山地 瞭さん(27歳)
VOL.246ありそうでなかったスタジオのウェブ予約システム
ピアノサークルに所属していた頃、気づいたことがあって。それまでピアノというと「小さい頃から親しんでいる、選ばれし者だけが弾ける」イメージでした。でもサークルに入ってくる初心者はどんどん上手になる。なぜかって、場所、道具、人がそろっていたからなんです。部室には4台のピアノがあって弾き放題、教えてくれる先輩もいました。
楽器をいつでも誰でも楽しめるものにする、楽器演奏の民主化を目指すビジネスを探し始めたのはそれからです。調べてみると日本には楽器演奏をしたい人は人口の70%もいるのに実際の楽器演奏人口は6%しかいない。このギャップを埋められたら。「スタジオル」はその入り口、音楽スタジオのウェブ予約プラットフォームです。社会人になってドラムを始めたんですが、なかなかスタジオを予約できませんでした。この時代に予約サイトがないんです。音楽スタジオは全国3000店舗だけ、しかもそれぞれ独特のルールがあるから、大手のベンダーが参入を避けていたんですね。でも課題は明確、ソリューションも明快、僕は音楽が好き。だったらやれる、戦える。
営業をかけるのはドラムの個人練習のついで。会計の時に「実は」と声をかけるんです。登録していただけるスタジオが増えるにつれ、めちゃくちゃドラムがうまくなってますね(笑)。
「好き」を仕事にする時のポイントは?
消費者として「好き」なのか、事業者としてなのか。僕も音楽以外に好きなものがたくさんありますが、事業者として興味を持てそうなのは今のところ音楽だけです。
撮影/刑部友康、片桐 圭、阪巻正志、宮田昌彦
アントレ2019.夏号
「猫、縄跳び、ハバネロ…それぞれの稼ぎ方 『好き』はカネなり」より