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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第55回・「安くていい」だけでは売れない

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

ノーブランドだが安くて高品質な電化製品として知られる「ジェネリック家電」。私は大好きでよく買うのですが、テレビについては1つ注意が必要だといわれています。それは、テレビを購入する際にあと1500円だけ払って「あるもの」を買っておかないとひどい目にあう可能性がある、ということなのですが、さて、その「あるもの」とは何でしょうか。

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

ジェネリック家電とは、大手メーカーの技術を活用して作られた「低価格の家電製品」のこと。ほとんど知られていないメーカーの商品ではあるものの、ジェネリック医薬品と同じで、ほぼ同等の質の商品を安く手に入れられるということから、人気が高まっています。

コンサルの仕事をしていると、いろいろな裏側が見えることが多いのですが、実際にジェネリック家電は大手メーカーの製品と同じ工場で作っているものがほとんどで、ほぼ同等の質であることは経験上わかっています。ですから、これを買わない手はないと思っているんです。

特に最近は台湾メーカーの商品のクオリティが上がっています。実際に買って使っていても、品質が悪いとか、壊れやすいとか、そういう不便を感じることはほぼありません。

少し前になりますが、50インチの液晶テレビを5万円程度で購入しました。その時にほぼ同じスペックのメーカーものは安くても10万円以上、ものによっては20万円程でしたから、ジェネリック家電がいかに安いかがお分かりいただけると思います。

それでは解説します!

そんなに安くてお得なジェネリック家電ですが、特にテレビの場合は1つ気をつけないといけないことがあります。それは、「リモコン」です。私が実際に経験して、気付く前は「しまったな」と思ったことなのです。

メーカー品のテレビの場合は、例えばブルーレイプレーヤーのリモコンにメーカーごとに振り当てられているコードを入力すると、テレビのリモコンとしても使える便利な機能があります。しかし、無名メーカーのテレビの場合はほとんどが対応していないのです。

これは裏を返せば、最初にテレビについてくるリモコンが壊れてしまったら、そのテレビは見られなくなる可能性が高い、ということなんです。テレビのリモコンというものは、落として壊れたり電池が液漏れをして使えなくなったりすることがよくありますから、笑い事ではないのです。

じゃあどうするか。それが今回のクイズの答えでもあるのですが、一番いいのは「学習リモコン」というものを買って用意しておくことです。

「学習リモコン」にあまり馴染みがないかもしれませんが、要はどんなリモコンでも簡単にコピーがとれる便利なもので、最近は1500円もしないで買えるようです。

つまり、いつ壊れてもいいように、コピーをつくっておけば安心だというわけですね。

対応の仕方を変えただけで、一気に売れるようになった2つの事例

コンサルをしていてもよく遭遇するのですが、「安くていい商品だと思うのに、思ったほど売れない」という場合が得てしてあります。よくよく原因を調べてみると、何か大きな不安要素があって、それが解消できないために購入に至らないケースがほとんどなのです。

今回のリモコンの話は、それほど知られているデメリットではありません。しかし、不安となり得ることが解消されれば安心して購入してもらえ、うまくいけばファンになってもらえる可能性も高まります。

要は「ユーザーが不安に思いそうなところをきちんと潰しておく」ことが、ビジネスを考える上では非常に大事だということですね。

その成功例として分かりやすいのが、昔トヨタ自動車が発売した「カリブ」という車のエピソードです。今でいうRVやSUVといった車の“はしり”ですが、発売当初は全く売れませんでした。なぜか? それは、それまでに見たことがないような奇抜なデザインの車だったからです。

デザインそのものが不人気だったのではなく、「欲しいな」と思っても、数年後にその車の下取りがどうなっているかが不安で、なかなか手を出せなかったというわけなんです。

それでトヨタが何をしたかというと、全力で下取り保証を行いました。ディーラーでも中古車店でも、カリブだけは高く買い、高く売る。それを徹底したことで、徐々に売れるようになり、結果的にRVやSUVの市場ができたというわけですね。

もう1つの例は、現在はAmazonの傘下に入っていますが、ザッポスという洋服の通販会社の話です。今のように通販で服を買う人が少なかった時代に、人々が何を心配したかというと、「実際に買ってみてサイズが合わなかったらどうしよう」ということでした。そこでザッポスがいち早く打ち出したのが、「返品無料」というサービスでした。

今では、ユニクロなんかが通販で買ったものを店舗で返品できるサービスをしていますが、その最初の事例がザッポスの取り組みだったといわれます。

どちらのケースも、消費者の心配事をうまく潰すことで商品が売れるようになった、古典的ともいえる話ではないでしょうか。

不安を払拭するための方法は、1つじゃない!

最近は、中国の野菜を嫌がる人が多いと聞きます。ならばそれを逆手にとって、例えば「中国の生産農家にきちんと指導をして安全・安心な野菜を提供しています」みたいな打ち出しをして、動画配信したりすれば、気兼ねなく買う人が出てくるかもしれません。

不安の解消が、新たな中国野菜のブランディングにつながるかもしれません。できることはまだまだあると思います。

売れない理由となり得るデメリットをきちんと見つけること。そして、それに対してきちんと手を打つこと。この2つが商売をする上で実は重要なのだということを、ぜひ頭に入れておいてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは、「リモコン」でした。今回のテレビの話ですが、「リモコンを最初から2つ付けておく」ことも、手段としてはアリかもしれませんよね。解決方法は1つではないので、いろんな発想が試せますね。


PROFILE
プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)、『令和を君はどう生きるか』(悟空出版)。

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アントレカウンター事務局からの<お知らせ>です

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お申込みいただいた皆様には、事務局より詳細のご連絡を差し上げます。
皆様のお申込みを、心よりお待ちしております。

★アントレカウンター事務局★

2019年10月21日

最近は会社のM&Aや合併・提携など、会社間での再編のニュースが増え、事業撤退やほかの事業への拡大を目的に、M&Aの中でも“事業譲渡”を検討する会社が多くなっています。
事業譲渡を行えば、長年の事業運営のノウハウや従業員、取引先との関係も含めて相手企業へ譲り渡すことになります。
(さらに…)

2019年10月21日

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