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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第12回・AIでなくなる仕事、なくならない仕事

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第12回・AIでなくなる仕事、なくならない仕事

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

Q.AI(人工知能)によって人間の仕事がなくなるのではないかということが議論されています。中でも現実味を帯びているのが、自動運転技術の向上により、タクシーや長距離トラックなどドライバーの仕事がなくなってしまうという話です。実は、それに関連して業界ごとなくなってしまうと予測されている仕事があるのですが、さて、それは一体どんな仕事でしょうか?

自動運転車が普及すると、何かが減ると予測できます。それが何なのかを考えてみることで、答えに近づけるはずです。

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

AIが進化することで、人間がしている仕事のいくつかは、AIに取って代わられるといわれています。「なくなる仕事」「なくならない仕事」について議論されることも多く、「自分の仕事は大丈夫だろうか?」と考えたことがある人もいるかもしれません。

はっきり言えることは、「なくなる仕事は確実にある」ということ。そして「全部の仕事がなくなるわけではない」ということでしょう。大事なのは、その「見極め」です。「AIができる仕事だからなくなる」といった単純な発想だけではなく、何がどうなるから取って代わられるのかを、もう一歩進んでよく考えることが大事です。

そして、このような時代の変わり目には、間違いなく新しいビジネスチャンスも生まれるのだということを忘れないでください。

それでは解説します!

ニュースなどで見た方もいるかもしれませんが、AIによる自動運転技術は着々と進化しています。運転そのものを人間がしなくなる未来は、間違いなく来るでしょう。タクシードライバーや長距離トラックドライバーなどの仕事は、このままだとAIに取って代わられるのは間違いなく、人がやる仕事ではなくなっていくはずです。

さてそうなると、どんな影響が起こると考えられるでしょうか。自動運転の普及によって困るのは誰なのかというのが、今回のクイズの答えです。

それはずばり、「自動車保険業界」です。

自動運転になっても、雷が落ちるとか石ころが飛んでくるといった予期せぬ事故は起こり得るでしょうが、今に比べて自動車事故そのものは99%減るといわれています。

そうなると、困るのが自動車保険業界です。事故が起こらなくなれば、保険に入る必要もなくなりますから、商売が成り立たないというわけです。

AIにとって変わられる仕事の代表として扱われるのが「ドライバーの仕事」ですが、その周辺にも影響を受ける仕事はあるというわけですね。「見極め方」を探るヒントとして、ぜひ頭に入れておいてください。

自動運転が広がると、世の中はどんなふうに変わるのか?

自動運転車が普及すると、今ある自動車から買い替える必要が出てきます。では、今後は自動車の売上は増えるでしょうか? それとも減るでしょうか? これについては、おそらく「減るだろう」と言われています。

現在の国内の自動車保有台数は約8000万台。しかし、実際に道を走っている台数はもっと少なくて、ほとんどの自動車が駐車場に置いてあります。今後は、そういった車が「カーシェア」に切り替わっていくのではないかと考えられるからです。

実際、この「カーシェア」は、自動運転車が普及することで大きくチャンスを広げるビジネスのひとつとして期待されています。1人1台の車を新たに持つ時代ではなくなり、「1000人で100台の車を持つ方が便利だよね」といった考え方に移行するだろうと言われているからです。

ここから、もう少し想像力を広げていきましょう。

車をみんなで持つという発想が当たり前になれば、自動車の「高級志向」が進むと考えられます。なぜかというと、多少入会金や利用料が高かったとしても、450万円出して1台買うわけではありませんから、トヨタのヴィッツよりはレクサスに乗れる方にお金を投じると思われるからです。

同じ発想から、自動車の高級化だけではなく、大型化も進むかもしれません。

さらには、カーシェアでもいろいろなバリエーションが出てくる可能性もあるでしょう。スポーツカー専門のカーシェア、キャンピングカー専門のカーシェア・・・。いろんな切り口で新しいビジネスが生まれてくるかもしれませんね。

時代の変わり目だからこそ、たくさんのチャンスも生まれる!

たしかに、AIによって自動車ドライバーの仕事はなくなるかもしれません。しかし、同じ自動車に着目してみても、なくなる仕事、チャンスが広がる仕事など、いろいろな可能性があることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

今後、様々な業界でAIによってなくなるビジネス、斜陽化するビジネスは確かに出てくるでしょう。しかし一方で、新しいチャンスも生まれます。全てを一括りで考えず、その仕事を取り巻く市場やビジネスの仕組み、顧客についても考えてみながら、きちんと見極めをしていけば、いろいろなヒントが見つかるはずです。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「自動車保険業界」でした。とはいっても、自動運転車が出始めるのが2025年くらいと言われており、そこから普及して全てが切り替わるのはさらにそこから10年はかかるでしょう。すぐに業界ごとなくなってしまうわけではありませんが、そうした未来を踏まえて考えておく必要があるのは間違いありません。ちなみに、8月18日に発売になったばかりの新書『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社+α新書)にその他いろいろな話をまとめていますので、ご興味のある方はぜひご一読を。


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プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズアタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』 (講談社+α新書)。

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