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【2022年7月版】原油価格・物価高騰に対する経済支援策を、税理士が解説!

【2022年7月版】原油価格・物価高騰に対する経済支援策を、税理士が解説!

令和4年7月に入り、新型コロナウイルスの第7波到来。

コロナの影響もまだまだ続きそうですが、物価高や原油の高騰の影響で経営が苦しい経営者の方やフリーランスの方も多いことでしょう。

前回の記事では「経済政策はポストコロナに対するものから、物価高原油高等への対策に大きな予算がつくなど流れが変わった」とお伝えしました。

新型コロナウイルスに対する経済支援策ばかりが注目されていますが、国や地方自治体でも物価高や原油高の経済支援策を出しています。

そこで今回は、フリーランスの方や会社経営者の方が知っておきたい、令和4年7月時点の物価高や原油高の経済支援策についてお届けします。

国や地方自治体の経済支援策(補助金・助成金関係編)

事業再構築補助金「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」(国)

概要:新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナ時代での経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する補助金。

そして今回「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」が新設されました。

新型コロナの影響を受けつつ、加えてウクライナ情勢の緊迫化等による原油価格・物価高騰等により業況が厳しい中小企業等が行う事業再構築の取組に対し、特別枠の創設や加点措置により重点的支援されます。


https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/saikouchiku_yobihi.pdf

「原油価格高騰等に伴う経営基盤安定化緊急対策事業」(東京都)

概要:原油価格の高騰などが続く中、急激な為替変動などにより、中小企業における経営状況がより一層深刻化しています。業種を問わず、「専門家派遣」や「助成金によりエネルギーコストの削減に向けた取組を支援する緊急対策事業」を実施。

<ワンポイント解説>
「専門家派遣制度」については、こちらの記事も参考にご覧ください。

助成対象は、専門家の助言に基づく省エネルギー化や固定費削減に資する設備等の導入に必要な経費の一部(例)省エネ効率の高い乾燥機、高効率の冷凍庫、高性能なボイラー、エコドライブシステム、トラック用導風板、低燃費タイヤなどとされています。

助成対象経費の5分の4以内と他の補助金や助成金等と比べても高いのが注目です。

令和4年度ものづくり産地持続・強化支援事業(地場産地支援事業〈原油価格・物価高騰等対応型〉)(新潟県)

概要:新型コロナウイルス感染症の長期化及び原油・原材料価格の高騰等、複数の要因が重なる深刻な経済状況下において、産地全体の価格転嫁等を図るため、商工団体等が行う、販路開拓・拡大に資する取組や地場産品の高付加価値化に向けてデジタル手法を導入する取組に対して、その経費の一部を補助されます。

補助対象:
(1)販路開拓
地場産業の中小企業の受注確保や価格転嫁等を図るため、地場産地が一体となって行う展示商談会や見本市出展・開催、市場調査・販売手法の構築など販路促進や新規販路開拓に資する効果的な取組。

《取組事例》
 ・新たな取引開拓・促進を目的として行う展示商談会の開催
 ・リアルとオンラインを併せた国内外展示会への出展
 ・市場調査や販売手法の構築のためのブランディング・コンサル委託

(2)デジタル化
変容したビジネス環境や加速するデジタル化の潮流を踏まえた中で、地場産地の出荷額増加やコスト削減など将来的な高付加価値化に向けて産地のデジタル手法導入に資する取組。

《取組事例》
 ・産地組合運営のECサイトの集客改善に向けたデジタルマーケティング手法導入
 ・県内大学との産学連携による地場産地内企業へのDx導入支援

補助額:
[販路開拓] 3分の2以内 補助限度額は1団体あたり2,666千円以内
[デジタル化]4分の3以内 補助限度額は1団体あたり3,000千円以内

小規模事業者販路開拓応援補助金(福岡県)

コロナ禍における「原油価格・物価高騰」の影響を乗り越えるために、国の小規模事業者持続化補助金<一般型>(第8回公募から第11回公募まで)の採択を受けた小規模事業者が行う販路開拓等の取組の経費の一部を県が上乗せ補助するもの

国の「小規模事業者持続化補助金」概要については下記をご覧ください。

小規模事業者持続化補助金 一般型(国)【補助金】

概要:小規模事業者等が今後複数年にわたり、相次いで直面する制度変更等に対応するために取り組む販路開拓等の取組における経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。

<ワンポイント解説>
本補助金のように、国の補助金受給者が上乗せで支給できる補助金も自治体の支援策として数多くでております。国の補助金を受給した方は、地方自治体で上乗せの支援策がないか要チェックです!

兵庫県中小企業等原油価格・物価高騰対策一時支援金(兵庫県)

概要:原油価格や原材料価格高騰等への対策として、売上の減少した中小法人・個人事業主等の事業継続を支援するための一時支援金事業です。

国や地方治体の経済支援策(緊急融資編)

1.特別相談窓口の設置

日本政策金融公庫等(沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、都道府県商工会連合会、都道府県中小企業団体中央会及びよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構各地域本部及び各地方経済産業局)に「原油価格上昇に関する特別相談窓口」が設置されました。

原油価格上昇の影響により資金繰りに困難を来している中小企業者に対する資金繰りや経営に関する相談を受け付けています。

2.セーフティネット貸付の運用緩和

日本政策金融公庫等が実施するセーフティネット貸付の要件を緩和し、支援対象を原油高等により今後の影響が懸念される事業者にまで拡大します。
元本返済の据置期間について最大3年間取れ、金利0.4%の引下げがある融資です。

<ワンポイント解説>
セーフティーネット貸付とは、社会的、経済的環境の変化などの外的要因により、一時的に売上の減少など業況悪化を来していますが、中期的には、その業績が回復しかつ発展することが見込まれる、中小企業者の経営基盤の強化を支援する融資制度のことでした。

新型コロナウイルスによる売上減少等がある方は、日本政策金融公庫が実施する「新型コロナウイルス感染症特別貸付」について併せて検討すると良いでしょう。

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の場合、実質無利子になる可能性がある等メリットがあります。

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html

3.下請事業者に対する配慮要請

関係事業者団体約1,400団体に対して、原材料・エネルギーコスト増加分の適正な価格転嫁等を要請する経済産業大臣名の文書を発出します。

また、親事業者による一方的な価格設定などの買いたたきや減額など違反行為が認められた場合は、下請代金支払遅延等防止法に基づき、厳正に対処します。

今回のまとめ

国や地方自治体より「補助金・助成金・給付金」という形での経済支援策が数多くでていました。

また、既存の補助金の優先採択や、補助額上乗せといった形の支援策や融資の支援等もでていました。

今回紹介した経済支援策はこちら。

・事業再構築補助金(国)
・「原油価格高騰等に伴う経営基盤安定化緊急対策事業」(東京都)
・令和4年度ものづくり産地持続・強化支援事業(地場産地支援事業〈原油価格・物価高騰等対応型〉)(新潟県)
・小規模事業者販路開拓応援補助金(福岡県)
・兵庫県中小企業等原油価格・物価高騰対策一時支援金(兵庫県)

国の支援策は、経済産業省のホームページにまとまっていますので確認してみましょう。

地方自治体の経済支援策は、今回一例として「東京都」や「新潟県」等を紹介しました。

あなたの該当する地方自治体のホームぺージにより、経済支援策がないか検索してみましょう!

今後の情勢によっても、国や地方自治体で追加予算がでる可能性があります。最新情報をつかみ、活用していきましょう!

文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介

<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

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