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コロナで変わる「令和2年度の確定申告」で抑えるべきポイントを、税理士が徹底解説

コロナで変わる「令和2年度の確定申告」で抑えるべきポイントを、税理士が徹底解説

おそらく世界中の全ての人にとって“怒涛”だった2020年も終わり、2021年が始まりました。

年が明けるとすぐにやってくるのは、確定申告。

2020年は新型コロナウイルスの影響で、給付金・補助金を受け取った方もいらっしゃるかと思います。

国や自治体からのサポートも多かった2020年。その総決算とも言える確定申告では、サポートがあっただけ、いつもの確定申告と違う点がいくつがあります。

今回はフリーランスの方が知っておくべき、令和2年度の確定申告最新情報をお届けします。

確定申告の基礎情報は、まず国税庁のホームページをチェック!

国税庁より確定申告のページが出ています。

パソコンや携帯電話でブックマークしておきましょう。

確定申告特集として作成や情報がそろっていますのでまずは要チェックです。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/hajimete.htm

2021年の確定申告期間は?

【申告所得税及び復興特別所得税(令和2年分)確定申告】

申告期限及び納期限:令和3年3月15日(月)

注1:確定申告の窓口での相談及び申告書の受付は令和3年2月16日(火)からです。
注2:還付申告の受付は、令和3年2月15日(月)以前でも行えます。
税務署の閉庁日(土曜日、日曜日、祝日等)は、税務署では相談及び申告書の受付は行っておりません。

【消費税及び地方消費税】

申告期限及び納期限:令和3年3月31日(水)

※昨年度は申告期限の延長により4月16日までの申告期限となっておりましたが、現時点では今年度の延長はしない方向のようです。
※個別の納期限延長の申請手続きはあります。

申告書や決算書類などの国税の申告・納付の手続きに必要な書類等の作成が遅れ、その期限までに申告・納付等を行うことが困難な場合には、個別の申請による期限延長(個別延長)が認められることとなります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/01.htm

一時の納税に困ったら、納税猶予の制度を活用しよう!

納税について一時に行う(税金を一括に支払う)ことが厳しいという方もいることでしょう。
納税の猶予の制度がありますので、納税を一時に行うことが困難な方は申請をしてみましょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/pdf/0020004-143_01.pdf

持続化給付金は課税対象! 必ず申告しましょう!

コロナ禍の経済支援策で給付金や補助金等を受け取ったフリーランスの方も多いでしょう。
確定申告で課税対象となるものも多くありますので、注意が必要です。(給付金・補助金は申告の際「雑収入」に分類されます。)

■非課税とされるもの

国から国民に一律10万円が給付される「特別定額給付金」

■課税されるもの(一例)

厚労省 雇用調整助成金
小学校休業等対応助成金・支援金
中小企業庁 持続化給付金
中小企業庁 家賃支援給付金
中小企業庁 持続化補助金
文化庁 文化芸術・スポーツ活動の継続支援
東京都 感染拡大防止協力金

e-Taxによる電子申告をしないと、65万円の控除を受けられない?

令和元年度までの確定申告と令和2年度の確定申告での大きな変更点のひとつに、「青色申告控除」の控除額65万円を受けるためには、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存による帳簿の保存等が要件に加わりました。

※「電子帳簿保存による帳簿の保存」による場合は事前に税務署へ申請の提出・承認が必要です。
65万円控除を受けるためには、令和2年9月30日までに承認申請書を提出し同年中に承認を受け、同年12月31日までの間に、仕訳帳及び総勘定元帳の電磁的記録による備え付け及び保存を行わなければなりません。

e-Taxによる電子申告をはじめとした要件を全て満たさないと、65万円の控除は受けられませんので、ご注意ください。

【e-Taxによる電子申告の準備】

こちらも先ほどの国税庁のホームページに手順がわかりやすく書いてあります。
サイト内の「e-Taxの事前準備」を参照ください。
初めて確定申告される方へ:令和2年分 確定申告特集

国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成してe-Taxで送信する場合、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の選択ができます。
事前にご用意いただくものやパソコンの利用環境などがそれぞれの方式で異なりますので、ご注意ください。

「マイナンバー方式」で準備が必要なものは、
①マイナンバーカード
②マイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンやICカードライターとなります。

また、利用にあたっては、マイナンバーカードの以下の情報が必要となります。
・利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)
・署名用電子証明書のパスワード(英数字6文字以上16文字以下)
・券面事項入力補助用のパスワード(数字4桁)

「ID・パスワード方式」はマイナンバーカードがない方や、上記の準備ができない方にはおすすめです。ただし、一度、本人確認のため税務署へ来署する必要があるためひと手間かかってしまいます。

令和2年度分から、基礎控除の金額が38万円から48万円へアップ!

令和元年分以前の基礎控除の金額は一律38万円でした。
※納税者本人の合計所得金額にかかわらず一律

しかし令和2年度以降の基礎控除の金額は、48万円にアップします。

実質フリーランスの方にとっては減税ともいえます!

ただし、合計所得金額が2,400万円を超える方の場合、控除額が段階的に減りますので注意が必要です。
【基礎控除額】

文化芸術関係のイベント中止で寄付金控除が受けられる?

文化芸術イベント等が中止等されてしまった時に、そのチケットの払い戻しを受けないことを選択された方はその金額分を「寄附」と見なし,税優遇(確定申告時に寄附金控除)を受けられる制度が創設されました。

多くのイベントが対象となっており、コンサート等の文化芸術イベントやスポーツの試合など幅広いジャンルが指定を受けています。対象となる方は寄附金控除を忘れずに申告しましょう。

チケットを払い戻さず「寄附」することにより,税優遇を受けられる制度

■対象となるイベント

指定対象となる行事(イベント)は、以下の全ての要件を満たすものとなります。
① 文化芸術又はスポーツに関するものであること
② 令和2年2月1日から令和3年1月31日までに開催された、または開催する予定であったものであること
③ 不特定かつ多数の者を対象とするものであること
④ 日本国内で開催された又は開催する予定であったものであること
⑤ 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、現に
中止等されたものであること
⑥ 中止等の場合には、入場料金・参加料金等の対価の払い戻しを行う規約等があるも
の又は現に払い戻しを行っているものであること

■寄附金控除を受けるための手順

1.主催者が文化庁・スポーツ庁に申請を行い、審査の上、対象イベントに指定
2.参加者は主催者に払い戻しを受けないことを連絡し、主催者から指定行事証明書と払戻請求権放棄証明書を入手する。
3.2つの証明書を添付して確定申告を行う→寄付金控除の対象となる

納税方法についても賢い選択を!振替納税はオンライン提出も可に!

昨年お伝えした、「コロナショックにどう備える? 税理士が教える、非常時にこそ知っておきたい税金の秘密」にもありますが、今年度も納税方法(現金、クレジットカード、口座引き落とし等)について復習しておきましょう。

特に「振替納税制度」という実質的に税金の納付日を3月15日後に遅らせることができる制度は、オンライン提出も可能になり便利です。

令和3年1月から、個人の方の振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書をe-Taxで提出可能となります。

パソコンやスマートフォンからe-Tax(Web版・SP版)にログインし、入力画面に沿って必要事項を入力することにより、振替依頼書等の記入や金融機関届出印の押印なしに、オンラインで振替依頼書等を提出できます。

なお、振替依頼書等のオンライン提出においては、金融機関の外部サイトにより利用者認証を行うので、電子送信時に電子署名及び電子証明書の添付は不要です。
振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書(個人)のオンライン提出について|国税庁

給付金・補助金をスムーズに受け取るためにも、必ず期限内に申告しよう!

慣れていない人にとってはe-Taxの申告は大変なように感じるかもしれませんが、手間以上のメリットが大きいもの。3密を避ける意味でも、税務署へ来署は避け、可能な限りe-Taxで申告することをおすすめします。

また令和3年も、引き続き給付金や補助金が出されることが予想されます。そういったサポートを速やかに受けるためにも確定申告は期限内に済ませ、書類やデータは大事に残しておきましょう。

文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介

<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

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