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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第53回・タイミングが肝心

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第53回・タイミングが肝心

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

世の中には「変わる」と言われ続けているのになかなか変わらないものがあります。その1つが「IoT(Internet of Things)」ではないでしょうか。モノがインターネットに繋がることで我々の生活のあらゆることが激変すると数年前から言われていますが、生活面でも仕事面でもそこまでの劇的な変化はまだありません。では、なぜ変わらないのでしょうか?

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

IoTという言葉が広がり始めた頃は、あらゆるモノがインターネットに繋がると、いろんなことが変わり生活が便利になるといわれていたものです。今、身の周りを見回すと、携帯電話やスピーカー、テレビなど、インターネットに繋がったことで進化しているものがないわけではありません。

ただ、あらゆるものにタグがついたりして、リアルで起こることが全てウェブ上で情報管理されるような世界がやってくることを想像していた人はたくさんいたと思います。時間の流れを考えれば今頃はそうなっていてもいいはずなのに、実際はそこまでは実現されていません。

実は、IoTに関していうと、1つ「ミッシングパーツ」があるためにそうした環境が実現できていないといわれています。それが整わないと、想像していたような話が論理的に実現しないのです。

では一体何が足りないのか。それを考えるのが今回のクイズのポイントです。

それでは解説します!

最近よく、「5G」というキーワードを耳にしませんか?「第5世代移動通信システム」のことで、要は最新の通信システム環境のことです。実はIoTにとってのミッシングパーツとは「通信インフラ」なんです。

今の4Gでは設備的にできることが限られていて、コストもかかりすぎるため、モノをインターネットにつなげるには不十分なことが多いといわれています。しかし、4Gから5Gへと世代が進めば、当然今よりも通信速度は速くなり、それによってできることが格段に増えるわけです。

1つの基地局で繋げられる端末数が劇的に増えるので、局地的に大人数が端末を使用しても通信が止まることがなくなるといわれています。また、通信の遅延もなくなるため、「外科医がロボットを遠隔操作して治療する」みたいなことも、ほぼリアルタイムで行えるようになるのです。

この5G、日本では2020年に実用化されることになっています。来年には環境が整うわけですから、想像していたIoTの世界は2020年に入れば少しずつ実現し始めるかもしれません。そう、何事も「タイミング」があるというわけですね。IoTに関しては、2020年が1つの大きな分岐点になりそうです。

ちなみに、アメリカと韓国は2019年、つまり今年から5Gが一足早く実用化される予定なんだとか。日本よりも1年早いのです。

それは裏を返すと、今年のアメリカと韓国の動きを見ておくことで、「5Gを使ってIoTでどんなことができるのか」について先回りでいろんな情報収集ができるということです。ビジネスのヒントを見つけることだって、十分に可能でしょう。

早すぎても、遅すぎても、ダメ

今回のポイントは、何事もタイミングが重要だということです。

ビジネスチャンスを掴むうえでは、変化が「どこ」に起こるのかを嗅ぎ分ける力はもちろん大切です。しかし、その変化が「いつ」起こるのかを見極めることも、同じくらい大事なのです。

たとえば、介護ビジネスが出始めた時もいろいろな企業が参入し投資を始めましたが、早すぎて失敗した人が非常に多かったといいます。

逆に法改正が行われた後のいいタイミングで参入したり、先人たちの失敗を糧に試行錯誤した人などは、うまくいったケースが多かったようです。だからといって慎重になりすぎると、遅すぎておいしいところは持っていかれてしまいます。

未来の話でいえば、TPPもタイミングが重要です。関税の関係で安く仕入れられる商材が増えるといわれ、特に飲食業の未来はTPPで大きく変わると考えられます。

現状はアメリカの動きに振り回されていたりして、いっときに比べれば情報も注目度も下降気味です。しかし、政治の動きをきちんと追っておけば、どのタイミングでどの商材を扱えば恩恵が受けられるのかは、間違いなく見えてくるはずです。

タイミングが計れれば、動きの予測がしやすくなる

介護ビジネスの話をしましたが、「これから高齢化社会がやってくる」というのはほとんどの人が分かっていることでしたよね。それに向けて何かできないかを多くの人が考えるのは当然だからこそ、タイミングがものをいったというわけでもあります。

新聞でもニュースでもいいですが、世の中の動きを見ておくことはやはり重要なのです。タイミングさえ計れれば、事前に予測したり、作戦を練ることだってできますよね。

起業はもちろんですが、新しいビジネスを始めたり、投資したりする場合も、カギを握るのはタイミングのとり方です。ぜひ頭に入れておいてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは、「通信インフラが整っていないから」でした。ちなみに、いろんな商品にタグがついて情報管理できる社会ができるには、もう少しタグの単価が下がらないと厳しいかもしれませんね。では、それは何がどうなれば実現するのでしょうか? それを考えてみるのも、1つのトレーニングになりそうですね。


PROFILE
プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)、『令和を君はどう生きるか』(悟空出版)。

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2020年2月20日

独立開業して事業が順調に拡大していくにつれて、関わるメンバーが増えていきます。ただ多種多様な人材が集まると、メンバーそれぞれに生産性の違いが見られるようになります。

そのため、チームの生産性を最大限に発揮するための「チームマネジメント」が欠かせません。

チームリーダーが理解しておきたい、チームマネジメントの手法と求められる能力について、以下ご紹介していきましょう。

業務効率化を実現する「チームマネジメント」

チームマネジメントとは、チームメンバーが持つ知識や能力を最大限に発揮させるためのマネジメント手法で、チームを率いるリーダーにとって重要な職務の一つです。

企業は、業務効率化を行いながら今まで以上に売上を拡大することで、事業を成長させようとします。しかし、以前のような「良いものを大量に作れば売れる」という時代はすでに終わり、カスタマーのニーズが多様化する中、新しいサービスの開発やイノベーションの創出が求められています。

一方、企業は人口高齢化による生産年齢人口の減少により働き手となる人材の確保が難しくなってきています。また昨今では長時間労働の規制も厳しくなっているため、今までよりも少人数かつ短期間で、今までよりも同様かそれ以上の成果を挙げることも求められています。

このように新たな価値の創出だけでなく、業務の効率化やスピード化も求められる中、「チームマネジメント」が有効であると注目を集めています。

特に大切なのは「目標設定」と「場の雰囲気づくり」

チームマネジメントの目的である「チーム生産性を最大限の向上」を実現するために、ネット上をはじめ世の中にはいろいろな手法が紹介されていますが、今回はその中でも特に大切な「適切な目標設定」と、「建設的な雰囲気をつくる」の2点についてご紹介します。

適切な目標を設定する

チームが一丸となって達成を目指すためには、まず適切な目標を設定する必要があります。目標が実現不可能なものであったり曖昧であったりすると、チームの存在意義が失われかねません。

設定する目標は、簡単に達成できてしまうレベルだとメンバーが頑張らなくなりますし、逆に高すぎるとメンバーが最初からあきらめてしまい、目標が形骸化してしまいます。個々のメンバーに「頑張ったら達成できる」くらいのレベルを見極めて、具体的な数値等で明確に目標を設定するようにします。

チームには多種多様の考えを持ったメンバーが在籍しています。そのため、リーダーは個々のメンバーの多様性を重視しつつ、メンバーひとり一人としっかりと情報共有を行い、メンバーが「その目標を達成したいと思えるか」「目標達成のイメージが描けるか」といったことを確認しながら設定していきます。

またゴールに向けて予定通りに進行しているかどうかを随時チェックすることも重要です。

建設的な雰囲気をつくる

メンバーを統率し、一つの目標に向かってチーム力を発揮するためには、チームの雰囲気作りが欠かせません。

時にはチーム内に批判や衝突が起きることもあると思います。それを皆で受け入れ、建設的な議論になるよう、メンバー間の信頼関係を構築することが重要です。

個々のメンバーの多様性を認め、ひとり一人が必ず発言できる機会を与え、コミュニケーションを活性化させます。誰もが自分の考えを発言し、意見を言い合える「場の空気」をつくりましょう。

成功するチームは、メンバーが批判や争いを恐れず、互いの脆弱性を認め「全員がチームに対する責任と権利」を持っています。その状態が実現できれば、メンバーがそれぞれのリーダーシップを発揮して、互いの弱みをカバーし、強みを活かすことを自然に求めるようになるでしょう。メンバーがモチベーションを維持し、目的と自主性を持って仕事に向かうからこそ生産性は高まるのです。

チームマネジメントに求められる4能力

チームマネジメントを行うリーダーに求められる能力は、大きく以下の①~④になります。

① 目標設定能力

リーダーに求められる能力の一つが、目標設定能力です。チームマネジメントにおける目標設定は、チームメンバー全員が納得できるものでなければなりません。ひとりでも目標に納得できないメンバーがいた場合、その時点で目標達成が困難なものとなります。

そのため、リーダーは設定した目標について、その目的や理由、理念も含めてメンバーに共有し、メンバーの目標に対する納得感を醸成することが求められます。

また達成難易度をギリギリ達成できるレベルに設定することで、チームメンバーのモチベーションや士気を高めます。

さらに中間目標を設定することで、チームやメンバーの進捗管理をしやすくなり、達成確率も高まります。

② コーチング能力

コーチング能力とは、メンバーの強みや長所というポジティブな面を見つけ出し、部下の成長を促し、達成感を与える能力です。

チームで目標を達成するには、各メンバーが自己の能力を最大限に向上させ、発揮することでチームに貢献してもらうことが重要です。そのため、チームリーダーにはメンバーの長所や強みを見つけ出し、それを活かすためのコーチングが求められるのです。

③ コミュニケーション能力

チームリーダーは、チームの目標や業務の目的を設定する段階で、メンバー全員が納得できる説明を行なわなければいけません。また、チームとして目標を達成するために、メンバーに的確な指示やアドバイスを伝える必要があります。

そのためには、リーダーにはメンバー間のコミュニケーションを密に行い距離感を近づけていくコミュニケーション能力が必要です。

コミュニケーション能力を発揮できると、メンバーに言われなくても察知できるほどにメンバーのことをよく知っておくことや、自分の判断が間違っていないと自信をもって言える「信頼関係の構築」も可能になります。

④ 業務遂行能力(スケジュール管理・課題解決能力)

チーム目標を達成するためには、適切にスケジュールを管理し、チームメンバーが予定通り業務遂行できるように補佐し、メンバーそれぞれに的確な指示やアドバイスを行なう必要があります。

チームが直面する課題や問題の中には、チームメンバーはもちろん、リーダーひとりだけでは解決できないものもあります。そのため、チームマネジメントで求められる課題解決能力は、チームメンバーを巻き込んで、適切に解決を促すファシリテーター(組織において、中立的な立場からチーム活動を支援する役割を持つ人材)能力に似たものとなります。

個々の能力をうまく引き出し、生産性向上を実現しよう

今後さらなる事業成長やイノベーション創出が求められる中、チームマネジメントはますますその必要性を増していきます。

しかし、チームマネジメントは合理的にメンバーや業務を管理していくだけでは生産性を向上させることは難しく、ひとり一人と納得した目標設定を行い、彼らの強みや長所を伸ばし、メンバーが一丸となって取り組むような雰囲気を醸成して目標達成していくことが求められます。リーダーはチームマネジメントに必要な能力や習得方法を適切に理解して最適なチームマネジメントを行うことで、チームの生産性向上を実現していきましょう。

PROFILE

HIDE

元大手広告会社で人事部長を経験。新卒・中途の採用から人事制度設計、労務管理まで人事業務全般を手がける。現在はその前職での経験を活かし、各種就職・転職セミナーの企画運営から企業の採用広報の企画設計等、幅広く活動中。

2020年2月18日

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