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1.1兆円の経済支援策が追加!令和4年度第2次補正予算について税理士が解説!

1.1兆円の経済支援策が追加!令和4年度第2次補正予算について税理士が解説!

令和4年11月8日に、令和4年度第2次補正予算案が閣議決定されました。

コロナだけでなく物価高や原油の高騰の影響で経営が苦しい事業者は、追加の経済支援策を待ちわびていたのではないでしょうか。

今回の補正予算は、29兆円

その中で、約1.1兆円程の「中小企業・小規模事業者向けの経済支援策」も明らかとなりました。

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2022/r4_hosei/r4_hosei_point.pdf

「資金繰り支援」や「事業再構築補助金」関連に大きな予算が割かれました。

また「IT導入補助金」「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」等の補助金等の継続支援策が多い印象です。

そこで今回は、フリーランスの方や会社経営者の方が知っておきたい、中小企業・小規模事業者等関連 令和4年度第2次補正予算の内容についてお届けします。

補正予算の全体像を解説!

財務省HP 令和4年度補正予算(第2号)案の概要

補正予算の全体像

まずは補正予算の全体像をざっくりつかんでいきましょう!

今回は総額29兆円の補正予算ですが、5つのカテゴリーに分類され、それぞれの内訳は以下のとおりです。

Ⅰ.物価高騰・賃上げへの取組 78,170億円
Ⅱ.円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化 34,863億円
Ⅲ.「新しい資本主義」の加速 54,956億円
Ⅳ.防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保 75,472億円
Ⅴ.今後への備え 47,400億円

補正予算の中小企業・小規模事業者関連の支援策を解説!

補正予算の中で、中小企業・小規模事業者関連の支援策は主に経済産業省で計上されています。

経済産業省の予算全体は約11兆円です。

1. 資金繰り支援【2,981億円】 ※財務省計上分212億円を含む
2. 価格転嫁対策の更なる強化【4.8億円】
3. 事業再構築補助金【5,800億円】
4. 生産性革命推進事業【2,000億円】※国庫債務負担含め総額4,000億円
5. 円安環境への対応、相談体制強化【196億円+α】
6. 災害からの復旧・復興【209億円】

詳細が気になる方はこちらをチェックしてみましょう。

経済産業省:令和4年度補正予算案のポイント

経済産業省:第2次補正予算 PR資料

中小企業・小規模事業者等関連【1兆1,190億円】

本題である、経済産業省の予算の中の「中小企業・小規模事業者関連」をみていきましょう!

経済産業省:令和4年度補正予算案(中小企業・小規模事業者関連)

<ワンポイント解説>
中小企業・小規模事業者等関連の予算は1兆1190億円と大型です。
「資金繰り支援」&「事業再構築補助金」が大きな割合を占めているのが特長です。

「資金繰り支援策」の詳細解説!

資金繰り支援【2,981億円】

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2022/r4_hosei/r4_hosei_point.pdf

◆コロナ関連融資の借換えによる返済負担軽減に加え、新たな資金需要にも対応するための信用保証制度を措置するとともに、セーフティネット貸付やスーパー低利融資により、新型コロナや物価高騰の影響を受けた事業者等を支援する。

◆認定支援機関による経営改善計画の策定等の支援や、創業時の経営者保証を徴求しない信用保証制度の創設、中小機構の出資機能の強化を図る。

具体的な制度を下記、解説していきます!

※経済産業省パンフレット(令和4年11月)における現在継続中の制度も含めてお伝えします。

①日本政策金融公庫による制度

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r4/r4_shikinguri.pdf

<ワンポイント解説>
いわゆるコロナ融資として目玉であった3年間の利子補給を受けることにより実質無利子となる制度は令和4年9月30日の申込受付をもって終了してしまいました。

しかし、「低利の融資制度(3年間基準金利から0.9%引き下げ)」も現在残ってます!
特長は下記のとおりです。

・元本返済を据え置く「据置期間」  最大5年
・「運転資金・設備資金」の貸付期間 最長20年

その他「セーフティ貸付」として低利の融資制度があります、
原油高等の影響で利益が減少した者が利用できます。

②民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r4/r4_shikinguri.pdf

<ワンポイント解説>
コロナで借入を行ったが、据え置き期間が終わり、元本の返済が苦しい事業者も多くいると思います。

保証料が0.2%と通常より低く、融資上限1億円となる保証制度が創設される予定です。
※開始時期は検討中

民間ゼロゼロ融資の返済を開始する者の返済開始時期は2023年7月~2024年4月に集中するとされており、借換を希望する事業者も増えることでしょう。

制度の特長として、単に貸りて終わりの制度ではなく下記が条件となる(予定)です。

・金融機関による伴走支援
・向上目標を設定した経営行動計画書の作成

詳細を知りたい方はこちら!
中小企業庁金融課2022年11月1日:事務局説明資料

「各種補助金等の支援策」を詳しく解説!

事業再構築補助金【5,800億円】


https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r4/r4_jigyo_saikoutiku.pdf

<補助金の紹介>
長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加え、物価高騰等により、事業環境が厳しさを増す中、中小企業等が行う、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業への大胆な事業再構築の取組を支援することで、中小企業等の付加価値額向上や賃上げにつなげるとともに、日本経済の構造転換を促すことを目的とした補助金。

<追加枠の紹介>
①物価高騰対策・回復再生応援枠の創設
新型コロナの影響に加え、物価高騰等により業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者の事業再構築を引き続き支援するため、補助率を引き上げた特別枠を創設。

②成長枠(旧通常枠)の創設、グリーン成長枠の要件緩和及び上乗せ支援の創設
成長分野に向けた大胆な事業再構築に取り組む事業者に向け、売上高減少要件を撤廃した成長枠を創設。
グリーン成長枠については、要件を緩和した類型(エントリー)を創設し、使い勝手を向上させます。また、これらの枠で申請する事業者の中で、中堅・大企業へ成長する事業者や、大規模な賃金引上げ等を行う事業者に対し、補助金額や補助率を上乗せ。

③産業構造転換枠の創設
国内市場の縮小等の産業構造の変化等により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者に対し、補助率を引き上げる等により、重点的に支援。

④最低賃金枠の継続
最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を引き続き支援。

⑤サプライチェーン強靱化枠の創設
海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う事業者を支援。

<ワンポイント解説>
ポストコロナで新設された「事業再構築補助金」。

だいぶおなじみの補助金になってきたのではないでしょうか。

コロナ対策だけでなく、物価高高騰対策、賃上げを支援する補助金として、補助額も補助率も大きいのが特徴です。

どんなものに活用できるかイメージをつけたい方は、過去の事例をチェックしてみましょう!

事業再構築補助金公式HP:事業者の採択事例

個人事業主でも活用できますので、検討してみてはいかがでしょうか。

生産性革命推進事業【2,000億円】※国庫債務負担含め総額4,000億円


https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r4/r4_seisansei.pdf

生産性革命推進事業として2,000億円(国庫債務負担含め総額4,000億円)の予算が組まれています。

具体的には下記の4つが該当します。
「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」

これらの補助金は数年前からある人気の補助金です。

補助金の概要を紹介していきます。

<補助金の紹介>
①ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)

革新的製品・サービスの開発又は生産プロセス等の改善に必要な設備投資等を支援。特に、大幅な賃上げに取り組む事業者へのインセンティブを強化するとともに、海外でのブランド確立などの取組への支援を強化します。

②小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)
小規模事業者が自ら経営計画を作成して取り組む販路開拓等を支援。店舗改装、広告掲載、展示会出展費用などが対象となります。

③サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)

中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX、サイバーセキュリティ対策等のためのITツール(ソフトウェア、アプリ、サービス等)の導入を支援。

④事業承継・引継ぎ支援事業(事業承継・引継ぎ補助金)

事業承継・M&A後の新たな取組(設備投資、販路開拓等)、M&A時の専門家活用(仲介・フィナンシャルアドバイザー、デューデリジェンス等)の取組等を支援。

<ワンポイント解説>
「インボイス制度対応」や「賃上げ」等による補助額の上乗せや、新たな枠の増設などが注目です。

「IT導入補助金」は補助下限額が撤廃されたことから、インボイスに対応した会計ソフトや請求書の発行ソフトの導入など、少額の投資でも活用できます!

補助金の活用とともに、インボイス制度への対応、賃上げを検討してみては如何でしょうか。

「円安環境への対応、相談体制強化」支援策の詳細解説!

その他の支援策は、「円安環境への対応」として輸出促進にかかる制度、「インボイス・物価高対応」として相談体制の強化等があります。

<ワンポイント解説>
円安環境への対応として、海外展開を目指す事業者向けに、戦略立案・具体化の伴走型の支援が受けられる制度や、インボイスに対応した商工会等の相談体制が強化されます。

インボイス対応や海外展開を考えている方で何を対応すれば良いか迷っている場合は、まずは相談してみてはいかがでしょうか。

今回のまとめ

中小企業・小規模事業者向けの経済支援策は、「事業再構築補助金」「ものづくり・商業・サービス補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」などの継続支援策が多いことがわかりました。

継続支援策となりますが、新たな申請枠が設けられるなど、対象者が増え、対象額も増加となるチャンスです。

ただ、持続化給付金や事業復活支援金のような「支援金」や「給付金」は今回ありませんでした。

しかし、予備費が4兆円計上されていますので、また追加の支援策がある可能性があります!

具体的な応募開始日時などはまだ未定のものが多いです。

常に最新情報を入手し経済支援策が利用できないか、検討していきましょう!

文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介

<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

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