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株式譲渡による事業承継は、ここがポイント!

株式譲渡による事業承継は、ここがポイント!

少子高齢化で国内市場が縮小する昨今、「後継者がいない」「今後の成長プランが描けない」といった理由で事業承継を諦める企業も増えています。このような企業の中には、業績が好調だったり、オンリーワンの技術を保有する優良企業も少なくありません。

日本の事業承継は、実子や親族による親族内承継が多くを占めてきましたが、最近では後継者難もあり、M&Aによる第三者承継を選ぶ動きも見られます。今回は、中小企業のM&Aで多く採用されている株式譲渡による事業承継について見ていきましょう。

中小企業のM&A 多いのは事業譲渡と株式譲渡

企業価値の算出方法はいくつかありますが、上場していない中小企業の価値を正確に見積もることはかなり困難です。相続にあたり、自社M&Aには、資本業務提携、合併、買収、会社分割など、さまざまな手法があります。中でも会社買収の手法には、株式譲渡、事業譲渡、第三者割当増資、株式交換・株式移転、会社分割があります。「中小企業白書」によると、中小企業のM&Aでは事業譲渡と株式譲渡が約4割に上ります。この事業譲渡と株式譲渡には以下のような違いがあります。

・事業譲渡:会社そのものではなく、会社が営む事業の全部または一部を譲渡する取引
・株式譲渡:株主が保有する株式を買い手側に売却することで経営権を譲渡する取引

(参照:中小企業庁「M&Aを中心とする事業再編・統合を通じた労働生産性の向上」 )

株式譲渡のメリットと注意すべき点

株式譲渡のメリットは、オーナーは譲渡した株式の対価として現金が手に入るという点です。会社を売却した後、これまでとはまったく異なる生活がスタートしますので、すぐに動かすことができる現金が手に入るのは、大きなメリットと言えるでしょう。また、個別に債務や従業員の雇用、許認可などの譲渡契約を結ばなくてはならない事業譲渡に対して、株式譲渡による会社売却の場合は許認可や取引先などもそのまま引き継ぐことができるため、対外的なダメージも最小限に抑えられるでしょう。

なお、株式譲渡後は、役所への手続きや法務局での変更登記などの申請は不要です。ただし、株式を譲渡する前には以下の点に注意しなくてはなりません。
・株式を売買する場合、売り手と買い手のどちらにも所得税が課せられる
・譲渡の対象となる株式が譲渡制限を設けていないかを、会社の定款や登記簿謄本などで確認する必要がある
・売買の手続きなどを専門業者に委託する場合など、まとまった経費が必要となる場合がある

上場していない中小企業の企業価値を正確に評価することは難しいのですが、業績の良い優良企業の場合、意外なほど評価額が高くなることがあります。そのため、売り手企業側は、納税の準備をあらかじめしておくべきでしょう。

同族会社の場合、株主総会を開催せず議事録だけ作っておしまい、というケースがあるかもしれません。親族の仲が良い場合はそれでも良いかもしれませんが、M&Aによる会社売却で多額の資金が移動するような場合、突然権利を主張してくる人が現れたり、相続をめぐって争いが起きたりすることがあります。

また、株主総会や譲渡の手続きに瑕疵があった場合、取引そのものが無効になる可能性があります。たとえ親族同士であっても、法的な手続きは専門家の指示の下で厳格に行うようにしましょう。

株式譲渡の一般的な流れ

株式は基本的に自由に売買できますが、定款などで「会社の承認を要する」などと定めていることがあります。これは、経営者としてふさわしくない第三者に株式が渡ることを防ぐための措置です。中小企業の株式の多くは、こうした譲渡制限が設けられていますが、一定の手続きを踏めば譲渡することができます。中小企業での株式譲渡の一般的な流れは以下の通りです。

1.取締役会や株主総会といった株式を発行する会社の株式譲渡承認機関に対し、株式を譲渡する人から株式譲渡承認の請求をする
2.取締役会や株主総会で話し合い、株式の譲渡を承認する
3.株式を譲渡する人と譲り受ける人の間で、株式譲渡契約を結ぶ
4.株式を譲渡する人と譲り受ける人が共同で、株式発行会社に対し株主名簿の書き換えを請求する
5.会社は請求に応じ、株主名簿を書き換える
6.株主名簿を書き換えた後、新株主となった側(譲受人)から株主名簿記載事項証明書の交付を請求する
7.新株主である譲受人に対し、会社は株主名簿記載事項証明書を交付する
取締役会を設けない会社で、株主総会が議決機関になる場合は、以下の書類を準備します。
・株式譲渡承認請求書
・株主総会招集に関する取締役の決定書
・臨時株主総会招集通知
・臨時株主総会議事録
・株式譲渡承認通知書
・株式譲渡契約書
・株式名義書換請求書
・株主名簿
・株主名簿記載事項証明書交付請求書
・株主名簿記載事項証明書
( 参照:一般財団法人 商工総合研究所「中小企業とM&A」 )

株式の買い手企業によるデューデリジェンス

事業を個別に譲渡する事業譲渡と違い、株式の譲渡を受けて会社の経営権をそのまま譲り受ける場合、買い手企業が債務やトラブルをそのまま引き受けてしまう可能性があります。特に貸借対照表上に記載されていない簿外債務(偶発債務)は、賞与や退職金の引当金のほかに、買掛金の未計上、回収見込みのない売掛金、訴訟リスク、労使間のトラブルなどが含まれる場合があります。これらは経理的によくあるケースというだけでなく、あってはならないことですが意図的に隠ぺいされていたケースも少なからずあります。

買い手企業は、こうしたトラブルを事前に把握しておかないと、買収後に思わぬリスクを背負い込むことになります。そのため、M&Aアドバイザリーなどの専門家による財務、法務、労務などの多角的なデューデリジェンスが、売り手企業に対して実施されることが少なくありません。株式譲渡を検討している、売り手企業はこのデューデリジェンスを見据えて、準備を行う必要があるでしょう。

株式譲渡は親族内での事業承継にも利用できる

ここまで、第三者へのM&Aに向けた株式譲渡を中心にみてきましたが、株式譲渡による事業承継は、実子や親族への親族内承継でも利用されています。この株式譲渡にあたっては、後継者に多額の相続税や贈与税の負担がのしかかることがあります。

こうした負担を軽減するため、国は「事業承継税制」を設けています。これは非上場の中小企業において相続や贈与によって株式を取得した後継者の税負担を減らすための制度です。
平成30年度税制改正では、事業承継税制が大きく改正され、10年間限定(平成39年12月31日まで)の特例措置が設けられました。この期間中、一定の条件をクリアできれば、株式にかかる贈与税や相続税が、100%免除されます。従来は80%の免除が最高でしたので、大幅に拡充されたといえます。

事業承継を考えるとき、相続税や贈与税の支払いがネックというケースも多いでしょう。しかし、こうした制度を事前に把握しておけば、できるだけ負担を軽減し、株式譲渡による事業承継を達成させることができるのです。

( 参照:中小企業庁「事業承継税制(贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度)について」 、中小企業庁「平成30年4月1日から事業承継税制が大きく変わります」 )

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目次

  1. 1.会社の経理を始めるために
  2. 2.法人の決算に必要なものまとめ
  3. 3.貸借対照表で会社の資産状況を把握しよう
  4. 4.損益計算書で会社の利益を把握しよう
  5. 5.法人のための税申告・納付まとめ
  6. 6.法人にかかる税金は9種類もある
  7. 7.税金を滞納したら、どんな罰則がある?
  8. 8.法人のための節約のコツ

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2019年12月12日

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