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元人事担当者が語る、日頃の交渉ごとにも使える「面接の極意」とは?

元人事担当者が語る、日頃の交渉ごとにも使える「面接の極意」とは?

皆さんもこれまでに入学や就職などで「面接」を受けた経験があると思います。面接って「何を聞かれるんだろう?」とドキドキしたり、「言いたいことが伝わってるかな?」と不安になったり。そして、できる限り面接官に「好印象」を与えたい、と思いますよね。

私はかつて、ある企業の人事として何百人もの転職希望者と「面接」をしてきました。その経験の中から感じた「面接の極意」について、お伝えしたいと思います。この極意、面接に限らず、日頃の交渉事などにも使えるので、ぜひ参考にしてみてください。

面接で「不合格」にしてきた3タイプ

「面接の極意」をお話しする前に、まずこれまでの面接でどんな人たちを「不合格」にしてきたのか、3つのケースをご紹介しましょう。

① 話が長い人

今まで「不合格」にしてきた人の中で最も多かったのが「とにかく話が長くて終わらない人」。

採用面接をする人事としては、転職理由やこれまで培ってきた仕事経験・専門性、今後のキャリアプランなど、短い時間の中で聞きたいことがたくさんあります。質問したことに対して、できるだけ簡潔に答えてもらいたい、そう思って質問するのですが、この際に困るのが「1つの質問に対する答えがとにかく長い人」。

たとえば、以前面接でお会いした某アパレル商社にお勤めの26歳、男性の方に「これまででやってしまった最も大きな失敗は?」とお聞きしたところ、今までの仕事での失敗話を次々と始め、失敗話だけで面接時間が残り5分に・・・。最後は途中で話を遮って次の質問をさせていただくことになってしまいました。

② 何が言いたいのか、よくわからない人

次に多かったのが、よく話してくれるのですが「何を伝えたいのかよくわからない人」。

たとえば、某食品メーカーの29歳、男性の方に「なぜ転職しようと思ったのか?」と聞いたところ、「実は今の職場で人間関係がうまくいっていなくて」という話から「そういえばお客さんからはよくゴルフに誘われていて」とお客さんとの話になり、その後「最近販売を始めた新商品の売り上げが上がらず苦労している」という仕事での苦労話になり、結局はじめに質問した「なぜ転職しようと思ったのか?」はよくわからなかった、ということがありました。

こちらからの質問に答え始めるのですが、途中で他のことが頭に浮かんでその話をし始め、最初の話に戻ってこられなくなり、結局なにが言いたかったのかよくわからなかった、という例ですね。

③ 自分が言いたいことしか言わない人

あと「何を聞いても、自分の言いたいことしか話してくれない人」もいました。面接の場で「少しでも自分をアピールしたい」と思う気持ちはよくわかるのですが、こちらの質問したことよりも、とにかく自分がアピールしたいことを熱く語ってしまう。

某電子機器メーカーの32歳、男性の方は、私から「これまで経験してきた仕事は?」「転職しようと思った理由は?」「最も成功した仕事は?」「逆に、最も失敗した仕事は?」といろいろ質問するのですが、どの質問にも「私は人と話をするのが好きなので、御社で営業の仕事をさせていただきたい」と熱く語られてしまい、困ったことがありました。

3つのタイプから見える「面接の極意」

以上、私が過去に採用面接で「不合格」にした3つのケースをお話してきましたが、実は彼らには、共通するある「不合格になった理由」があるのに、お気づきになりましたか?

それは、彼らが「面接官である私が何を聞きたいのか、理解していない」ということ。相手の意図が汲み取れていないことです。

私が人事をしていた前職の会社では、特に「コミュニケーション力」を重要視していました。

相手が何を聞きたいのか、何を求めているのか、そのニーズを掴み、どう答えるかを考え、回答する。相手は聞きたいこと、知りたいことが答えとして返ってくるので、さらに聞いてみようと思い、会話が続く。

こういう「言葉のキャッチボール」がスムーズに進むと、相手は「この人は話がわかる、理解しあえる人だ」との印象を持ち、関係性がよくなります。

コミュニケーションの第1歩は「相手の聞きたいこと、知りたいことを掴むこと」から。私は長年の人事の経験から、面接で合格を獲得するための「面接の極意」は、ここに尽きると思っています。

相手が「何が聞きたいか、知りたいか」を掴みとろう

ただこの「極意」は、最初にお話ししたように面接の場だけのことではない、と考えています。

たとえばクライアントとの商談の場だったり、社内のプレゼンの場だったり。相手にこちらの意図を伝える前に、まず相手が何を求めていて、何を聞きたいと思っているのか、これを把握し、どう言えば伝わるかを考えて発言する。

孫子の言葉に「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」というものがありますが、転職の面接でもクライアントとの商談でも社内プレゼンでも、相手が何を考え、何を求めているかを把握するのは大切なこと。

「相手の頭の中を覗く」というか、「相手が何を考え、思っているか」を掴んだ上で、こちらがやりたいことをどう伝えたら実現できるかをイメージしながらお話しする、そうして「相手の心を掴み、行動を促す」ことができたら、日々のさまざまな交渉事が思うように進められるようになる、そう思うのです。

PROFILE

HIDE

元大手広告会社で人事部長を経験。新卒・中途の採用から人事制度設計、労務管理まで人事業務全般を手がける。現在はその前職での経験を活かし、各種就職・転職セミナーの企画運営から企業の採用広報の企画設計等、幅広く活動中。

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