最近、ニュースなどで「ニューノーマル」という言葉をよく聞きます。
これから独立開業を目指す上では、この「ニューノーマル」にうまく対応することが求められます。では、そもそも「ニューノーマル」とはどういうものなのか、押さえておくべきポイントは何か、ご紹介していきましょう。
今までの常識が大きく変わる「ニューノーマル」
「ニューノーマル」とは、そのまま日本語に訳すと新しい(ニュー)常態(ノーマル)ということになります。 社会的に大きな影響を与えるできごとによって、社会に変化をおこし「今まで常態、常識だったものが大きく変わる」状況を指します。
「ニューノーマル」は、過去にも2回あったと言われています。
1回目は、2000年代初頭のインターネットの本格的な普及期です。顧客が主体で商品情報を取得できるようになり、購入もインターネット上で可能になったため、それまで通用していた御用聞きのような営業や単純なマス広告では大きな成果は上げられない時代に変化しました。ベンチャーのIT企業が上場を果たしたケースも多くありました。
2回目は、リーマン・ショック後に世界経済が減速した時期。経済の動きが大きく変化し、それまでの常識と言われていたことが通用しなくなり、日本も景気が後退しました。CSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)といった形で企業の責任が追求されるようにもなりました。
そして3回目となる今回は、新型コロナウイルスの流行が、世界に大きな変化を引き起こしています。
大きく変化した3つのコミュニケーション
2020年に発生・流行した新型コロナウイルスは、企業活動をする上で次の3つのコミュニケーションに大きな変化をもたらしています。
① 社内でのコミュニケーション
新型コロナウイルスの感染が拡大するに伴い、各企業には従業員ができるだけ職場で接触しないような取り組みが求められました。その結果、対面しなくても業務が継続できる職場を中心に、次々と在宅勤務に切り替えられ、企業によってはオフィスが閑散とする事態になっています。
テレワークによるオンラインでの会議や打ち合わせが増えることで、社内でのコミュニケーションが要件だけの短時間で行われるものが中心になりました。また各メンバーがそれぞれ違った場所で働いているため、職場での雑談や終業後の飲み会は行いにくい状況になっています。
緊急事態宣言が解除されオフィスでの業務が再開された際に職場内感染が拡大してしまいました。現在ではオフィスでリアルにコミュニケーションを取ることは、それ自体が感染のリスクをはらむものとなっています。
② 取引先とのコミュニケーション
在宅勤務が中心となる事態は、取引先でも自社と同じように起こっています。
取引先と打ち合わせや商談をしようとしても担当者が在宅勤務で不在なため、客先の訪問や出張の機会が大幅に減りました。そのかわり社内の従業員と同じようにWeb会議に代表されるオンライン会議システムを活用し、商談するように変わってきました。
また商談を伴う展示会も中止が相次いでいます。展示会を新規顧客の開拓手段として活用していた企業のなかには、販路開拓が進まず売り上げが大幅に減少しているところもあります。
③ 消費者とのコミュニケーション
新型コロナウイルスの影響により、消費者とのコミュニケーションの取り方も変化しました。
リアル接点をできる限り減らすため、店舗スタッフは透明なシートやフェイスシールドなどを積極的に活用して感染防止に努めています。試食販売や実演販売など、感染のリスクが高い手法は中止にし、実店舗では営業の休止や、営業時間の短縮が行われるようになりました。
そんな中、消費者は実店舗の代わりにECサイトを活用してさまざまな商品やサービスを購入するように変わってきています。そのため飲食店の中には、来店して食事を楽しめない顧客に対して、宅配業者やタクシー会社の協力を得てデリバリーによって収入を得る、といった動きもみられます。
また新型コロナの影響により対面で購入を促せなくなっているため、商品やサービスの魅力を文字や映像などでうまく伝える工夫が求められています。
「非対面・非接触でのコミュニケーション」が大きなカギに
ここまで、「ニューノーマル」とは何か、どんな変化をもたらしているかをご紹介してきました。
新型コロナウイルスの流行により、各企業には先ほどご説明した3つのコミュニケーションの変化が起こっています。そのカギは、リアル接触による感染リスクを回避するための「非対面・非接触でのコミュニケーション」にあると思います。
今後の独立開業を目指す上では、この「非対面・非接触でのコミュニケーション」を上手に取り入れた仕組みやフローを考え、今後の「ニューノーマル」にうまく適応していきましょう。