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事業引き継ぎ時にもらえる補助金って何? どのような事業が対象なのか

事業引き継ぎ時にもらえる補助金って何? どのような事業が対象なのか

世界的規模で経済情勢の見通しがつかない状況を経験し、自分の手がける会社の今後についてあらためて考え直した経営者もいることでしょう。

後継者が見つからない、度重なる借金により負債が増す一方…など、事業を続けることで生じる負担が増え続け、メリットが見当たらないという状況に陥るケースも少なくありません。

このような状況への対策の1つに、“事業承継”があります。

事業承継とは、会社の経営権を別の経営者に譲ることです。

会社の施設や設備などの資産に加え、負債なども引き継ぐことに特徴があります。

また、新しい人に経営を任せることで、その会社を再度、もしくは別の形でよみがえらせることができるという可能性も生じるのです。

この事業承継によって会社の再編に取り組む事業主に対し、国は“事業承継補助金”という補助制度を設けています。

今回は、この事業承継補助金のしくみや対象について、順を追って詳しく解説していきます。

事業引き継ぎ時にもらえる事業承継補助金とは

事業承継補助制度は、経営不振・後継者不足・M&Aなどを理由に譲り受けた事業を再建しようとする事業主が、必要になった経費額の一部を事業承継補助金として受け取ることができる制度です。

この補助金制度には、以下の2種類があります。

Ⅰ型:後継者承継支援型

経営者が2020年12月末までの間に代替わり(経営者の交代)をした後に、会社を整備するためにかかった費用の一部を支援するタイプです。

Ⅱ型:事業再編・事業統合支援型

経営者が2020年12月末までの間に事業再編や事業統合、つまりM&Aをしたことをきっかけに、経営の建て直しを行うためにかかった費用の一部を支援するタイプです。

このⅠ型・Ⅱ型双方に共通する特徴としては、事業の規模が「中小企業者・小規模事業者」であることが挙げられます。
事業承継補助制度は中小企業庁が主体となって実施していることからも、大企業は含まれていないことがわかるでしょう。

中小企業者・小規模事業者の規模は以下のとおりです。
【中小企業者】

【小規模事業者】

なお、この補助金制度は、2020年12月末までに事業承継を実施した会社が対象となります(すでに2020年の募集は終了しています)。

どのような事業引き継ぎが対象になるのか

補助対象となる経費には、補助金事業を進めるにあたって必要となる以下の内容が挙げられます。

1.事業遂行に必要となる費用

・人件費:事業に直接従事することになる社員にかかる費用
・店舗等借入費:国内の店舗等にかかる賃借料・共益費・仲介手数料
・設備費:国内の店舗などで使用する設備費
・原材料費:サンプル品製作費など
・知的財産権等関連経費:特許権取得費など
・謝金:事業実施のために依頼した専門家への支払料
・旅費:事業開拓のためにかかった交通費(国内外問わず)
・マーケティング調査費:自社のマーケティング調査費用
・広報費:自社の広報にまつわる費用
・会場借料費:説明会会場などへの支払いなど
・外注費:業務の外注費用
・委託費:業務の委託費用

2.事業所の廃止、既存事業の廃業・集約を伴う場合

・廃業登記費:廃業にかかった登記申請手続き費用
・在庫処分費:現存の商品在庫処分費
・解体・処分費:事業廃止に伴う建物処分費
・原状回復費 借用設備の返却時にかかる原状回復費用
・移転・移設費用:設備などの移転費(※Ⅱ型のみ計上可能)

なお、これらの費用はいずれも補助金の交付決定後に契約・発注したものに限る点に注意が必要です。

また、金額支払の証明となる書類が確認できるものである点にも気をつけましょう。

事業承継補助金の上限額はいくら?

事業承継補助金は、補助金タイプや申請内容に応じて下記のとおり補助率や上限額が異なります。

特徴としては、事業所の廃止、既存事業の廃業・集約を伴う場合には“事業所廃止等がある場合の上乗せ額”が認められます。

ただし、上乗せ額の対象となる費用のみで交付申請をすることはできない点に気をつけましょう。

まとめ

事業承継は、今後も一定の実施が見込まれる注目の経営戦略の1つですが、会社の経営権をそっくりそのまま譲り渡すことになるためさまざまな費用がかかります。

また、健全な形で事業を遂行していくためには、綿密な経営計画も必要です。

事業承継補助金は、これらの内容に苦慮する譲渡先経営者の力になるでしょう。

まずは内容を正しく理解し、利用の検討を行いましょう。

PROFILE

社会保険労務士 加藤 知美

総合商社、会計事務所、社労士事務所勤務を経て「エスプリーメ社労士事務所」を設立。
総合商社時代は、管理部署の長として指揮を執り苦情処理に対応。人事部と連携し、数々の社員面接にも同席。社労士事務所勤務時代は、顧問先の労務管理のかたわらセミナー講師としても活動。

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