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会社分割の4つの種類と手続き方法を紹介!

会社分割の4つの種類と手続き方法を紹介!

会社の経営を後継者に引き継ぐことを事業承継といいます。承継の方法はいくつかあり、その一つとして挙げられるのがM&A(企業の買収や合併を行うこと)です。昨今、M&Aは事業承継だけではなく、企業における経営戦略の一環としても活用されていて、中小企業でも件数が増加傾向にあります。

今回はそのM&Aの手法の中でも「会社分割」について取り上げます。

会社分割の概要と4つの種類

会社分割とは、会社が持っている資産、負債、契約関係など、事業の権利義務の全部または一部をほかの会社に移転することをいいます。その会社分割の方法には、以下の4種類があります。

<権利義務の移転先で分ける>
①新設分割
事業の権利義務を“新しく設立する会社”に移転する。

②吸収分割
事業の権利義務を“既存の他社”に移転する。

<M&Aで生じる対価の受取先によって分ける>
③分社型分割
対価を“分割会社”が受け取る。

④分割型分割
対価を“分割会社の株主”が受け取る。

会社分割の手続き方法

ここでは新設分割と吸収分割に分けて、会社法で定められている方法にのっとった手続き方法を簡単に説明します。

<新設分割の場合>
①分割会社で「新設分割計画書」を作成する
取締役会を設置する会社では、計画書の内容について取締役会での承認が必要です。

②必要書面の備置
分割会社は、書面の“備置開始日”から“新設分割設立会社の成立日”の6カ月経過日まで、一定事項を記載した書面などを“分割会社”と“会社設立後の新設会社”それぞれの本店に備置します。

③債権者保護に関する手続き
債権者に対して、官報による公示や個別への通知などを行います。異議がある場合は申し立てが可能です。

④株主総会の特別議決で承諾を得る
反対する株主には、株式買取請求権が与えられます。

⑤会社の登記
登記申請は、分割会社と新設会社が同時に行います。新設分割の効力発生日は、登記申請を完了した日です。

⑥事後開示書類の備置
登記手続き完了後、一定事項について記載した書面などを“効力発生日”から6カ月間、“分割会社”と“新設会社”それぞれの本店に備置します。

<吸収分割の場合>
①分割会社と承継会社の間で「吸収分割契約」を締結する。
分割会社・承継会社に取締役会がある場合は、締結に関し取締役会の承認が必要です。

②必要書面の備置
分割会社と承継会社は、所定の“備置開始日”から“効力発生日”後の6カ月経過日まで、一定の事項について記した書面などをそれぞれの本店に備置します。

③債権者保護に関する手続き
債権者に対して官報による公示や個別への通知などを行います。異議がある場合、申し立てが可能です。

④株主総会の特別議決で承諾を得る
反対する株主には、株式買取請求権が与えられます。

⑤分割会社・承継会社双方にて変更登記を行う
吸収分割の効力発生日は、契約締結の際に定めた期日です。登記手続きは、効力発生日から2週間以内に行います。

⑥事後開示書類の備置
登記手続き完了後、一定の事項について記載した書面などを効力発生日から6カ月の間、分割会社と承継会社それぞれの本店に備置します。

会社分割を行う目的

会社分割の手法は主にどのような目的で活用されているのでしょうか。

・企業内の不採算事業、また逆に業績の良い事業を切り離し、独立採算制とすることで事業の再編を図る目的
・企業内において重複している部門を集約化し、事業の効率を図る目的
・2人以上に事業を承継させる目的で分社化する目的
・株主との関係を整理・解消する場合の方法として行う目的で、例えば、株主から株の買い取り申し出があった場合、現金ではなく会社の一部を権利移転します

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独立採算制とは?導入するメリット・デメリットを解説

会社分割のメリットとデメリット

ここでは、メリットとデメリットについての一例を挙げます。

<メリット>
・不採算事業や負債をスリム化することで、倒産リスクを分散できます
・会社を事業単位で分割することで新規事業への参入が容易となり、例えば、他企業とコラボする際に活用できるでしょう
・対価を株式という形で渡すことができるため、十分な買収資金がなくてもM&A実行が可能となります

<デメリット>
・株主の3分の2以上の同意が必要で、株主の多い企業だと、株主の承認を得るための手間や時間がかかる場合があります
・事業を行うにあたり許認可が必要な業種の場合、分割会社(新設または承継会社)に許認可を引き継げないことがあり(貸金業など)、引き継ぎ不可の場合、分割後にあらためて許認可の取得申請を行わなければなりません
・分割会社に簿外債務があった場合、負債として分割先会社に引き継がれることになり、状況によっては事業に悪影響を及ぼすこともあります

まとめ

実際に会社でM&Aを実行する場合、検討のうえ事情に適した手法を選択することが重要です。手続きには各種の煩雑さを伴うケースも多いため、M&Aをスムーズに行う目的で専門家の力を借りることを考えても良いでしょう。

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PROFILE

FP・社会保険労務士 木村政美

2004年に、行政書士・社会保険労務士・FP事務所の「きむらオフィス」を開業。2017年より、ダイヤモンドオンラインにてコラム連載を持つ。年金や個人のマネープランの相談・講習、企業向けのメンタルヘルス研修など幅広い分野で活動している。

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