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“机上の空論”に根拠を持たせ、考え抜く。税理士が教える、融資が通る資金繰り表の作り方

2019年3月26日

金融機関から開業資金を調達する際に、創業計画書とともに重要視されるのが、資金繰り表。

創業計画書をお金の側面から補完する、資金繰り表をどれだけ現実味を持たせることができるかで、融資審査の結果は大きく異なります。

独立・起業の「お金」に関する悩みを、税理士の齋藤雄史先生に解説していただく「税理士が教えるお金と起業」シリーズ。

今回は、税理士が教える「資金繰り表の書き方」ということで、齋藤先生に資金繰り表のアレコレを詳しく伺いました。

創業計画書をお金の側面から補完する。資金繰り表とは?

こんにちは、税理士の齋藤雄史です。

今回のテーマは「資金繰り表の作り方」。

資金繰り表とは、事業に関わる資金がショートしないよう、お金を管理するための表のことです。

個人・法人問わず経営とは、売り上げから経費を引いて、残ったお金を「利益」とします。

しかし、そもそも売り上げが見込めるようになるまでに、様々な経費がかかってしまいますよね。

業種によっても異なりますが、例えば設備投資のお金だったり、開店前の準備にかかる人件費だったり。

そもそも最初にかかる資金をどう調達するのか。どのタイミングでどれくらい売り上げや経費、利益が見込めるのか。融資を受けるなら、どれくらいの期間で返済できるのかを、ある程度把握しておく必要があります。

事業を立ち上げるにあたって必要な、創業計画書は以前説明した通りですが、

融資を確実に通す、創業計画書の書き方を徹底解説!【税理士が教えるお金と起業③】
https://entrenet.jp/magazine/17784/

その創業計画書で説明した事業が、実際にちゃんと機能するかどうかを、お金の側面から検証・シミュレーションするのが、資金繰り表というわけです。

金融機関は特にこの資金繰り表を重要視します。その理由は2つあります。

1つ目は、事業として成立するのかという「事業性」を確かめるため。
2つ目は、貸したお金を回収できるのかという「将来的な資金力」を確かめるため。

このようにどこかしらの金融機関から融資を受けて開業を検討されている方にとっては、資金繰り表の作成は避けては通れない道であることは間違いありません。

最低でも開業から3年程度の資金の見通しを立てておくと良いでしょう。

可能な限り数字を割り出して考える。資金繰り表の書き方

それでは早速、資金繰り表の書き方を解説していきましょう。

今回は日本政策金融公庫に掲載されている、国民生活事業の資金繰り表を元に「洋食屋を立ち上げる」場合の資金の流れについて考えていきたいと思います。
https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html

収入

まず、収入面から考えていきましょう。

席数が10席の洋食屋で、ランチの1人あたりの客単価は1,000円、ディナーの客単価は2,000円とし、それぞれ2回転すると仮定すると、1日あたり60,000円の売り上げとなります。

すると1カ月(22営業日)で合計、1,320,000円の売り上げなので「売上高」の欄を埋めていきましょう(単位は千円)。

1カ月の売り上げ1,320,000円の内、現金支払いを50%、カード支払いを50%と仮定すると、「現金売上」は660,000円となります。

以上が収入です。ちなみに2月分も見てみると、カード支払い分は翌月の「売掛金回収」の欄に反映されており、1月の売り上げが遅れて支払われることになります。

※「前月繰越金」については後ほど解説します。

支出

次に、支出を考えます。

商品の原価率を30%とすると、396,000円。

水道光熱費といった「諸経費」は50,000円とし、先の収入の合計(B)から「現金仕入」と「諸経費」を引いた金額を「差引過不足」とします。

従業員を雇う場合は「人件費」も発生します。

今回のケーススタディでは、店のオーナーに200,000円、パート従業員に100,000円の合計300,000円を「人件費」として計算します。

「人件費」は月末締めの翌月払いとなりますので、1月分は2月に支払います。

また、土地代家賃代として100,000円を支払います。これは2月の「諸経費」からかかってきますので、水道光熱費と合わせて150,000円となります。

基本的な収入と支出については以上となります。

財務収支

次は、財務収支について検討します。

財務収支とは、金融機関等による借入金やその返済について扱う項目です。

今回は日本政策金融公庫から3,000,000円の借入金を、翌月から毎月50,000円ずつ返していく、という例で検討しますので、以下のようになります。

翌月繰越金

ここまで計算してきた収入と支出、財務収支等の合計金額、すなわち「翌月にどれだけのお金が残るのか」を計算したものが「翌月繰越金」となります。

1月は合計で3,214,000円、2月は3,638,000円残る計算になりました。

以上の計算を1年分まとめるとこうなります。

資金繰り表からズレることは、悪いことではない。限りなく根拠のある“机上の空論”を考え抜く

以上が、資金繰り表の書き方でした。

今回は「洋食屋を開業する」というケーススタディで記入していきましたが、開業する業種によって、各項目の数字や計算方法はもちろん異なりますので、ご自分の事業に合わせて考えてみてください。

また「1年後の見通しも分からないのに、3年後のことなんて考えられない!」という方も多くいらっしゃると思います。何度も事業を立ち上げているならともかく、初めての開業するのであれば、思い通りに行くことの方が少ないでしょう。

しかし分からないなりに、想定しうる範囲で、予想外のことを考えて準備をしておくに越したことはありませんし、あなたの資金繰り表、ひいては事業を、金融機関の方を始め多くの専門家の目で見てもらう機会は、事業を成功させる上でも、とても貴重です。

言ってしまうと、資金繰り表は“机上の空論”に過ぎません。

しかし、その“机上の空論”を綿密に練り、可能な限り根拠を持たせることが、融資を受けるのに必要なだけでなく、自分の中であらゆるパターンを想定することにも繋がります。

その根拠は、例えば自分が開業する業界の市場データを参照したり、開業した先輩に実情を聞いたり専門家に相談するなど、自分の足で調べれば何かしらの情報が得られます。

その中から根拠となる尺度や基準が見えてくるはずです。

忘れてはいけないのは、最初に描いた“机上の空論”からズレてしまうことが、悪いのではないということ。

そのズレを反映させた資金繰り表を、どうリカバーしていくのか。その軌道修正を適宜行っていく姿勢が大切なのです。

<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

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