが行われることで出資判断を行うための情報が引き出され、さらに、投資希望者が経営者としての資質を有しているのかの判断もされます。

③投資委員会の開催
プレゼンテーションの結果を踏まえ、出資判断を行うためのポイントに対する検証を行い、出資するか否かの方向性を明確にします。

④デューデリジェンス
財務面や法務面でのリスクがないかどうかの検証を行います。
財務面でのリスクというのは、財務諸表には載っていない隠れ債務などがないかどうかの確認です。
法務面でのリスクというのは、今後訴訟につながるような事案や反社会的組織とのつながりなどの有無の確認となります。

ベンチャーキャピタルが投資判断する3つのポイント

ベンチャーキャピタルが投資判断を行うときのポイントは、次の3つです。
・経営者に対して信頼を持てるかどうか
・将来を見込める事業かどうか
・投資後にどれだけの収益が見込めるのか

いずれも、出資先企業が将来株式上場を果たすことが現実的かどうかを判断するためのものです。

①経営者に対して信頼を持てるかどうか
出資をした後は、株式上場を後押しするために、出資先企業から随時経営情報を収集し、今後の経営に対するアドバイスを行います。
これは長期的な対応になるため、出資先企業の経営者との間で信頼関係を築くことが前提となります。
そのために、経営者としての資質の有無に加えて人間性の判断を行います。

②将来を見込める事業かどうか
株式上場を果たすためには、将来に向かって事業を成長させていく必要があります。
そのカギを握るのが“市場の成長性”と“事業の差別的要因”です。
参入する市場が既に成熟している場合、どれだけ素晴らしい技術やノウハウを有していても、事業成長には限度があります。
さらに、事業成長の原動力となるのが事業の差別的要因です。
ライバルに負けない要素のあることが事業競争力の強化につながり、事業成長を実現させます。

③投資後にどれだけの収益が見込めるのか
投資後にどれだけの収益を実現するかが、株式上場を果たせる時期や株式上場を果たした後の株価に影響を与えます。
高収益状態が続くことが見込めるのであれば、早い時期での株式上場に対する期待を持つことができます。
さらに、高収益状態が続いた後の株式上場であれば、上場後の株価が高くなることで多くのキャピタルゲインを得られる期待が持てます。

投資判断を良くするための対策

ベンチャーキャピタルからの投資判断を良くするためには、投資をする側の知りたいことを的確に説明できる事業計画書を作成することが効果的です。
すなわち、投資判断を行うときのポイントを理解した上で事業計画書を作成するということです。

①経営者に対する信頼を得るための対策
事業の目的に共感してもらい、事業の体制に対して安心してもらうための対策が必要です。事業の目的に共感を得るためには、経営者が、世の中にどのような課題やニーズが存在し、それに対してどのような解決を実現するのかについての認識が明確であり、内容が理路整然としていることを示す必要があります。
加えて、長期的な視点での事業運営の方向性を表すビジョンが明確であれば、より効果的です。
事業の体制に対して安心感を持ってもらうためには、安定した経営体制があることを示す必要があります。
安定した経営体制とは、経営トップを支える幹部社員や社外の専門家などが存在し、最適な組織運営を行うためのマネジメントの仕組みがあることです。

②将来を見込める事業であると判断してもらうための対策
現状を的確に分析し、目標を明確にした上で、具体的な戦略を有していることを理解してもらうため対策をしなければなりません。

・現状の分析
市場の構造や競合相手の存在などを正確に把握した上で、自社の顧客を定義し、モノやサービスの最適な供給形態を明確にすることです。

・事業の目標
短期的な視点と中長期的な視点から、どのような結果を目指して事業を行うのかということを明確にすることです。

・戦略
競合相手との競争に打ち勝つことで市場や顧客が拡大し、それに伴い収益が拡大していくプロセスと根拠を可視化することです。

将来事業環境が変化したときの対応の答えも明確になっていれば、より効果的となるでしょう。

③投資後の収益に期待を持てる事業であると判断してもらうための対策
事業収益が拡大し続け、同時に効果的な事業投資を行うことのできるプロセスと根拠が明確であることを理解してもらうための対策が必要です。
そのために、戦略と一体になった市場や顧客ごとの収益予測と将来の事業投資の内容や効果を可視化した財務計画を作成する必要があります。

まとめ

ベンチャーキャピタルは、返済を不要とする分、リスクを回避するために厳しい視点での判断が行われます。
それを乗り越えていくことで、将来の株式上場への可能性を高めることができます。

PROFILE

大庭経営労務相談所 代表 大庭真一郎

東京生まれ。
東京理科大学卒業後、民間企業勤務を経て、1995年4月大庭経営労務相談所を設立。
「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心として、企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。中小企業診断士、社会保険労務士。

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