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消費税増税まであと少し! 軽減税率の概要と、今のうちにやるべき準備を税理士が解説

2019年7月19日

令和元年10月より、いよいよはじまる消費税増税。そして同時に実施される、軽減税率制度。

軽減税率制度とは、あらゆる商品・サービスの消費税が10%になる中で、主に飲食料品などを対象に消費税が8%のまま据え置きになるという制度のことです。

多くのニュースでは、飲食料品にスポットを当てた内容が多いため、消費者目線での理解にとどまっている方も多いのではないでしょうか。

実は今回の制度は多くの事業者にとって、大きく関わることになり、今のうちから準備しておくべきポイントがあります。

独立・起業の「お金」に関する悩みを、税理士の齋藤雄史先生に解説していただく「税理士が教えるお金と起業」シリーズ。

今回は「消費税増税と軽減税率制度」をテーマに、齋藤先生に詳しくお伺いしました。

知らないでは済まない? 軽減税率制度の抑えておくべき3つのポイント

まずは、軽減税率制度の概要について、3つのポイントを挙げて整理していきましょう。

①軽減税率制度が適用されるのは、令和元年10月1日から

軽減税率制度は令和元年10月1日から実施され、消費税及び地方消費税の増税と同じタイミングでスタートします。

現時点では、経過措置(消費税の引き上げをスムーズにするための対策)という扱いとなっていますが、終了予定日などは決められているわけではありません。

そのため本記事では、軽減税率制度が永続的に続くという前提のもと解説します。

②軽減税率制度の対象品目は大きく2つ

軽減税率制度の対象となるのは、飲食料品と週2回以上発行される新聞の定期購読契約です。


画像:軽減税率制度の対象品目|国税庁

中でも飲食料品は、対象品目が区別されています。

軽減税率が適用されるのは、テイクアウトや宅配のように、持ち帰って食事をする場合や、スーパーなど小売店で飲食料品を購入する場合です。

一方で酒類や、レストランのように店内に飲食ができるスペースがあり、そこで飲食をする場合には、軽減税率が適用されません。

コンビニで食料品を購入する場合は、軽減税率が適用されますが、イートインを利用すると、サービスの提供となり軽減税率対象外となるということで、ニュースにもなっていました。

要するに、同じ商品でも「持ち帰る場合」は消費税8%、「店内で飲食する場合」は消費税10%となるわけです。

なんだか不思議な制度ですよね。

③税額計算に必須の要件! 「適格請求書等保存方式」ってなんだ?

軽減税率制度のもう1つの目玉が、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の導入です。

「対象品目については聞いたことある」という方も多いかもしれませんが、税額計算が必要となる事業者にとっては、必ず押さえておかないといけない制度となりますので、注意しましょう。

請求書や領収書を発行する事業者のみならず、それらを受け取る事業者も、要チェックです。

適格請求書等保存方式とは要するに、領収書や請求書に記載すべき事項が増える、ことになります。

どういった内容が増えるのかというと、

・軽減税率の対象である旨の記載
・明確に税率ごとに消費税額を記載
・登録番号(年間1,000万円以上の売上げがあるような課税事業者が取得できる、適格請求書を発行できる事業者を示す番号)

これらの記載が「適格請求書」と認められるためには、必須要件となります。

消費税を納める必要がある課税事業者は、請求書を発行する側も、受け取り側も先程の要件を満たす「適格請求書」で取引を行わなければ、一定の場合を除き消費税の計算に含めることができなくなります。

仕入れ金額を支払うための請求書が「適格請求書ではない」場合、消費税の計算上は控除ができなくなり、その分の納税額が増えてしまう可能性があります。

請求書1枚1枚、しっかりとチェックをする必要がありますよね。

課税事業者の要件については、以下の記事をご活用ください。
消費税を免税されている個人事業主でも消費税を請求しても大丈夫? 消費税の計算方法も併せて紹介

「適格請求書等保存方式」は、令和5年(2023年)10月より強制適用が予定されており、それまでの期間は準備期間として経過措置が取られています。

経過措置の期間は、「軽減税率の対象品目の明記」「税率ごとの金額」の記載を行う必要があります。しかし登録番号までは記載しなくてもよいとなっています。
最低限、ここはポイントになりますので抑えておいた方が良いでしょう。

その他詳細な要件は、以下の図のように各省庁からリーフレットが発行されていますので、一度は目を通しておくことをおすすめします。


画像:消費税の軽減税率制度|財務省

カフェ代は10%で、お弁当代は8%になる? 全ての事業者はとにかく領収書を「分けて」保管すべき理由

今回の軽減税率制度の導入によって、日本では初めて複数の消費税が存在する状況になります。

複数税率になることで、どのような影響が生まれ、対策や準備が必要なるのでしょうか。

複数税率に対応するレジまたはキャッシュレス決済端末の導入

軽減税率が導入されると、消費者と直接取引を行う飲食店や小売店は、「テイクアウト」か「イートイン」かによって税率が変わってしまいます。

そのため、複数税率に対応できる端末やシステムの導入を検討する必要があります。

端末やシステムの導入にあたって、中小企業庁が主導する「軽減税率対策補助金」および経済産業省が主導する「キャッシュレス・消費者還元事業制度」があります。


http://kzt-hojo.jp/

軽減税率対策補助金とは、複数税率対応のレジの導入や、受発注システム、請求書管理システムなどの導入を支援する制度です。

受発注システムの改修等をベンダーと協力して行う場合を除いて、令和元年12月16日までに事後申請を行います。ただし、9月30日までに支払いが完了しているものが対象となるため、期日には注意が必要です。

キャッシュレス・消費者還元事業とは、近年広がりを見せているキャッシュレス端末の導入、利便性を向上させる環境つくりを支援する事業です。

対応端末の購入費用負担がなくなる他に、令和元年10月1日から9カ月間にわたり、決済手数料の減額というメリットを受けることができます。

複数税率でやるべきことが増える? 確定申告の準備としてすぐにできる領収書の分類方法

飲食店や小売店のみならず、その他の業種の会社やフリーランスにも少なからず影響します。

例えば打ち合わせのためにカフェで会議をしたとなれば、飲食サービスの提供を受けているため10%の対象となります。

一方で、自社の会議室でランチミーティングをするための弁当代は、飲食料品の購入にあたり8%の軽減税率対象となります。

要するに、同じ会議のために使った経費でも、内容によって税率が異なるということです。

消費税の納税が必要な課税事業者は、税率ごとに区分する必要があるので、日頃から、領収書等を税率ごとに分類して管理することをおすすめします。

決算や確定申告の準備として進めておけば、後から書類の整理や会計処理をしていく上で、非常に楽に進めることができます。

消費税を納める必要がない免税事業者は、領収書の分類までは必要ありませんが、将来的に規模が大きくなるのを想定して、今から対策として取り掛かるのも良いですね。

仕入れと販売で税率が異なる? 今からやるべき資金繰り対策や会計処理

消費税率が複数になるということは、課税事業者にとっては、資金繰りや会計処理にも影響を及ぼします。

例えば、店内で飲食ができる飲食店の場合、店内での飲食はサービス提供にあたり、10%課税となりますが、一部の飲食料品の仕入れについては8%が適用されます。

仕入れと販売で税率が異なる場合、消費税額にどのような影響が出るのか簡単な表にまとめてみました。

軽減税率も備えあれば憂いなし! 早めの準備で混乱を避ける

今回のポイントを押さえた準備を進めていくことで、次回の確定申告もスムーズに進めることができます。

ただでさえ大変な思いをして、確定申告を進めている方も多いと思いますが、軽減税率が導入されることで、さらにやるべきことが増えています。

後から振り返って、複数税率に対応する端末やソフトの導入、税率の区分がしっかりと行われている状況をいまのうちから作っておくことで、経営管理的にも、確定申告準備にも大きなアドバンテージを得ることができます。

そして、「適格請求書等保存方式」という制度がはじまり、必要な要件と準備を知識として持っておくことで、事前に手を打っておくことができますよね。

まさしく『備えあれば憂い無し』。後に多大な時間と労力をかけるよりも、少しずつ時間をかけて、将来のリスクに対応していく視点を増やしていきましょう。

文=菊地 啓哉
編集=内藤 祐介

<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

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