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事業承継とM&Aの違いとは? M&Aのメリットデメリットを紹介

2019年5月20日

後継者の見つからない中小企業が増加しています。

経営者が引退できずに、ずるずると経営を続けざるを得ず、年々、経営者の高齢化が進んでいるのです。

「2018年版 中小企業白書」によると、中小企業の経営者の主な層は、1995年には50代前半でしたが、2015年には60代後半になっており、このまま、70代に突入するのも時間の問題です。

帝国データバンクの調べでは、60代以上の経営者の2人に1人は後継者がいないと言われています。

事業承継とM&Aの違い

事業承継とは、現在の経営者から次の経営者である後継者へ企業の経営を引き継ぐことです。

引き継ぐのは、会社の株式や在庫、お客さんだけではありません。

企業が積み重ねてきたさまざまな経営資源(ひと・もの・かね)に加えて、競争力の源泉とも言われ、見えない資産である知的財産(経営理念、信用、営業秘密、ノウハウ、顧客情報など)をどのように引き継ぐかが重要です。

事業承継には、主に3つの種類があります。

・親族内承継
・親族外承継(従業員など)
・親族外承継(第三者承継)

親族内承継は、社内外の関係者から一番受け入れやすい承継の形です。

後継者を早く決定し、時間をかけて後継者を育成することができ、株式の譲渡も計画的に行うことができます。

親族に適当な後継者がいない場合、次に考えられるのが、経営者の右腕や番頭役の従業員に承継する親族外承継です。

業務に精通し、経営能力がある場合は、比較的スムーズに事業を承継することができますが、株式取得や個人債務を保証する資金力がないために承継が難しい場合もあります。

従業員以外の親族外承継は、“第三者承継”もしくはM&Aと呼ばれます。

M&Aの種類

M&Aは、合併(Merger)と買収(Acquisition)を意味する言葉です。

M&Aと聞くと、大企業の海外の事業再編などをイメージするかもしれませんが、最近では中小企業や個人事業のM&Aも増えています。

後継者のいない中小企業で、経営者が倒れたりなどで事業が継続できなくなり、廃業した場合、従業員や取引先への影響は多大なものがあります。

後継者のいない中小企業にとっては、M&Aは事業継続するための有望な選択肢です。

M&Aには、会社全体を譲渡する場合や一部だけを譲渡する場合など、いくつかの形態があります。

ここでは、譲り渡す企業を“売り手側”、譲り受ける企業を“買い手側”とします。

株式譲渡

売り手側の株式を買い手側に譲渡して、子会社とする方法です。

経営者が替わるだけで、従業員や会社の債権債務、取引先との契約、許認可などは原則存続できます。

手続きも比較的簡単です。

事業譲渡

売り手側が有する事業の全部または一部を譲渡する方法です。

特定の事業だけを譲り渡すことができます。

工場や資産、ノウハウなどの資産、負債及び契約等を個別に移転するため、手続きが複雑になります。

個別事業・資産だけを買収できるので、短期間に効率よく新規事業を始めたり、規模を拡大したりすることができます。

合併(吸収合併)

売り手側の企業を買い手側の法人に統合する方法です。

会社の全資産負債、従業員等を買い手側(合併存続会社)に移転し、売り手側は消滅します。

会社分割(吸収分割)

複数の事業を行っている売り手側が、特定の事業部門を子会社として分割し、買い手側に株式譲渡、または合併する方法です。

従業員の雇用が継続でき、契約や許認可も新会社に移転できる場合もあります。

買い手側にとっては、特定の事業部門だけを買収できるため効率的です。

M&Aのメリット

買い手側にとっては、事業性を評価したうえで既存企業を買い取り、事業を継続するので、短期的に売上や利益を得ることができます。

また、仕入れや取引先など、スケールメリットが生かせる場合、コスト削減効果があります。

特に、新しい分野や地域で事業を始める場合は、時間をかけずに成功確率を高めることができます。

売り手側にとっては、経験のない後継者や従業員が事業を継続するより、経営実績のある買い手側に譲り渡すことで、従業員や取引先の雇用継続ができるだけでなく、彼らは今までより大きな会社で活躍の場を広げる事ができる場合もあります。

また、売り手側のオーナーは、売却で大きな資金を得る事ができ、退職後の資金とすることができます。

M&Aのデメリット

デメリットは、売り手側と買い手側の信頼関係の構築ができないままM&Aが実行されたために、正確な事業性評価を見積もることができず、期待していた投資効果をあげられない場合、買い手側が短期間に手放す危険性があることです。

また、優れた企業間のM&Aであっても、企業文化や経営理念の違いから組織の融合がうまくいかず、社員が離職してしまうこと、期待していたシナジー効果をあげることができないことがあります。

特に、売り手側の技術職や営業職などのキーパーソンが離職してしまうと、想定していた事業性価値が得られなくなります。

売り手側のデメリットとしては、大事にしていた従業員や取引先の雇用維持のためにおこなったM&Aであっても、企業文化の違いから買い手側企業になじむことができず、結果として彼らを守ることができなくなる場合も少なくありません。

また、M&Aを決意しても、「買い手が現れない」「価格が折り合わず、仲介会社に費用を払うだけで成立しない」などの恐れもあります。

まとめ

最近では、全くの新規事業を立ち上げるより、「数百万円で会社を買う」という新しい創業の形も話題になっています。

M&Aは決して大企業だけの話ではありません。

商店街で飲食店や小売店を若い創業者に譲る例も増えています。

各都道府県に事業承継のマッチングを行う事業引き継ぎセンターもあります。

一から創業する場合と比べて軌道に乗せやすい場合もありますが、いきなり経営者になるのはそれなりの準備と覚悟が必要です。

譲り受ける事業を想定してどのような事業展開を行うのか、しっかりした事業計画の策定とシミュレーションをしましょう。

PROFILE

経営コンサルタント 奥野美代子

外資系の高級消費財ブランドで、日本進出の子会社立ち上げから26年間、マーケティングマネジャーとして、ブランドPR、販売促進、店舗開発、リテール支援を行うなど幅広い経験を持ちます。
独立後は、中小企業診断士とFPのノウハウを生かし、経営者の法人と個人の財務コンサルティングやリスクマネジメント、事業計画策定、マーケティング支援など幅広い支援を行っています。

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