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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第52回・スマホ決済がなぜ必要か

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第52回・スマホ決済がなぜ必要か

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

ここ最近、いろいろなところで「スマホ決済」ができるようになっています。そんな中、ついに新幹線でもスマホ決済が導入され始めており、スマホさえあれば簡単に新幹線に乗れるようになりました。「便利」であること以外に新幹線への導入が進んでいる大きな理由があるのですが、さて、それは一体何でしょうか?

ヒントは、「スマホ決済を導入しておいた方がいい事情」があるということです。なぜ今このタイミングで進められているのかも含めて、いろいろと考えてみてくださいね。

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

昨年大々的に実施された「PayPay」のキャンペーンの影響は大きかったようで、我々の生活の中に「スマホ決済」というものが浸透し始めているのを感じます。これを読んでいる人の中にも使い始めた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

急激に広がっている背景として大きいのは、お店側の導入が簡単なことです。ICリーダーのような特別なものを用意しなくても、お金をかけずにすぐに導入・開始できるため、敷居が低いのです。

利用できるお店が増えれば確かに便利ですよね。特にここ最近は色々なキャンペーンが盛んに行われています。ポイント還元されたり、割引チケットやクーポンがもらえたり、くじが引けたりと、お得なことが多く、それはそれで非常にありがたい話です。

それでは解説します!

さて、そんな時代の流れの中、一部の新幹線でもスマホ決済サービスの導入が進んでいるようです。まだまだ使えるアプリは限定的なようですが、スマホ一台でどこにでも出かけられるようになれば、非常に便利ですよね。

ただ、日本では「Suica」や「PASMO」などの交通系カードがすでに当たり前のように普及していて、それらを使って新幹線に乗れるサービスもあるわけですから、あえてスマホ決済を導入しなくてもいいような気もします。おそらく、使えなくても何ら問題はないと思うのです。

ではなぜ、新幹線が導入を決めたのか。その大きな理由の1つが、外国人旅行客のためだと言われています。つまり、スマホ決済であればグローバルに使えるからです。

海外ではスマホ決済を利用する人が非常に多く、その点で日本は大きく遅れを取っています。外国人旅行客が増える中、スマホ決済の導入は彼らの利便性を上げることになるでしょう。日本のインフラはガラパゴス化しやすいとよくいわれますが、まさにその解消のためでもあるわけです。

それによくよく考えてみると、デバイスの特性とうまく組み合わせて活用すれば、より便利になりそうです。例えば、中国人向けに中国語で切符の買い方や移動手段などを表示してあげられれば、いちいち駅員が説明する手間も省けそうです。海外でよく使われているスマホ決済サービスと連携できれば、よりシームレスに使えるはずです。

言葉が分からなくてもストレスなく使える仕組みをどう作るか

このスマホ決済の話から導き出せるのは、外国から来るたくさんの旅行客相手に商売することが増えている中で、彼らが困っていることにきちんと対応できているのか? ということでしょう。まだまだ気付けていないことがあるはずで、そこにビジネスチャンスがあるということです。

従来だと、外国人観光客向けのお店があったり、専用のサービスが用意されていたりしたものですが、昨今はそれでは足りません。正確にいえば、彼らが行きたいのは割高な専門店ではなく、街にあるドンキやマツキヨのような普通のお店の場合が多いわけです。であれば、彼らが使いやすいようにハードルを下げてあげることが非常に有効でしょう。

その時にヒントになりそうなのが、Apple製品です。iPhoneやMacなどを買ったことがある人は経験していると思いますが、箱を開けて電源を入れた後は、自分の使用する言語のボタンを選ぶだけで簡単に使えるようにセットアップができます。

他の言語を知らなくても、操作を誰かに教わらなくても、普通に使えてしまう。そこに、グローバルな時代における本当にボーダレスなおもてなしのヒントがあるように思えるのです。

松屋の券売機も同様でしょう。日本語がわからなくても、自分の知っている言語のボタンを押していけば簡単にチケットが購入できる仕組みが導入されています。タブレットを使って注文できる居酒屋が増えていますが、あれも同じですよね。言語が簡単に選べて、その後の注文も楽にできる仕組みが整っています。

よく「直接会計を行う吉野家方式」と「券売機を活用する松屋方式」のどちらがいいのかが議論され、最後に顧客接点が持てる吉野家の方がいいというような意見もありますよね。しかし、これからの時代においては、松屋のような券売機を使ったサービスの方が、グローバルの感覚には合っているのかもしれません。

2020年に向けて、まだまだできることはある!

外国人旅行客が日本に来て困ることの1つに、「Wi-Fiの使いづらさ」があるといわれます。それこそ少し前から新幹線では無料でWi-Fiが使えるようになっていたりしますし、彼らの「困った」を解消するためのサービスは少しずつですが整いつつあるようです。

とはいっても、東京オリンピックまであと1年ちょっとであり、まだまだ整えられていないことがたくさんあるように思えて仕方がありません。当然そこには、たくさんのビジネスチャンスが転がっているでしょう。

あなたのビジネスで外国人観光客をお客にするのであれば、ちょっとしたところで売り上げは変わってくるはずですから、何ができそうかをぜひ考えてみてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは、「外国人旅行客が使いやすくするため」でした。ちなみに、新幹線に比べて飛行機の方がスマホだけで乗れる仕組みが整っていますよね。もしかしたら、新幹線もあっという間にあの感じになってしまうのかもしれませんね。この先どうなるかが楽しみです。


PROFILE
プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)、『令和を君はどう生きるか』(悟空出版)。

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安田祐輔さん(35歳)

キズキグループ/東京都渋谷区
DVや一家離散、発達障害によるいじめを経験。偏差値30からICUに合格、大手商社への就職を果たすも4カ月で退職、引きこもり生活。2011年、不登校や中退などでブランクのある人のための「キズキ共育塾」を開塾。生活困窮者の支援や、うつや発達障害で悩む人の就労支援も行う。
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