ビジネス書著者で商品開発コンサルタントの美崎栄一郎です。仕事術に関する著作をたくさん書いていますが、アントレStyle Magazineでは、「経営者のための仕事術」について、実践できるノウハウや考え方をお伝えしたいと思っております。
今回は、中国と日本の比較をしたいと思います。
青島ビールで有名な青島から帰ってきたばかりなのですが、情報収集をするときに重要なのは、比較です。
私の記憶が新鮮なうちにご紹介しておきますね。
中国に関する誤解も結構あると思います。私も誤解していた部分が実際に見ることで違っていたことに沢山気づかされました。
鎌倉幕府の成立が「良い国作ろう」のように1度覚えてしまった記憶は入れ替えるのが大変なのですが、この機会に。
古い情報のまま、インプットされてしまっていることも多いと思いますので、アップデートをしてみてください。
中国と日本の機械化の度合い
中国ナンバーワンクラスのタオル工場を見学させて頂きました。ヨーロッパ向け、アメリカ向け、日本向け、中国本土向けのモノを生産しています。中国ナンバーワンクラスの工場の規模は、日本のタオルで有名な産地、今治のすべてのタオル工場を合わせたとしても、それ以上の生産能力を誇ります。こうなるまでに50年かかっていないそうなのです。
機械化の度合いで言うと、日本より中国のほうが上になっていました。びっくりしましたが、これが現実のようです。
タオルであれば、綿花を原料にしています。その原料も中国、インド、アメリカなど全世界から調達して綿糸にします。それを染めるのも、織るのも機械化された同じ工場で一貫してやっているのです。
日本のタオルメーカーの場合は、一貫生産ではなく、染めるのは染める専門の会社、糸にするのは糸にするので専門の会社のように小さく分かれています。
逆に機械化されていないところも多いと聞きます。
そうなんです。中国のモノが安いのは、人件費が安いから、というより、機械化されているからというほうが今では正しいようなのです。
アメリカ製のものが安かったのと同じように、考えるのが自然かもしれません。
中国と日本の物流コストの違い
今回は青島から車で2時間くらい内陸の工場まで走りました。また、青島空港から青島市内まで高速道路で、1時間くらいでした。
中国は国土が広いから物流コストが高くなるというのも良く言われていました。また、中国は、モノがちゃんと届かないということも聞いていたりしました。
これもおそらく違ってきているようでした。
前述の工場であれば、綿花を入庫すれば、タオルまで一貫して生産できています。つまり、物流コストでキャッシュアウトするのは、0円です。
日本であれば、どうでしょう。工場が分かれていますから、自社で運送しなければ、その分は物流コストが必要になります。
高速道路に乗って1時間。中国の高速料金は100円でした。1時間の距離だと、日本だと、いくらかかるでしょう。つまりは、車での輸送コストも日本のほうが単純に高くなります。
現在は、荷物にタグを付けて、トラッキングできますから、荷物の追尾も簡単になっています。トラックもGPSで位置が把握されています。
テクノロジーとインフラの整備で状況が変わってきているのです。中国だから、荷物が不安ということはなくなってきているのです。
<写真はイメージです。実際の中国の工場ではありません。>
中国と日本の人件費の違い
これはまだ中国のほうが安いようですが、単純労働に限ります。中国での単純労働で問題になっているのは、職場を変えることが頻繁に起こるために教育してもすぐにいなくなるという問題だそうです。
また、問題のある労働者と優秀な労働者を見分ける術も問題だったようですが、最近はこれをウェブで管理するという動きも出ているようです。個人の職歴をウェブに登録させておいて、その評価を他社に行っても引き継ぐようにするという仕組みです。こうすると、サボり癖のある労働者はその傾向も報告されるので、次の仕事にも影響するということです。
クラウドソーシングの評価システムに近いかもしれませんね。
機械化も猛烈に進んでいるそうですから、中国ナンバーワンクラスのタオル工場でもピークのときより従業員数は減っているそうです。かつては、日本の工場でも同じような傾向がありましたから、同じ道をすでに中国も辿っているということです。
中国のものが安くて品質は悪くて安心できないというのは思い込みかもしれません
実際に訪問してみると、中国製の商品が安いのは、人件費が安いだけが理由ではなさそうです。
また、品質が日本に比べて劣るということもなくなってきていました。機械で作るのであれば、同じですよね。その機械は日本製やドイツ製でしたから、おそらくは日本でも同じ機械で作っています。
もちろん、私の見学した工場は中国でもトップクラスの工場なので、すべての中国製の商品について同じとは言えないかもしれませんが、状況がかなり変わってきていることは事実でしょう。
モノ作りが得意な日本がどういう風に今後進んでいくのか、中国の今と比較することで、何か良いヒントが見つかるかもしれません。
かつて、日本がアメリカと比較しながら、自動車を作ってきたのと同じように、中国のモノ作りに学べることも多いのではないでしょうか。
すべては、比較することから始まるはずです。
商品開発コンサルタント・ビジネス書作家
美崎栄一郎
コンサルティングでは、1年で結果を出すことを念頭に置き、企画から販売及び広報戦略まで複合的にサポートする手法が評価されている。
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