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開業準備が思うように進まない辛い時期を乗り越えて 年間密着取材Ⅱ ~橋爪夫妻編 第12回・最終回~

開業準備が思うように進まない辛い時期を乗り越えて 年間密着取材Ⅱ ~橋爪夫妻編 第12回・最終回~

「独立・開業」を目標に実際に起業活動を進めている方の年間密着取材、第2シーズン。開業までのプロセスや想いを中心に、苦労話や失敗談まで、リアルな姿を追いかけるドキュメンタリー。

橋爪夫妻プロフィール
ご主人さまは、山梨県出身の33歳。東京の大学を卒業後、都内の新聞社に就職。その後、保育園の管理事務職に就く。体調を崩した祖父を想い山梨県へUターンするも、勤めていた保育園から、新規園の立ち上げスタッフにと声がかかり再度、東京へ。新規園が軌道に乗ったのを見届けたのち退職。2016年に山梨県へ移住し地元企業に勤めるが17年3月末に退職し、現在は開業準備に専念。奥さまは神奈川県出身の44歳。大学卒業後は、大手学習塾、塾経営など教育業界や企業に勤務し、保育園管理事務職に。現在は長野県内の教育機関で働く。山梨県産のフルーツを用いたゼリーを主力商品としたショップの開業を予定している。賃貸の店舗物件を探していたものの、希望に合うものがなかったため、土地を購入することに。現在は土地購入の契約準備を進めているところ。

――購入を決めた店舗用物件の契約状況は、いかがでしょうか。

契約の一歩手前の段階です。購入予定の土地が市の条例地域に該当するため、まちづくり条例や景観条例などの条件を満たすかどうかを確認する必要があるんです。融資の件も含めて銀行や不動産屋とひとつひとつ確認しながら進めているので、契約まで予想以上に時間がかかっていますね。
また、条例には建物の基礎に関しての規定があるので、当初の予算より費用も膨らんでいますね。

fukidashi_men

――購入する土地が決まったあとも大変そうですね。お2人のように開業を検討している読者、特に地方で開業を検討している方に対して、準備段階で大事にすべきポイントなどアドバイスをお願いします。

アドバイスなんておこがましいですが、やはり開業する気持ちを強く持つことですね。実際に開業準備をしてみると、上手くいかないことやしんどいことも多々あります。そういう時は「開業後の良いイメージ」を描くことをオススメします。そうすることで自分たちは楽しく準備ができましたし、試練にぶち当たっても乗り越えられました。

地方で開業する際は「地方には地方の良さがある」と強く思うこと。業種に限らず、地方ならではの良さを生かした経営をすれば良いのだと思います。

大切なのは、現実を見ながら理想を追い求めることです。難しいバランスですが、現実を見過ぎると理想がなくなり、理想ばかり追い求めると現実に即さない計画になってしまいます。理想を現実的に達成可能な計画に落とし込み、着実に行動していけば、きっと実現できるはずです。

fukidashi_men

――ありがとうございます。開業準備は大変なことが多かったようですが、逆に想像以上にスムーズに進んだことはありますか?

想像以上にスムーズなものはありませんでしたね。もしスムーズに進みそうな事があっても、油断はせずにじっくりと考えて行動しています。のちのち問題が発生してしまう方が、時間が取られるので、慎重にすすめるよう心がけています。

fukidashi_men

――ご自身で建築予定というログハウスの店舗ですが、ログハウスキットの発注状況はいかがですか? 建設予定時期も決まっていたら教えてください。

発注はまだですが、ログハウス業者さんへ見積もりや建設について相談に行った際、在庫の確認をしました。

建設時期は土地の契約が済み、市に建築届出書を提出して認可が下りれば具体的に決まります。なので、今の段階では未定です。

fukidashi_men

――現在、ほかに進めている開業準備には何がありますか?

契約準備と並行して、パッケージ業者と連絡を取りました。あとは、ホームページやリーフレットなど、デザインの構想を練っています。

お店のオープンも無理なスケジュールを組まないように、2018年3月オープンではなく4月中へと切り替えました。4月オープンに向けて11月中に建設の届出書を提出し、12月中に許可が下りたらログハウスのキットを購入。基礎工事や浄化槽の設置を業者へ依頼し、1月下旬を目途にログハウスの建築に取りかかります。ログハウスが完成したら、建築確認と保健所への申請。その間にホームページやロゴマークのデザイン制作の細かい打ち合わせなどを行う予定です。

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――具体的かつ現実に即したスケジューリングですね! ではこの1年の開業準備を振り返った感想を頂けますか?

あっという間の一年でした。まさかこんなにお店の場所を決めるのに時間がかかるとは思いもしませんでしたね。場所を探すだけで1年近くかかってしまい、開業予定日を何度変更したものか…(苦笑)。

それでも、準備を進める中で出会った、たくさんの方が応援してくださり、本当に励まされました。有難いご意見も多数いただき、必ず開業するぞ! という気持ちもより一層強くなりました。何より一番近くで応援してくれている妻に感謝していますね。

fukidashi_men

――この1年間で一番辛かったこと、大変だったことはどのようなものですか?

先ほどお話した通り、開業場所の目途がなかなか立たなかったことですね。商品開発など他の準備は並行してできたものの、理想の場所になかなか出合えず時間ばかりが過ぎて行く…。焦る気持ちが大きくなり、精神的に一番辛い時期でしたね。

けれど、妥協せず、周囲にご協力いただきながら地道に探し続けたことで、納得のいく土地を見つけることができました。

fukidashi_men

――最後に、一番嬉しかったこと、楽しめたエピソードをお願いします。

たくさんの知り合い、友人、家族が応援してくれたことが何より嬉しかったですね。改めて自分は人に恵まれているなと思いました。

楽しめたことは、妻とお店や商品のイメージを膨らませていく作業ですね。ワクワクしながら2人で話し合うことが、準備を進める原動力にもなりました。

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今回の取材を終えて

理想と現実、大胆さと慎重さ。相反する要素ですが、そのバランス感覚こそ橋爪夫妻の強みだなと感じました。開業準備は当初の想定より時間がかかったり、費用がかさんだりと、思わぬトラブルが発生する可能性もあります。これから開業準備に取り掛かる人は、まずは余裕を持ったスケジュールを組むこと。そして、進捗が思わしくない時はお2人のように「開業後の良いイメージ」を強く思い描きながら、現実的に達成可能な計画を何度も練り直すこと。この2点を意識してみると良いのだと改めて思いました。

「-Season2-長期密着取材! 独立開業への道365日」シリーズ
次回の更新は、2017年12月1日(金)。
取材開始4カ月で塾を開業した山本さんの開業への道をまとめた総集編の予定。
年間取材開始当初は開業準備中だった山本さんが起業し黒字化するまでの道のりをご紹介します!

更新日:2017/11/24
文:篠原舞 撮影:佐藤なかや

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