ベンチャーキャピタルがスタートアップ企業に投資する理由

スタートアップ企業の資金調達手段の一つとして、ベンチャーキャピタルからの出資があります。

大きく成長したいと考えるスタートアップ企業にとっては頼りになる存在だといえるでしょう。

では、ベンチャーキャピタル側から見ると、スタートアップ企業になぜ投資するのでしょうか。

ベンチャーキャピタルの仕組みや、スタートアップ企業がベンチャーキャピタルと接点をもつメリット・デメリット、接点をもつ方法などを見ていきましょう。

ベンチャーキャピタルとは

ベンチャーキャピタルとは、将来成長すると考えられる企業に出資するファンドを運営する会社です。

ファンドへの出資者を募り、集めた資金を有望な企業へ投資します。

ベンチャーキャピタルは、ファンドからの運用手数料とファンドが出した利益から手数料を得ており、ファンドの評価を大きくすることでベンチャーキャピタルも多くの手数料を得ることができるのです。

出資から回収までのプロセス

投資資金の受け皿となるファンドを作ります。

ファンドができたら投資家に対してファンドへの出資を募り、同時に投資先を開拓するのです。

そして、ファンドに資金が集まったら有望な投資先へ出資します。

投資した資金を回収する手段は株式の売却です。これをEXIT（出口戦略）と呼びます。

EXITは一般的に「株式上場」と「M&A」の2パターンです。

投資は段階が早ければ早いほど株価が低いため、投資額に対し多くの株が得られます。

上場時に多くの株式を投資時より高い株価で売却でき、多くのキャピタルゲインが得られるのです。

ベンチャーキャピタルがスタートアップ企業に投資する目的はここにあります。

出資する価値のある会社の特徴

ベンチャーキャピタルが有望な投資先を見つける判断基準の一つに“スケールの可能性”があります。

スケールの可能性を判断するのは、投資した資金が何十倍、何百倍にもなるくらいの成長の可能性があるかという点です。

ただし、キャピタルゲインだけを目的に投資が行われているわけではありません。

その企業の理念や目的、経営者個人に対して投資し、応援したいというところも多くあります。

投資を受けるメリット

投資を受けるメリットとして次の3点があります。

1．返済の必要のない資金を調達できる
ベンチャーキャピタルや投資家からの投資は、資本金や資本準備金になります。

借入とは違って返済する必要のない資金なので資金計画に余裕ができます。

2．外部からの評価があがる
純資産が潤沢になることで優良な会社として評価されて会社の格付けが上がり、金融機関からも融資が受けやすくなります。

さらに、ベンチャーキャピタルや投資家の質により「あのベンチャーキャピタルが投資している会社だ」と判断され、外部からの評価が上がることも期待できます。

3．経営支援を受けられる
ベンチャーキャピタルによっては、投資先の経営にアドバイスしたり、関与したりして投資先企業を応援してくれるところもあります。

販路開拓や技術支援など、バックアップが期待できます。

投資を受けるデメリット

投資を受けるデメリットは、次の2点が考えられます。

1．株主とのコミュニケーションが増える
株主とのコミュニケーションが増える点があります。

株主に対し、事業計画どおりに事業が進められているか、障害になっていることは何かなど、定期的ないし不定期に報告する必要があります。

2．意思決定に時間がかかる
事業をおこなうにあたり各株主の意向を聞かなければならず、場合によっては意思決定に時間がかかることが考えられます。

議決権によっては独断で意思決定することもできますが、株主の意向に沿わない決定をおこなった場合、後の増資の際に追加資金を出してくれないということも考えられるため、主要株主の意向は無視できないでしょう。

ベンチャーキャピタルと接点をもつには

ベンチャーキャピタルと接点をもつ方法には、アクセラレータプログラムやピッチイベントへの参加などがあります。

アクセラレータプログラムとは、ベンチャー企業・スタートアップ企業の育成を支援するプログラムで、地方自治体や民間企業などが運営しています。

ピッチイベントとは、投資を受けたいベンチャー企業やスタートアップ企業が、投資先を見つけたいベンチャーキャピタルや投資家に対し、会社や事業についてプレゼンテーションをおこなうことのできるイベントです。

まとめ

ベンチャーキャピタルは、自身が運営するファンドの利益を最大化するために、有望な投資先開拓をおこなっています。

スタートアップ企業は、そのようなベンチャーキャピタルからの投資を受け、多くの資金を獲得することで、事業をさらに加速することができるでしょう。

投資を受けることでさらに投融資を受けられる呼び水効果も期待できます。

株主とのコミュニケーションや意思決定に時間がかかることもありますが、事業の大きな成長を見据えるなら無視できない存在でしょう。