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個人事業主がふるさと納税をするメリットと控除限度額、計算方法について

個人事業主がふるさと納税をするメリットと控除限度額、計算方法について

ふるさと納税は、地方自治体へ寄付をすることで、その地域の創生に参加できる制度です。

寄付をする自治体は、生まれ育ったふるさとや応援したい地方など、住んでいない土地でも自分で自由に選ぶことができます。

寄付をしたお礼として、その土地の特産品や名産品がもらえることも、ふるさと納税の人気の理由の1つです。

ふるさと納税はサラリーマンだけでなく、個人事業主でも行うことができ、個人事業主にも納税をするメリットがあります。

個人事業主が行うふるさと納税の納税限度額や計算方法について考えてみましょう。

ふるさと納税とは

人はそれぞれ生まれたふるさとである自治体があり、その自治体で医療や教育などのさまざまなサービスを受けて育ちます。

成長して、例えば進学や就職などで生活の場が都会に移ってしまうと、住民税などの税金は都会の自治体に納めることになるでしょう。

その結果、生活の場である都会の自治体に税金は納めているものの、自分が生まれ育った故郷の自治体に税金を納めることはできないことになります。

そこで、都会に住んでいる方も自分が育ったふるさとに、少しでも納税できる制度があったらふるさとが活性化されて良いのではないかという思いから、2008年にふるさと納税制度が始まりました。

ふるさと納税には“納税”という言葉がついていますが、実際には税金を納めるのではなく都道府県や市区町村への寄附をします。

ふるさと納税制度では、寄附した金額の一部を、自分が住んでいる自治体に納める税金から差し引くことができるため、住民税などの納税額を抑えることが可能です。

ふるさと納税のメリット

そんなふるさと納税ですが、実際に寄附をすることで、下記のようなメリットがあります。

【ふるさと納税をするメリット】
1.納税額を抑えられる
2.納めた寄附金の使い道を選ぶことができる
3.返礼品がもらえる

具体的に見ていきましょう。

納税額を抑えられる

ふるさと納税は、各自治体に寄附をした場合に確定申告を行うと、寄附した金額の一部が所得税や住民税から控除されます。

つまり納税額を抑えられるということが一番のメリットです。

ふるさと納税では原則として、寄付した額のうち2,000円の自己負担額を除いた寄付額が税金から控除される額となります。

控除額は、収入や家族構成等に応じて一定の上限があります。

納めた寄附金の使い道を選ぶことができる

さらに、納めた寄付金をどのように使ってほしいか、その使い道を選ぶことができます。

例えば、高齢者や子どものための施設の費用に、仕事を増やすために、などです。

私たちが納めている所得税や住民税は納めた税金の使い道を選ぶことはできませんので、使い道を選べるというのもメリットの1つでしょう。

返礼品がもらえる

そして、もう1つのメリットは、ふるさとの特産品や特典がもらえることです。

寄付した額にもよりますが、各自治体からお礼の品を受け取れます。

お礼品は、米やお肉、魚や野菜などの食料品から、日本酒やワインなどの飲料、器や衣類など、幅広いジャンルから選ぶことができます。

個人事業主と給与所得者ではふるさと納税の控除限度額が異なる!

同じ収入額である個人事業主と給与所得者では、ふるさと納税の控除限度額が異なってきます。

それは所得の考え方が異なるためです。

給与所得者は、収入に応じて給与所得控除を控除して所得額を算出しますが、個人事業主は収入から経費を引いて所得額を算出します。

同じ収入額でも、所得が異なると、納める税金が異なるため、納税の控除限度額についても異なることになるのです。

なお、ふるさと納税は税金の控除であるため、限度額を超えて納めた税金以上の納税を行っても、それは単なる寄付となってしまい、税金が戻ってくることはありません。

個人事業主はワンストップ特例制度が利用できない

ワンストップ特例制度とはふるさと納税をより手軽にするための制度です。本来確定申告を行う必要のない給与所得者の場合は、ワンストップ特例制度を利用することで、控除の手続きが簡略化できます。

しかし個人事業主は毎年確定申告を行うため、ワンストップ特例制度の利用はできず、毎年の確定申告の中でふるさとの納税の申告を行います。

給与所得者がワンストップ特例制度を利用すると、ふるさと納税を行ったことによる税金の控除は住民税から行われます。

例えば1万円のふるさと納税を行ったら、2,000円は自己負担となりますが、残りの8,000円は翌年の住民税から控除されます。

確定申告をする個人事業主は、ふるさと納税による税金の控除は所得税と住民税の双方からの控除となります。

同じように1万円のふるさと納税を行い、確定申告する場合は、2,000円の自己負担は同じですが、所得税の税率が10%の場合は所得税から800円、住民税から7,200円の控除となります。

この点も、個人事業主と給与所得者でのふるさと納税のできる限度額の違いに影響します。

個人事業主のふるさと納税上限額

個人事業主がふるさと納税を行う際の上限額はいくらくらいなのでしょうか。

大まかには、住民税の納付に使用する「住民税決定通知書」という書類に記載されている「所得割額」の2割程度とされています。

正確な控除額を知るには、ふるさと納税サイトなどが公開している控除上限額シュミレーターを活用するとよいでしょう。

寄付金控除の計算方法

ふるさと納税は寄附金控除の一種ですので、以下に記載する寄付金控除の計算方法を知っておく必要があります。

寄附金控除額 = 次のイ・ロのいずれか低い金額 ー 2,000円
イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額

所得税と住民税からの控除額は以下となります。

(1) 所得税からの控除

a.所得税からの控除 = (ふるさと納税をした額-2,000円)×「所得税の税率」
※控除の対象となるふるさと納税の額は、総所得金額等の40%が上限

(2)住民税からの控除には「基本分」と「特例分」があります。

b.住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10%
※控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限

c.住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
※住民税の所得割額の2割を超えない場合

上記の3つの控除を合計した額が、ふるさと納税に関する寄付金控除の控除額となります。

確定申告時にふるさと納税を控除する手順

確定申告の際は、先述した「寄付金控除の計算方法」で算出した金額を、「寄付金控除」の欄に記入します。また、確定申告書と一緒に「寄付金受領証明書」を提出する必要があります。

「寄付金受領証明書」とは、寄付先の自治体が発行する寄付をしたことの証明書です。自治体によりますが、通常は寄付から2ヵ月ほどで自宅に郵送されます。その年に寄付をしたすべての自治体からの「寄付金受領証明書」を添付するようにしてください。

ふるさと納税の寄付金が実際に控除されているか確認する方法

確定申告でふるさと納税の控除を申請した場合は、先述の通り所得税と住民税の2つから控除されます。

所得税の控除は、確定申告の約2ヶ月後に支払われる還付金に含まれています。

住民税の控除は、確定申告を行った年の5月〜6月に届けられる「税額通知書」を見ます。「税額通知書」の「寄付金控除」、または「税額控除額」の欄を確認しましょう。

ふるさと納税を上手く活用しよう

ふるさと納税は寄付金控除の制度を活用した地域創生の制度です。

サラリーマンでも個人事業主でもふるさと納税をすることができますので、ふるさと納税により納める税金を抑えられるというメリットがあります。

個人事業主は業種や仕事内容にもよりますが、所得が毎年一定額であるとは限りません。

そのため、ふるさと納税を行う際には限度額を確認するということが大切になります。

PROFILE

ファイナンシャルプランナー 杉浦詔子

「働く人たちの夢をかたちにする」会社員とそのご家族等へのキャリアプラン(生活)とライフプラン(家計)の相談と講義、執筆を行っている。また、女性のキャリアと家族や恋愛等コミュニケーションに関する相談、FP等資格取得支援にも力を入れている。

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