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親族内の事業承継をサポートする“ベンチャー型事業承継”とは?

どのような事業も経営環境が変化する過程で必ず衰退していく時期を迎えます。

事業構造の見直しを図ることで企業は存続し、成長を遂げることができるのです。

近年では、事業承継者が事業承継をきっかけに、事業構造の見直しを図ろうとする事案が増えてきています。

事業継承と高齢化の関係性

現在、日本の中小企業における“経営者の高年齢化”と“後継者難(承継者難)”が深刻な社会問題化しています。

中小企業庁が2017年7月に発表した「事業承継5ヶ年計画」の中で次のような調査結果が公表されました。

・今後5年間で30万人以上の中小企業経営者が70歳以上になる
・6割の中小企業が承継者を決めていない
・経営者が70歳以上である中小企業において事業承継準備をおこなっている企業は半数程度しかない

国内企業の9割以上を占める中小企業にこのような実態があることは、今後の日本経済の維持発展に対して大きな懸念を生じさせています。

参照:中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)
参照:ミラサポ「事業承継に関する課題の対応と方向性(事業5ヶ年計画)」

ベンチャー型事業承継とは?

事業承継をおこなうにあたって、承継者が承継前の事業をそのまま引き継ぐのではなく、既存の経営資源を活用しながら“新市場の開拓”や“新規事業の開発”、“業態転換”などのかたちで事業構造の見直しを図ることを“ベンチャー型事業承継“と呼びます。

承継者(後継候補者)が衰退事業を引き継ぐことに対して懸念を抱くことは、中小企業が後継者難に陥る原因の一つです。

衰退期に突入した事業をそのまま引き継ぐのでは、経営をおこなうことへのモチベーションを維持できなくなるからです。

しかし、事業承継後に事業構造の見直しをできるのであれば、承継者が事業承継に対して積極的な気持ちを持つことができます。

参照:近畿経済産業局「ベンチャー型事業承継事例」

ベンチャー型事業承継のメリット・デメリット

ベンチャー型事業承継には以下のようなメリットが考えられます。

・既存の経営資源を活用できる
・既存の事業基盤を活用できる
・業界の事情に精通している

事業をおこなうにあたっては、「ヒト」「モノ」「カネ」「ノウハウ情報」といった経営資源が必要です。

新規に起業する場合は、このような経営資源がそろっていない状態で事業を始めるため、できることが制限されますが、ベンチャー型事業承継の場合は、経営資源が一通りそろっている状態で取り組めるため、事業に対する制約も限定的なものになります。

また、事業をおこなうために必要な仕入れ先や取引先、協力業者、メインバンクなどの事業基盤に関しても、すでに確保されているため一から開拓する手間が省けます。

さらに、業界の仕組みに対する知見がないことによるあつれきの発生などのリスクが存在しますが、ベンチャー型事業承継の場合はそのようなリスクを軽減できます。

しかしメリットに対して、ベンチャー型事業承継には以下のようなデメリットが考えられます。

・負の遺産を引き継ぐこともある
・社内の体制を変えなければならなくなることもある

事業承継にあたって、原則、承継前のすべての経営資源を引き継ぎます。

引き継ぐ経営資源の中には、借金などの負債や仕入れ先・取引先・協力業者・金融機関などとの間で交わしている契約といった、今後の事業の遂行に制約を与えるものも含まれていることがあります。

その場合、承継者が制約を抱えた状態で事業構造の見直しに取り組まなければなりません。

さらに、従業員の意識や社風などといった組織に関する課題が、承継者が新しく取り組もうとしていることに対して制約を与えることもあります。

従業員に対する教育や人事制度の刷新など、社内の体制を変えるための取り組みも必要になります。

地方活性化にもつながるベンチャー型事業承継

ベンチャー型事業承継は、個別企業に関する事業構造の見直しだけではなく、複数の企業や地域が連携を図ることによる地域の活性化へつなげていくことも可能です。

地場産業の衰退が原因で経済規模が縮小している地域において、複数の事業承継者が連携して、相互の経営資源を活用しながら新製品や新サービスの開発、新市場の開拓に取り組み、新たな地域ブランドを確立していくことも想定できます。

そのような取り組みを、行政や地元の商工会議所・金融機関などが支援する枠組みも増えてきています。

まとめ

事業承継は事業を存続させるためにおこなうものです。

承継後の事業は、承継者の思いや考え方に基づいておこなわれないと円滑な遂行は望めません。

そういう意味で、ベンチャー型事業承継が今後の中小企業の事業承継を後押しする有力な選択肢として注目を浴びています。

PROFILE

大庭経営労務相談所 所長 大庭真一郎

東京生まれ。
東京理科大学卒業後、民間企業勤務を経て、1995年4月大庭経営労務相談所を設立。
「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心として、企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。中小企業診断士、社会保険労務士。

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会社員は安泰という時代だったのは過去のこと。独立開業をして失敗するかもしれないリスクと、勤めている会社がどうなるかわからないリスク、どちらもリスクがあるなら“自分で決める”方が、どのような結果となっても、納得はできるかもしれないですね。 (さらに…)

2019年9月18日

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