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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第20回・頼りになる店員

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

最近、回転寿司チェーン「はま寿司」が新しく雇った店員の評判がすごく良いと話題になっています。店主に聞くと、混雑時でもスムーズに客対応ができるということで、非常に助かっているとのこと。あまりの評判の良さにより、全店で雇うことになったといいますが、さて、「はま寿司」は一体誰を雇ったのでしょうか?

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

回転寿司業界では、4強と言われる「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」「かっぱ寿司」がしのぎを削っています。食べ放題サービスをスタートさせた、なんていうニュースが話題になったのも記憶に新しいところです。

そんな回転寿司業界の中で、新たな動きがあります。といっても、新しいサービスやメニューの話ではありません。そこで活躍している「スタッフ」の話です。

今や「スシロー」と並び、多くの来店客で溢れている「はま寿司」が最近雇った店員が、すごく評判が良いともっぱらの噂です。気になって私もお店を利用したのですが、彼のおかげで、受付で長い時間待たされることなくスムーズに着席し食事をすることができました。

それでは解説します!

人気の「はま寿司」では、予約して行ったとしても、お店が忙しすぎるあまりに店員がなかなか客対応できていないケースがあったようです。そのせいで、予約の時間になってもしばらくは受付で待たされる、なんてことも少なくなかったといいます。

しかし、最近新たに雇い入れたスタッフは非常に優秀で、どんな時でもてきぱきと客対応し、混雑時であってもスムーズにお客を席まで案内しているといいます。

その店員とは、「ロボットのPepper」です。

予約の時間に自分の番号を告げると、「ご来店ありがとうございました、1番のテーブルに行ってください」などと対応してくれます。「今の受付は何番ですか?」と聞けば、即座にあと何組で自分の番号になるかを教えてくれたりするわけです。おかげで、従来のスタッフは受付の仕事に割く時間が減り、他の業務に専念できます。

Pepperはロボットですが、足がないので大して動けません。手はありますが何かを持てるわけでもなく、物を運んでくれるわけでもありません。ロボットとしてはプリミティブなものかと思いきや、実は「しゃべれる人工知能」なんです。そう考えれば、言葉を使って頭で処理していくような仕事は、基本的にPepperに任せることができるというわけです。

色々考えられる、Pepperの使い方

現状では、小売業も含め、Pepperを雇い入れているところはまだそれほど多くありません。「はま寿司」のようなお店は少数派ですが、今後はこうしたお店・企業は間違いなく増えるでしょう。せっかくなのでどんな使い方ができそうか、考えてみたいと思います。

真っ先に浮かぶのは、最近多くなってきましたが、企業の受付です。私はオスカープロモーションに所属しているのですが、その受付にもPepperがいて、多くの来客をてきぱきとさばいています。

人が受付対応をする場合、名前を聞いたら訪問先に電話をして取り次ぎ、場所を案内してくれるわけですが、どうしてもそれなりの時間を要します。しかしPepperなら訪問客が名乗った瞬間にメールなどを飛ばして来客があったことを連絡してくれるので、対応がものすごく早いのです。

他にも、たとえば2020年に向けて外国人訪日客が増えると予測されますが、彼らに対するボランティアスタッフとしての活用もできそうです。いろいろな国の言語をインストールしておけば、相手に合わせて使い分けることが可能でしょう。現在の性能でもそうした使用は十分可能なのかもしれませんが、今後さらに開発が進めば、街中でかなりの戦力になりそうです。

もう1つ期待できそうなのは、これは近未来の話になりそうですが、介護の現場です。既に実用化されている「介護用ロボット」と同様のことがPepperにできるかというと正直厳しいとは思いますが、「話し相手」なら十分に可能でしょう。話し相手を求めている高齢者は多いですし、ヘルパーさんの仕事の多くの時間もそこに費やされているといいます。

もしPepperが高齢者ひとりに1台いれば、ヘルパーさんは介助の仕事に専念できるようになりますし、Pepperとの分業で介護士が同時に10人くらいの高齢者の相手をすることだってできそうです。そしてその方が介護の現場の満足度は上がるかもしれませんね。

アルバイト・パートを雇う感覚で、ロボットを導入する時代が来る!?

ロボットとしては一見不完全に見えるPepperですが、人工知能だけで考えたら、既に性能がいいうえに、今後も性能はどんどん上がっていくのは間違いありません。

調べてみると、本体価格と基本プラン、保険料などをあわせて、月々1万5600円でPepper君を一台導入することができるようです(2017年12月現在)。毎月1万5600円払ってアルバイトを雇うのと同じわけですから、安価な労働力として今後期待が高まるかもしれません。

それだけでなく、他店との差別化を図ったり、お客の関心を集めるといった意味でも、導入するお店は今後も増えるはずです。ぜひ、あなたも自分の仕事でPepper君の導入を検討してみてはいかがでしょうか。値段を考えても、使い方次第で独立開業しようという人にとっても戦力となるかもしれませんよ。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「Pepper(ロボット)」でした。現在はどのPepperも同じ声ですが、そのうち数が増えてきたら、声や話し方が違うなどの個性を持つ個体も出てくるかもしれませんね。それはそれで楽しそうです。


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プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズアタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』 (講談社+α新書)。

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現在、労働基準監督署では企業に対し、長時間労働を是正するための監督指導を強化しており、指導に従わない場合は労働基準法違反となって罰則が科せられます。

では、労働基準法とはどんな法律なのでしょうか?

労働基準法とは

労働基準法は、労働者における労働条件の最低基準を定めた法律で、1947年に制定されました。

労働条件の内容は、労働時間・賃金・休日・安全と衛生など多岐にわたりますが、労働時間を例にとると原則は週40時間となります。

労働者保護の観点から労働基準法を下回る労働条件は無効となり、労働基準法の条件が適用となります。

ちなみに、労働基準法9条による"労働者"は、どのような人があてはまるかというと、"職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者"を指します。

簡単に言い換えると"会社に雇われて給料をもらう者"となります。

個人事業主に労働基準法は適用される?

では、個人事業主は労働者にあたるのでしょうか?

個人事業主の場合は、従業員としてではなく業務委託契約を締結した上で仕事を受け、その対価は賃金ではなく報酬として支払われます。従って、労働者ではないので労働基準法の適用はありません。

しかし、実態が労働者派遣であるにも関わらず、形式として業務委託契約を締結している場合も見受けられます。

これを"偽装請負"と呼びます。

労働者派遣と業務委託の区別は、注文主と受託会社の労働者との間に指揮命令関係が生じているかどうかによって判断されます。

具体的な事例がないと分かりにくいと思いますので、判断の基準として1つの目安となる判例をご紹介します。

最高裁で適用されると判例が出た。INAXメンテナンス事件

住宅設備機器の修理補修会社(以下、A社)と、A社と業務委託契約を締結して修理業務に従事するカスタマーエンジニア(以下、CE)の労働組合(以下、B)との間の事件です。

BがA社に団体交渉を申し入れたところ、A社は「CEは個人事業主であり、労組法上の労働者ではない」との理由で拒否。

これに対し、Bは団体交渉を拒否することは不当労働行為にあたるとしました。

この件に関して最高裁判所は以下の理由により、CEは労働組合法上の労働者であるとの見解を出しました。
(なお、労働基準法でいう“労働者”と、労働組合法でいう“労働者”はほとんど同じ意味だと解釈して良いでしょう。)

(1) A社が行う住宅設備機器の修理補修等業務の大部分は,能力,実績,経験等を基準に級を毎年定める制度等の下で管理され,国の担当地域に配置されたCEの業務日及び休日はA社が指定していた。

(2) 業務委託契約の内容はA社が一方的に定めた「業務委託に関する覚書」により締結されており,その内容についてCE側で変更する余地はなかった。

(3) CEの報酬は,A社による個別の業務委託に応じて修理補修等を行った場合に,A社があらかじめ決定した顧客等に対する請求金額にA社がCEにつき決定した級ごとの一定率を乗じ,これに時間外手当等に相当する金額を加算する方法で支払われていた。

(4) CEは,A社から修理補修等の依頼を受けた場合,業務を直ちに遂行するものとされ,承諾拒否をする割合は僅かであった。また、業務委託契約の存続期間は1年間でA社に異議があれば更新されないものとされていた。

(5) CEは,A社が指定した担当地域内においてその依頼に係る顧客先で修理補修等の業務を行い,原則として業務日の午前8時半から午後7時までA社から発注連絡を受け,業務終了時に報告書をA社に送付する等,作業手順等が記載された各種マニュアルに基づく業務の遂行を求められていた。また業務の際には、A社の制服を着用し名刺を携行していた。

出典:裁判所「最高裁判所判例集」

上記の項目をまとめると、CEは、A社の指定する業務遂行方法に従い、その指揮監督の下で労務の提供を行っています。

それに加えて、その業務についての場所や就業時間等、一定の拘束を受けていたことになります。

この場合、CEはA社の従業員であるとされ、当然、労働基準法の適用を受けます。

個人事業主の場合、仕事を依頼した企業と業務委託契約を締結する際には、将来のトラブル防止のためにも、契約書の内容はよく確認しておきましょう。

まとめ

個人事業主は基本的に労働基準法の適用はありません。従って時間無制限で働くことは可能かもしれません。

しかし、働きすぎて身体と心の健康を損ねてしまう場合もあります。

長い期間ベストコンディションで働くためには、労働時間を自分自身でコントロールすることが必要です。

PROFILE

FP・社会保険労務士 木村政美

2004年に、行政書士・社会保険労務士・FP事務所の「きむらオフィス」を開業。2017年より、ダイヤモンドオンラインにてコラム連載を持つ。年金や個人のマネープランの相談・講習、企業向けのメンタルヘルス研修など幅広い分野で活動している。

2018年12月17日

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