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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第66回・「10%増量中」はどれだけお得か

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第66回・「10%増量中」はどれだけお得か

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

ここ最近、食品や洗剤など、あらゆるもので「10%増量パック」が売られることが増えています。なぜ、そのような商品が増えているのでしょうか?

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

スーパーなどの量販店に足を運ぶと、最近よく目につくのが「10%増量パック」です。

通常よりもたくさん入っているのに値段はほぼ据え置きだったりして、お得感がありますよね。ついつい手に取ってしまったという人もいるかもしれません。

今回のクイズのヒントは、増量分の「10%」という数字です。10%、最近よく目にしますよね。

それでは解説します!

10%という数字でピンときた人も多いと思います。その通り、「消費税の増税」が関係しています。

この「10%増量パック」という商品は、「消費税が10%に上がったので10%還元してお得感を出そう」というキャンペーンなのです。おそらく今回は答えが分かった方は多かったと思います。

ただ、よく考えてみてください。消費税は8%から10%に上がったわけです。よって、厳密にいうと2%の還元で良いのです。この違和感にまで気付くことができていたら、あなたの着眼点はかなり優秀です。

さて、この増量ですが、結果的には消費者にとっては非常にありがたい話ですよね。消費税で上がった分よりも多く増量してくれているからです。逆にいえば、メーカー側は損をしています。

しかし、今のタイミングで行うキャンペーンとしては、この「10%」という数字が重要です。損得ではなく、「消費者を動かすプロモーション」という観点でいえば、「消費税が10%になったから10%還元」という“分かりやすさ”が肝心なのです。本来は2%増量が正しかったとしても、です。

実際、多くの人は「なんで上がったのは2%なのに、10%も増量してくれるんだろう」などと厳密には考えていないでしょう。「消費税分を返してくれるんだな」くらいの認識で購入しているはずです。

他にも、例えばこれもスーパーなどでよく見かけますが、ウインナー2袋をテープでまとめてお買い得商品として売っているケースがあります。

左脳でものを考える人間からしたら、なにもテープでくっつけるような変なことをしなくても、もっと大きな袋に倍の量を入れて売れば、ゴミも減るし効率的だと思ってしまうところです。しかし、あのウインナーの売り方はそういう話ではないのです。「2袋=2倍」という“分かりやすさ”が重要であって、10%増量の分かりやすさと同じものなのです。

いろいろある、数字によるトリック

ただ、こうした数字を使った話でも、同じように見えて実は逆の例があります。

例えば、家電量販店などでポイント還元のサービスをよく行っていますよね。通常は10%還元のところを15%還元します、というふうにお得感を出す場合があります。あれって実際はどのくらい得なのか、考えたことはありますか?

結論からいうと、15%還元の場合を実際に計算してみると「13.1%引き」となります。

仮に1万円を持ってお店に買い物に行った場合、1万円の商品と、次回使える1500円のポイントが手に入るわけです。ただ、もらったポイントで買い物をした際にはポイントがつかないため、15%還元といっていても実際のところは13.1%引きとなってしまうのです(計算式は後述)。

つまり、このケースではお店側にとって有利な条件になっています。消費者は実際の数字ほど得をしていないわけですから、先ほどの増量の話とは逆ですよね。

ただ、これだって「実際は13.1%じゃないか」と考えながら買い物をする人はほとんどいないわけです。大事なのは“分かりやすさ”であって、実際のところ損得はあまり関係がないということですね。

キャンペーンを打つなら、「分かりやすさ」が一番!

同じ数字を使ったキャンペーンでも、実はよく考えれば得だったり損だったりといろんなトリックが潜んでいるわけです。ただ、多くの人はそんな細かいことは気にしておらず、「分かりやすければ、ついつい買ってしまうんだ」というのが今回のポイントです。

皆さんの商売で何かキャンペーンを打つ場合は、分かりやすさが非常に重要だということをぜひ頭に入れておいてください。「消費税が10%になったのだから10%還元」くらいが伝わりやすいということです。ぜひ参考にしてみてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「消費税が10%に上がったから」でした。ちなみに、15%還元がなぜ13.1%引きになるのかの計算方法ですが、11500円の商品が10000円で手に入るわけですから、「(10000÷11500)×100≒86.9」となり、「13.1%引き」ということになります。補足すると、10%還元だと9.1%引きで、還元率が高くなればなるほど、割引率は下がっていくことになります。


PROFILE
プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)、『令和を君はどう生きるか』(悟空出版)。

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