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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第45回・「改善」を怖がるな

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

レジに人がいない無人の小売店「Amazon Go」が話題です。AIやコンピューターヴィジョンなどの最先端技術を駆使したAmazonの取り組みに世界中が注目していますが、実はAmazonは日本の「とある企業」のやり方を参考に、様々なチャレンジを進めていると言われています。さて、その企業とは一体どこでしょうか?

世界最強の小売店といわれるAmazonがその会社から学んでいるということで、影響力の大きさが伺えますね。ヒントは「改善」です。

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

2018年12月時点で、アメリカのシアトルやシカゴに5店舗オープンしている「Amazon Go」。店内に設置された様々なセンサーや画像を駆使してお客の行動を把握し、手に取った商品の決済まで済ませることでレジでの清算をせずに買い物ができる最先端の小売店と言われています。

現在はまだアメリカ国内にしかありませんが、いずれはいろんな国でも出店があるでしょう。すでにいくつかの企業が、同様の「レジなし」のサービスに向けて技術革新を進めているとの報道もありますし、日本でも無人店舗の導入実験が始まっています。

今後はこうした最先端技術を使った小売店のスタイルが主流になるのでしょう。そして、その走りともいえるのが、「Amazon Go」なのかもしれません。

それでは解説します!

企業としてのAmazonのすごいところは、「改善」に力を入れているところだと言われています。

出荷頻度に合わせて倉庫内の設置場所を日々改善しているのはよく知られた話です。最近はロボットの導入で棚の方が動くようになると、移動距離やロボットの作業効率を重視して、頻度別に置く場所を適宜改善。最も効率の良いオペレーションをどう実現するか、その方法を日々実験しながら追求し続けているといわれています。

この「改善する力」こそが、Amazonを世界一の小売店にしたのかもしれません。

そして、こうした実験を重ねながら改善していくやり方は、日本の製造業、特にトヨタ自動車のお家芸でした。トヨタでは創業時から「改善」を行動規範に盛り込み、現場レベルでも常に生産性を上げるための様々な改善に取り組み続けています。その結果、日本が誇る「世界のトヨタ」の地位を築いたわけですね。

先の「Amazon Go」においても、新しいセンサーの開発やその設置場所、量などは日々改善されているそうです。「お店を回しながら細かいところを調整し、ベストな方法を探っていく」という方法が日々実践されているわけですね。

日本にある無人店舗なんかと比べると、その改善のスピードは相当違うわけです。Amazonが成長し続ける理由が、こうしたところからわかりますよね。

「改善」は製造業だけの話ではない!

「Amazon Go」はまだ店舗数も少ないですから、予算を一気に投入していろいろなことが試せる段階にあるのは間違いなく、改善しやすいのは確かです。

一方、日本のほとんどの企業は「ミスをするのは良くない」という考え方がベースにあります。そのため、現場で失敗する可能性があることについては、たとえそれが改善につながることであっても、取り組まない傾向にあります。既に何千何万とお店があるチェーンではなかなかやり方を変えにくいものですし、逆にあえて変えずに「同じことをやり続ける美学」を貫く場合もあるのかもしれません。

しかし、実際にトヨタ自動車はいうまでもなく、例えばセブンイレブンも、改善するための実験スピードの速さが成長の原動力になったのは間違いありません。同じ状況をただ続けるのではなく、日々どこをどう改善すればもっと良くなるのかを現場も一緒になって考え続けたからこそ、今があるわけです。

私が考えるに、多くの企業は「改善」というのは製造業だけの話だと思っているのではないでしょうか。いい事例があったとしても、それをサービス業や飲食業がマネをするというケースは驚くほど少ないからです。
セブンイレブンがPOSのデータを使って売れ筋や死に筋の商品を管理しているという話も、小売業の中ではマネされても、他の業界で導入しているケースはほとんど見受けられません。

そういう意味では、思い切った改善へのチャレンジこそが、今の時代における「成長企業への第一歩」と言えるかもしれませんね。

あなたの事業を大きくするための必要な「改善」は何?

「改善」のためにとはいえ、事業の中でいろんな取り組みを試すことは、確かに勇気がいることです。しかし、改善とは「より良くすること」ですから、事業を大きくしていくためには必要なチャレンジだと考えることもできます。

ぜひ皆さんも、自身の事業において改善というキーワードで色々な取り組みを考えてみてください。その一歩が、あなたの事業を大きくすることにつながるはずです。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは、「トヨタ自動車」でした。ちなみに、Amazonという会社は秘密主義で知られています。だからこそ、コンサルタントとしては色々と想像ができて非常に興味深い対象でもあります。皆さんに取っても、その動向や取り組みをウォッチするのは非常に勉強になるかもしれませんね。


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経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズアタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)。

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