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法人税等調整額っていったい何?何が目的なの?

法人税等調整額っていったい何?何が目的なの?

上場をしているような大企業の決算書をみていると、最後の方に「法人税等調整額」という項目が掲載されています。

この法人税等調整額という項目は、一体どんな目的で書かれている項目なのでしょうか。

今回は税理士である筆者が、企業会計と税務会計に関する大枠の仕組みを説明しながら、法人税等調整額の内容を解説していきます。

法人税等調整額の前に会計のズレを知る

企業活動を通じて利益が獲得された場合、その利益に対して法人税や住民税、事業税等といった税金が課されます。この課される割合を実効税率と呼びます。今回のコラムでは細かい説明を省きますが、現在の日本において、この実効税率は概ね30%くらいに設定されています。

それではここで、具体的な税金計算をしてみます。

ある企業において、1年間で100億円の利益が計上されました。実効税率を30%だとすれば、課税額は30億円のはずです。
ところが実際に税金の計算をしてみると、なぜか納税額が42億円になってしまいました。
利益と実効税率から計算した税額と12億円もの差が生じています。
どうしてこのようなことが起こってしまうのでしょうか。

企業会計と税務会計の違い

ここで理解をしなければならないのが、企業会計と税務会計の違いです。
実は「会社の決算書を作成するための企業会計」と「税金の申告書を作成するための税務会計」では、資産、負債、収益、費用、資本といった項目の認識について、色々なズレがあるのです。
このズレは様々なものがあるのですが、今回は2つ、具体的な内容を取り上げてみます。

固定資産の耐用年数に関する認識が異なっている

企業会計においては、その固定資産が何年使用できるものなのかについて、企業が自分で見積もって毎年の経費計上を行います。

例えば、200億円で購入した機械装置が4年間使用できると見積もった場合、当期は50億円を経費として計上します(経費計上の計算式にはいろいろと種類がありますが、ここでは一番簡単な方法を採用しているとします)。

一方、税務会計では固定資産の種類ごとに「◯◯年で経費にしなさい」というルールが定められています。この年数を法定耐用年数と言います。
税務上、上記の機械装置について10年間使用できると定められている場合、一年当たりでの経費額は20億円となります。
つまり、企業会計では50億円と計算された部分が、税務会計では20億円しか経費にできませんので、差額が30億円生じることになります。

時価会計が採用されない

企業会計の場合、保有している資産の価値が大きく減少した場合にはその分だけ経費を計上することが求められています。以前に15億円で購入した土地が時価5億円まで下落しているとしたら、差額の10億円はいわゆる含み損の状態ですので、その分だけ評価損を計上する必要があるのです。

一方、税務会計では原則的には時価会計を認めていません。15億円で購入した土地は、その企業が保有している限り15億円のままでいることが求められます。従って、企業会計で計上した10億円の評価損は認められないのです。

先程の例では、企業会計では100億円の利益が計上されていました。
しかし、税務上の利益では固定資産に関する経費で30億円、土地の評価損で10億円分が経費として認められていません。つまり税務上の利益は140億円なのです。
140億円に実効税率の30%を乗じると、税額は42億円を計算されます。

このように、企業会計と税務会計では会計科目の認識にズレが生じます。そのズレについて企業会計上の決算書に反映をさせる目的で導入されたのが法人税等調整額です。

なお法人税の区分や税率については、国税庁のページでも確認できます。

ズレを調整するのが法人税等調整額

先程の固定資産と土地に関するズレですが、いつかは解消されます。固定資産も全て使い切れば200億円の経費が計上されますし、土地についても実際に売却があれば10億円の損失が計上されます。

法人税等調整額は繰延税金資産を計上するため

このように、いつかの時点で解消されるズレのことを一時差異と呼びます。

そして企業会計側の立場からすると、今回納税した42億円のうち12億円については前払いをしたような意味を持ちます。

「企業会計的には100億円の利益だった。それに対して30億円の税金を納めれば良いはずだった。しかし税務上は140億円の利益と計算され、42億円の税金を納めた。12億円は過大な納税だが、このズレは一時差異なので、時間が経過すれば解消される。なので、12億円分は将来支払うべき税金を前払いしたようなものだ。」

このような考え方を基に、12億円を繰延税金資産という項目で計上します。
法人税等調整額を計上している企業の貸借対照表をみると、資産項目に繰延税金資産が計上されているはずです。この繰延税金資産を計上するための相手科目が法人税等調整額なのです。

法人税等調整額は、一時差異の金額に実効税率を乗じて求めます。今回の例でいえば一時差異が40億円、実効税率が30%ですので12億円と計算されます。
このときの法人税等調整額は税金に対するマイナス項目、つまり収益と同じような意味を持ちます。

ちなみに、日本ではあまり例がありませんが繰延税金負債という項目もあります。こちらは逆に「本来支払うべき税金が将来に引き伸ばされた」ときに使用する項目です。
この場合の法人税等調整額は、企業会計的には計上が不足している税金を補足するための経費項目のような意味をもちます。

法人税等調整額は、上場しているような大企業においては「適切な業績利益の開示」をするために必要な項目です。
ただし、数多くの中小法人にとってはそれほど重要性が高い項目ではなく、実際にこの項目を使用している法人は非常に限定されています。

【仕訳例】(法人税法上の特別償却限度額は1,000、法定実効税率は30%とします。)
法人税等調整額 300 / 繰延税金負債  300
繰越利益剰余金 700 / 特別償却準備金 700
参考:国税庁国税庁

まとめ:法人税等調整額は会計のズレを適正化するもの

企業会計と税務会計では会計科目の認識にズレがあり、その結果、企業会計が考える税額と税務会計が考える税額にはズレが生じます。そのズレを適正化し、企業の本来あるべき業績利益を計算するための項目が法人税等調整額です。
調整の結果生じた繰延税金資産は「将来支払うべき税額の前払い分」という性質を持ち、大企業ではよく使われる項目ですが、中小法人での導入は非常に限定されています。

PROFILE

税理士 高橋 昌也

2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。
その後、ファイナンシャルプランナー資格取得。
商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。

[保有資格等]
AFP、税理士、商工会議所認定ビジネス法務エキスパート

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